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桜の舞う摩天楼  作者: ハイク
第二章 魔王軍
38/68

36話 クポの街

俺は今、クポの街に居る。

エリュシオンから東へ歩いたところにある港町だ。


喉のやけどと診断され、宿で安静にしてるがこれがきつい。

しばらく何もない、何もできない上にピリっと痛みが来るのだ。

ヒールという魔法は便利だが、重ねがけできなかったり、微妙に治せないところもあるので中途半端な治り方をしている。


「(ちょっと街を散歩してみたいな・・・)」

・・・閃き。


「(叡智)」

「(こんにちは。今日も)」

「(喉の火傷を魔法で治せないか?)」

「(・・・はい、上級魔法のエクスヒールを使います。)」

体が勝手に動き、詠唱が始まる。

口が、、、ああ、喉が痛い痛い痛い痛い。


30秒ほどの詠唱だったが1時間に感じられるほど痛かった。

「エクスヒール!!」

やがてヒリヒリしていた喉は痛みを感じなくなり、普通に喋れるようにまで回復した。


「(あ・・・ありがとう・・・)」


宿を抜け出し、街を歩き回っていると、

「マッチはいかがですか・・・」

・・・初めて見た。

赤ずきんを被った少女がマッチを持ち売ろうとしている。

役柄ピッタリのマッチ売りの少女だ。


「どうしたんだい?」

声をかけられずにはいられなかった。

「マッチを・・・買ってください」


「何マール?」

「マール・・・エリュシオンの方ですか?」

・・・え?

「この街では通貨が違うのか?」

「通貨はマールで合ってます・・・。だけど、言い方が・・・」

「まる、という感じで・・・」

なるほど。ここでは伸ばさないということか。

「じゃあ、このマッチは何マル?」

「あっ・・・15マルになります。」


ある程度見て回って近くにあった噴水の前で休む。

後ろから、聞き覚えのある声が

「白!?喉は大丈夫なの?」

レイカか・・・

「ああ、もう大丈夫になった」

「・・・そうみたいね。少なくとも3日は安静にしていなければいけないのに・・・すごい回復力だわ。」


「それでレイカ達は何してたんだ?」

「新しくギルドを探してたわ。」

「見つかったのか?」

「ええ」


ギルドへ案内される。

ギルドに入ると、ジョーとラースが驚いた顔でこちらへやってくる。

「もう大丈夫なのか?」

「ああ・・・」


ギルドのクエストボードを見ると、「エリュシオンの救出作業募集」とだけ書かれた紙があるだけだった。

・・・行くか。

決心し、受付へ受注しに行く。


「行ってらっしゃいませ」


地獄絵図となったエリュシオンを探索、負傷者及び逃げ遅れた人を救出する。

そういった目的のクエストは普段なら高ランクの人にしか受注権限がないが、この非常事態、少し緩和されているのである。

更に報酬も割高。ハイリスクハイリターンとはこのことだ。


と自慢げに解説してみたが元は俺の活動拠点だった場所だ。悲惨な街の状況を見るのはとても嫌だ。


「な、なんじゃあこりゃあ!!」

「!?」

「ど、どうしたんだ急に、それほど変わってないだろ」

「見えないのか?この黒いオーラ!!」

「おーら?」

「とにかくこれは異常だ、何かある!」

「あ、ああ。」

「来る」



・・・ザシュ。

「あなたは死にました」

「・・・(は?)」

「これ以上のスキル獲得はありません、スキル獲得を中止します。」

「これ以上の復活権限はありません。シミュレータを終了します。」

「・・・なーんて、嘘ですよ♪」


急に声色が高くなり、クポの街でのマッチ売りの少女のように姿を変える。


「私はララです、この精神世界をのっとった・・・うつりこんだ?・・・のりこんだ・・・!」

「のりとった、あなたの[味方]です☆」

「エイチと呼んでいただければいつでも出てきたアレです!よろしくね♪」

「・・・(・・・)」

「なにぽかんとしてるんですか!ほら復活しますよ、3、2、1、GO!」


視界が急にフラッシュしたあと、死ぬ「十秒前」に戻ってきた。

「見えてきたな」

「ええ・・・ってどうかしたの白?」

「・・・」

「おーい」

ラースが手を上下に振っている。

「(・・・叡智)」

「(こんにちはっ!)」

「(これはどういう状況・・・)」


ザシュ。


白は即死した。


「さて二回目の死だけどどうするかな?」

「(攻略法を教えてほしい)」

「攻略法ねえ・・・しゃがめばいいよ!」

「(イージーモードで助かる)」

「3、2、1、GO!」


「はっ」

戻ってきた・・・急がなければ。


「しゃがめ!今すぐ!!」

そう言いながらしゃがむ。

「えっ!?」

「いいから!!」

「早くしろ!!」

「どうやら本気みたいね・・・」

仲間も続々としゃがみだす。

ビュン・・・とした音がし、辺りに突風が巻き起こる。

飛ばされそうになりつつも後ろを見ると、周りにあった木がすべて倒れている。

「(そりゃ死ぬわけだ・・・)」

納得した。

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