92話 追撃戦
俺達はビルや家屋の壁を蹴り庇を足場に蛇を追う。
蛇とは十分距離をあけ後ろを追走する。
ジローさんは追い付いて攻撃したいみたいだが。
「ジローさん、とりあえず距離をとって…」
ビクン!蛇は通りの真ん中で止まった。
俺達は手前の建物の中に隠れる。
「抑えるニャ!ジロー!」
飛び出そうとするジローさんをコハルちゃんが抑えている。
好戦的な人だなぁ。
蛇はあたりをうかがっている。
気づかれたか?
突如蛇が動き始め向かいのビルに突っ込んだ。
なんだ?
見れば何匹かの獣がそのフロアにいたようだ。
戦いは一瞬で終わり蛇は暴れながらビルを突き抜けていく。
ビルは恐らく柱の殆どを破壊されたのだろう。
鉄筋がひしゃげる音をたてながら割れ、3、4、5階の部分が千切れかけ止まった。
「とんでもねぇなあれ。」
「俺も動いてるのはじめて見ましたがすさまじいですね。」
「普通にやってもやっつけられないんじゃニャい?」
「成せばなる!」
「そうかなぁ~」
「とりあえず追うニャ。」
みれば植松さんの表情は真っ青だ。
置いていったほうがよくないか?
心配げに見つめる俺を見て植松さんは言う。
「がんばります!」
まぁ連れて行くしかないんだけど。
追跡を再開する。
学校の校舎が見えてきた。
「戦るならここだ。」
「そうね。足場がないと私らも戦えニャいし」
「じゃあ横からあいつを抜いて校舎に誘導しよう。」
「私がやるニャ。」
「コハルちゃん?」
「ジローはアレが私を追いかけ始めたら別ルートで校舎目指してニャ。ユウマはその娘をどこか安全ニャところに。」
「あいよっ!」
「うん。」
「じゃあ校舎で。」
俺達は動き始めた。
今は道路の真中を走っている蛇の横の建物の壁面をコハルちゃんが疾走する。
速い速い!
真横に走るとか出来るんだな!
今度俺も試してみよう!
コハルちゃんに気づいた蛇はコハルちゃんに向かって体を寄せる。
コハルちゃんが走っていた建物が蛇の接触で破壊されていく。
追い付かれる気配は無いが一度捕まれば一瞬で挽肉にされる。
一方ジローさんも通りの反対側の建物の壁面を進む。
壁、庇、電柱なんかを掴み、蹴って腕力で体を前に放り投げるように進む。
二人が目指すのは校舎の端。
グランドは取っ掛かりがないから道路に面したそこだけが唯一の進入路になる。
俺は反対の体育館を目指す。
遠回りになるがそこしか広い足場がない。
決戦はあそこになるだろうしな。
三人はそれぞれのルートから学校を目指すことになったのだった。
破砕音が遠退く中俺は植松さんを抱え進む。
体育館の方がここからは近いんだが、植松さんを抱えている分進みは遅い。
学校のフェンスにたどり着いた時には
校舎で破壊音が鳴り響いていた。
急がなきゃ!
俺はフェンスを伝って体育館を目指した。
けっこうデカイ立派な体育館だった。
俺はフェンスを破り壁際の非常口にとりつくと
ドアを剥ぎ取った。
案内図だと一階と地下がプール、二階が体育館のようだ。
このフロアにはシャワー室や更衣室があるみたいだ。
屋内プールとは生意気な!
俺は手近な更衣室を見つけると植松さんを中に入れる。
「ここで待ってて。」
「はい。」
俺は体育館を目指して踵を返した。
「あの、お兄さん!」
「どうしたの?」
「気をつけて…」
「大丈夫!危なくなったら逃げるから。」
「はい!」
俺は植松さんを残し下の階に走り出した。
まだ勝ちへの絵が描けてません。




