91話 猫と虎と狼と(2)
「で、あれが?」
「蛇よ」
俺達が2階の窓から見える搬入口には
オレンジ色の蛇型の鉄の巨人がいた。
今のところ動きはない。
「昨日動かなくなってからずっとあぁなのよ。」
「まぁ動かないならいいんじゃね?」
「そうね。無視して先に進むのがいいと思う。
ジローの攻撃もピクリとも効かなかったし。」
「マジで?」
「はぁ?効いたね!あれは効いたよ!」
「いる?その強がり?」
「強がってねぇ!なんなら今から俺があいつを倒してきてやるよ!」
「やめて!それが今の事態を生んだんだから!」
「あの騒いで大丈夫?気づかれるんじゃ…」
俺達はは慌てて蛇の方を見る。
特に起きた様子はない。
俺達は談話室に戻る。
植松さんがロボとともに待っていた。
どうも植松さんはロボを気に入ったようで
好きあらばロボを胸に抱えたがる。
ロボはそれを嫌がるのだが根負けしたらしい。
「おかえりなさい。どうでした?」
「あれは無視して進むが吉だユウマ。」
ロボは植松さんの胸もとから飛び出した。
そのまま俺達の横を通りすぎ先程まで俺達がいた窓際に歩いていく。
蛇を見に行くようだ。
俺達は談話室で今後の動きを相談した。
「病院はまだ遠いのか?」
「前ならここから歩いて1時間かからないくらいの場所ね。」
「兄ちゃん地元の人間じゃないのか?」
「俺、ここ最近より前の記憶を無くしてしまっていて…」
俺は記憶を失ってしまっているので、土地勘がない。
コハルちゃんに頼るしかない。
「記憶喪失ってやつか?変身と関係あるのかね?」
「わかりません。」
「お兄さん、じゃあ私のことも?」
「いや、植松さんのことは覚えてる。
おれ自身に関することかな?抜けちゃってるのは。」
「そーいや兄ちゃん。」
「はい?」
「さっきの犬はなんだ?」
「ロボのことですか?」
「そうそう。お嬢ちゃんに聞いたら、兄ちゃんの変身の相棒だみたいなこと聞いたけど。」
「そうですね。ロボの力を借りて俺は変身してます。」
「それが不思議なんだよ。」
ジローさんは煙草に火をつける。
「俺もお嬢ちゃんもそんなのいない。」
「そうですね。なんで俺にはロボがいるんだろ?」
「そーいやそうね。まだ変身する人間ここにいる人間しか会ってないから、そうゆうもんかと思ってたけど。」
「田辺さんは変身したままでしたしね。」
「あれはいいのよアレは」
「田辺?」
「コハルちゃんの旦那さんです。」
「旦那?お嬢ちゃん結婚してたんか?」
「元よ元!」
あんまり言うと機嫌悪くなるのは間違いないので話題を帰る。
「そーいえばジローさんはなんであのマンションで戦ってたんですか?」
「あぁ?」
あれ?聞いたら不味かったか?
「あれな…言いたくねぇ。…まぁいろいろあったんだよ。あそこの奴等とは。」
「そうですか…」
田辺さん達は無事に逃げれたのか心配だが余計なことは言わない方がよさそうだ。
「とりあえず日が高いうちに病院目指しましょう。」
「そうだな。ここにいてもしゃーないしな。」
「そうしましょう。」
方針はもうそれで決まりなのだが。
「あの…」
「どうしたの植松さん?」
「どうやって病院まで行くんですか?
私、変身とか出来ないです。」
そーなのだ。地下は獣も多いし、出来れば地上を移動したいが。
「まぁお兄ちゃんが抱えて移動するしかないんじゃない?ジローじゃ熱いし。」
「あれ?コハルちゃんは?」
「そんなパワー型に見える?」
めんどくさいだけだろ。
「わかったよ。俺が運ぶ。植松さんそれでいい?」
「はい、お兄さんがよければ。」
「おい!」
ロボが駆け込んできた。
「どうしたロボ?」
「蛇が動き始めた。」
「マジで?こっちに?」
「いや、全然違う方向だな。」
俺達は窓側に移動する。
「動き始めてるわね。」
蛇は髪を地面に突き刺すとゆっくり移動を始めていた。
道とか気にせず真っ直ぐに建物を乗り越え始めてる。
「あれは…二中とか駅とかある方向だな。」
とジローさん。
「それ私たちが行く病院あるんじゃない?」
はっ?マジで?
「行くぞ兄ちゃん!」
「えっ…でも蛇…」
「んなこと言ってる場合か!お前の母ちゃんがいるんだろ?」
俺には母親の記憶が無い…実感が無いのだ。
「ほら、お前らも行くぞ!」
ジローさんに引っ張られるように俺達は
窓際に集まる。
服が破れたら困るからなのかちゃんと服を脱ぐジローさん。
意外に几帳面だな。
ジローさんの姿が変わり始める。
巨大な金毛の虎が現れる。
まだ付き合いの浅いおれには恐怖を感じる姿だ。
「ほら、テメェら!」
「わかったわよ…」
コハルちゃんも柱の影にはいり服を脱いで変身している。
そうだな。服問題は切実だ。
俺も机の影に隠れ服を脱ぐ。
頭の上にロボが乗ってきた。
「本当に行くのか?」
「俺の母親が危ないんだ。」
「覚えてないんだろ?」
「…それでもだ!」
「わかった。」
俺は黒色の狼の姿に変わる。
「行きましょう!」
植松さんを小脇に抱えると俺達はビルを割って町に飛び出したのだった。
とゆうわけで追撃戦をチョイス




