90話 猫と虎と狼と
あぁ…死ぬかと思った。
上にいたのはコハルちゃんみたいだし
植松さんもロボも大丈夫だろ。
扉を開けて外に出る。
何階分くらい落ちたんだ?
埃を払いながら扉を開けて廊下に出る。
「痛ってぇ…」
なんか学校っぽいな…
廊下を歩く。やけに静かだな。
割れたガラスとかそんな無いけどスニーカーじゃ心もとない。
とりあえず上に行くか。
俺が階段を半分くらい上ったところでドタドタ階段を降りてくる音が聞こえた。
あ?
「お兄ぃ~ちゃ~ん!」
コハルちゃんが飛び付いてきた。
俺はそれを受けとめる。
「コハルちゃん!無事だったか?一人か?
ルシルは?」
「私は無事♪一人連れが増えたけどお姉ちゃんとははぐれたまま…」
「そうか…ん?つれ?」
「うん!あれ。」
俺はコハルちゃんを床に降ろす。
その指差す先に金髪のチンピラがいた。
「おう、兄ちゃん!会いたかったぜ!」
「ん?お会いしたことありましたっけ?」
「俺だよ俺!」
「ジローがそれ言うと胡散臭さがはんぱないね。」
「うるせぇよ!」
「なんだか仲良しだね…」
「新しいペットなの!」
「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん、調子のってると燃やすぞ!」
「きゃーお兄ちゃん助けてぇ♪」
コハルちゃんが俺の後ろに隠れる。
「え?何?燃やす?」
「うん、こいつが虎だったの。」
「はあ?」
「ユウマ!」
階上から現れた植松さんの胸に抱かれてロボが俺の頭に飛び降りてくる。
「間違いない。あの時の虎だ」
俺はコハルちゃんをかばう。
「植松さん下がって!」
虎?虎だと?汗が吹き出る。
二人をかばってここでやる?
無理だろそれ。
「おうおう、兄ちゃん。そんなに気いはるなよ!俺は別にここで兄ちゃんとやりあう気はさらさらねぇからよ!」
ズボンに手をいれたままこちらに降りてくる。
「若ぇのに女の子守ってここまで来るなんて
なかなかやるじゃねぇか!
お嬢ちゃんが気に入るわけだ。」
「優良物件でしょ?」
なんか緊張したけどすげー仲良しになってるなこの二人。
とりあえず上に登りながらお互いの情報交換をする。
よく死んでないな俺達。
4人は2階の談話室でコハルちゃんが壊した自販機から取ってきたドリンクでお茶をしつつ話し合った。
お互いこの一昼夜の間にけっこうな出来事があったみたいだな。
もちろんこちらにも話せないイベントがあったように向こうにもあったんじゃないかと思うんだけど…
違うよ。
何もやましいことなんて無かったよ。
俺はちらっと植松さんを見てしまった。
「あれ~お兄ちゃん何か今変じゃなかった?」
おう。そうですよね気づきますよねコハルさん。
「いや、え?何も無かったよ。」
「怪しい~お兄ちゃん登っちゃったの?
大人の階段登っちゃったの?」
「ない!無いから!ねぇ植松さん?!」
「えっ?いや…あの…」
「怪しい~怪しいなぁ~男と女が二人っきりでいくつもの試練を乗り越えっちゃったりしたんでしょ?もう最後の一線なんて簡単にオーバーテイクよね!」
「二人っきりではない!」
「犬はカウントしませ~ん」
「犬ではない!私は狼の王…」
「はいはい、でどうなの?できちゃったの?
お姉ちゃんに報告案件?」
「ルっルシルは関係なくないか!それに二人っきりだったのはコハルちゃんも一緒…」
「はぁ?何?私とジローが?何言ってんの?」
「コハルちゃんキャラ崩れてる。」
「お前ら元気だなぁ~」
ジローさんは我関せずと煙草を吸っている。
「あの…私と…お兄さんは…別に…」
あぁ一人泣きそうになってるし。
カオスだ…このメンバーでまとまるのか?
新たな不安が俺の胃を痛くするのだった。
人数増えてもガチャガチャしない工夫がいるなぁ




