83話 縁の指輪
まぁ、とりあえず座れ」
カンタ様は煙草を吹かしながら屋台の奥へ消えた。
「はっはい。」
私は言われるままにカウンターに乗った丸椅子を下ろし腰かけた。
「しばらくぶりじゃの?あれから何度?」
「二度。時計を見ると150年はたっていますね。」
「もうその時計捨てたほうがいいんじゃないのか?気がめいるじゃろ?」
「私は私の責任から逃れることは出来ません。
それにらこれを見ることで最初の気持ちを忘れないでいたいんです。」
カンタ様は鍋に火をかけ何か拵えてくれている。
「ここでは何をされているんですか?」
「ん?わしか?ワシは気付けはラーメン屋の親父じゃったよ…」
「こんな所で?」
「随分変り者じゃったようじゃな。」
「その体では…」
「うむもう満足に剣はふれん。戦えて5分じゃな。」
「そうですか…」
「まだ見つからんか?」
「はい、何処かにあることは確信があります。
この旅を続けているうちに何度もすれ違った感触がありました。」
「この世界はどうじゃ?」
「まだ外を見られてないんですか?」
「獣共を見てればだいたいわかる。」
「もう危険じゃありませんか?この深度じゃ」
「チラホラ見るがなぜかあいつらこのチャルメラを嫌がってな。」
「チャルメラとゆうのですか?」
「うむ。強い個体には効かんが雑魚ならだいたい散ってくれる。」
「便利ですね!1つ私にもください。」
「何を言うか!これ1つしかないんじゃぞ!
ワシが死んでしまうわ。」
「またまた。カンタ様がその気になればさっきの獣くらい瞬殺でしょうに。」
「1度ならな。結局数には勝てん。
ほら、食え。」
カンタ様はラーメンを振る舞ってくれた。
私はどんぶりを受けとる。
「いただきます。」
「あいよ。」
ズズズー
「美味しい!」
「そうか。」
「さっぱりしてるのに落ち着く味です。」
「この老人が産み出した味だ。それを私は奪い取ってしまった。」
「別にそれはカンタ様のせいでは…」
「最初の時…ワシらが負った罪は重い。
ワシはお前が使命を果たすことを心から願っているよ。」
「カンタ様…」
「ほら、ラーメンが伸びてしまうぞ。」
「はい…」
私は黙々とラーメンを啜った。
本当においしい。
食べ終わり水を飲んでいるとカンタ様がカウンターに指輪を出した。
「これは…」
「預かっていたもんじゃ。」
「ですが…」
「手段を選んでいられるほどワシらにも余裕はない。お前さんと違ってワシらの魂がいつまでも持つかわからん。
最後までお前さんに付き合ってやりたいがな…」
「…」
「もう一つはワシがまだ預かっておく。
その指輪だけでは対処出来なかったり、ワシの力が必要になった時。その指輪がワシをお前さんの所に引き寄せるはずじゃ…」
「わかりました。」
私は指輪を左の中指にはめる。
かつて突き放した力…ここでカンタ様に出会ったのは必要な時が近いとゆうことだろう。
「ほら、腹もいっぱいになったろ?」
「はい、ごちそうさまでした。」
「達者でな。」
「いずれまた…」
私は下水の奥へ歩き出した。
チャルメラの音が聞こえる。
その音はだんだん小さくなりやがて消えた。
ひさびさの再会は私に力をもたらした。
探そう!二人を!
私は下水の奥へと駆け出した。
もう一本ルシルかな…
ちなみに。
タイトルの「縁の指輪」の読みは
みどりじゃなく、えんです。




