73話 蟹亀
がっつりバトル回です。
まず亀だから遅いって常識はなしだ。
警戒しつつ後退り、肩に植松さんを担ぐ。
最良はやつの脇を抜けて後ろの穴から降りる。
右にフェイント一発。
左に抜けようとする。
瞬間不規則にやつの足が動き左に横に動く。
一瞬で目の前を防がれ右から巨大な爪が振り下ろされる。
右腕でそれを防ぐ。
ゴキンッ!
折れた。俺今変身してんだけど?
折れた腕で爪を押し返し後ろに飛ぶ。
しかし亀は俺を逃がす気がないらしく、爪を再び振り下ろしながら距離を詰めてきた。
「ざっけんな!くそ!」
片腕は植松さんを抱えているから選択肢は一択。
拳を握りしめ折れた腕を全力で振り抜く。
メキゴキ
拳が砕けた。
腕が縦に押されれ骨が飛び出す。
肩も外れたっぽい。
亀は少し怯んで下がった。
巨大な爪に俺の拳形のへこみがはいり
少しひび割れてる。
ざまぁ!
右は完全にイッちゃったけど足がある!
俺は右足で全力のハイキックをかます。
亀は全力で後退。
空振りに終わる。
ちっ逃げやがって!
(いや、逃げてくれなかったらお前の左足砕けてるからな。)
なんで?!足って腕の3倍の筋力あるんじゃないの?
(だからさっきの3倍の威力で足が壊れるぞ)
あっ!
(アドレナリン出すぎだ。抑えろ!)
「ふぅ」
俺は右腕を見る。毛だらけのひき肉がぶら下がっている。
やっちまったな…
どれくらいで治るロボ?
(5分)
早いんだけど今は長いな。
「植松さん、後ろの排水に隠れてて」
肩から降ろして背後に彼女を押し出す。
「黒滝さん…」
「こいつをどうにかしないと逃げられないからな」
話が終わらないうちに亀はこちらに突進してきた。
まだ植松さんが逃げれてない。
俺は奴の突進を引き付けるべく左前に飛び出した。
俺を追って進路を変えてきた。
コイコイコイコイコイ来い!
接触寸前に上に飛んだ!
上なら…
亀は俺を目で追い足を止めた。
よし、壁を蹴って…え?
ヤツは壁を走り始めた。
そーいや上から降ってきたなこいつ。
あっヤバイ…
壁に足が触れた瞬間体当たりを食らう。
瞬間左手で体を庇う。
ゴキン!
全身の骨がきしむ。
さらに上へ3メートルくらい吹っ飛ばされる。
奴の爪が迫る。
やむなし!
左足を振り上げかかと落としの形で迎撃。
メキッ!
踵の骨が砕ける。
その反動でさらに上に飛ばされる。
ヤツは長い間は壁にいれないのか下に落ちて着地した。
ただで左足やるか!
壁を両足で蹴る。
上からの落下に蹴り足の加速も加えて突撃!
「砕けろ!」
左拳を奴の甲羅に向けて全力で振り抜いた!
ゴパッ奴の甲羅に大きな亀裂が走る。
俺の腕は右と変わらない有り様になった。
左踵が折れたせいで踏んばれず、
両腕も折れているから手もつけないから
無様に転がった。
ヤツは甲羅への打撃でも怯まず
こちらに突進してきた。
両方の爪が倒れている俺に振り下ろされた!
俺はそれを転がってかわす!
さっきまでいた床が砕ける。
転がった勢いでなんとか膝立ちになる。
ヤツはこちらを振り向きつつ右爪を振り回してきた。
しつこい!
俺は後ろに転がってそれをよける。
そこにさらに体当たりをかましてきた。
きっつい!
やけくそでさらに右に飛ぶ。
左足が軋む。
バゴン!
亀は壁にめりこんだ。
よたよたと後ろにさがる。
自爆してやんの。
爪をクロスしていたからか
奴の右爪に大きな亀裂が入っている。
最初にダメージを与えた場所だ。
俺は自分の右腕を見る。
まだ見かけはひき肉だがなんとか動く。
(おい、ユウマ!)
「砕けろ!クソガアアア」
ヒビの酷い箇所。要は最初に凹ましてやった場所に全力で拳をぶちこんだ。
ゴパッ!爪が砕けた!俺の右腕は…今度は衝撃が抜けたせいか拳がクチャクチャになるだけで済んでる。
グオオオオオオオ!
ヤツは怒り狂って暴れる。
俺はその隙に距離をとった。
やつの武器は一つ壊したが…俺のほうがぶっ壊れる寸前だ。
(これ以上は再生が追い付かんぞ)
ですよね…
ロボ…なんとか一瞬でいいから全力で動けないか?
(一度だけなら超速再生できる。)
よし!それで行くぞ!
(どうなっても知らんからな!)
瞬間俺の体毛が黒から銀色に変わる。
痛い!イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ痛い!
そう言えばタタカッテル最中傷みとか無かったのに…痛い狂いそうに、気を失いそうに痛い!
(シンクロが上がってるからな。痛覚カット切れてるぞ。大丈夫。狂ったり気を失ったりはしないようにはしてるから。)
それが出来るのに痛みはどうにもならんのか?!
そんなやり取りをしてる間に全身の傷が再生する。
「絶対ぶっ殺す!」
暴れまわる奴の上に飛ぶ。
ヤツも気づいて右爪をふりあげた。
俺は振り上げられた爪に手をつくと甲羅に乗る。
「殴ってダメなら…」
俺は両腕で爪をつかんで…
捻った!
ブチブチブチブチ!
甲殻の中で筋肉や筋が引きちぎれる。
ビンゴ!
さらに暴れる亀から俺は飛び降りる。
奴の左爪を捻りながら♪
ブチブチブチブチ!
さらに…引き抜く!
ズリンと蟹の具みたいに繊維が引きずり出される。
やっぱアドレナリン出過ぎってダメだ。
痛みで頭がクリアになったおかげか…
爪を失ったヤツは体当たりをしてきた。
俺はそれをかわして奴の足の二本を掴んだ。
足で甲羅を蹴りながらむしりとる。
足二本引きちぎったのに、しつこくこちらに向かって体当たりをしてくる亀。
それを避け先とは反対の足を掴み上に持ち上げながら捻る。
繊維が引き千切れる音と共についにヤツは転倒した。
俺は奴の目の前に移動する。
そーいやずっと固い所ばっか殴ってて
意地でも叩き割ってやるって思ってたけど
あるじゃん軟らかそうな場所。
俺は体重を支えられず横たわったまま暴れる奴の頭を掴んだ。
「ラストオオオオ!」
奴の左目に手刀をぶちこんだ!
そのまま中でグウを作って引き抜く。
断末魔の叫びと共にヤツは動かなくなった。
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
ロボさん…それはやめられませんか?
(ダメだ決まりだ!)
なんとか終わった…
体からロボが分離する。
ワオオオオオオオン!
まだやってるよ。
俺は大の字になって天井を眺めた。
終わった…俺は走りよってくる植松さんを眺めながらこの局面を乗りきったことに笑みをこぼすのだった。
次ぎはハイにならないようにしよう…
勝てないと思って書いてたんですが
勝てました。
ちょっと見誤ってました。




