67話 怨霊
燃え上がるマンションを遠くに眺め
床の座椅子に座る。
疲れた…
二人が心配でしょうがないが今はどうしようもない。
まぁとりあえず腹ごしらえだな…
キッチンに行って冷蔵庫を漁ろうと振り返ると
戸の陰に何か隠れた。
俺はキッチンにかけ込み見回す。
何もいない。
いや、何を無防備な!
俺は部屋に戻り武器になりそうな物を探す。
ガタッ
物音がして俺が振り返ると
長い髪の女がたっていた。
「うわあああああああああああああああっ!」
顔はうつ向き気味だが髪の間からジットリとした目がこちらを見ている。
今はキッチンだが部屋の中に入ってきた。
「なんだ?ユウマ?敵か?」
ロボが目を覚まし回りを見回す!
「なんだ!こいつは?」
「お化けだ!」
「アホか!そんなもんいるか!」
女はこっちを依然じっと見つめている。
なんだろ?地縛霊的なあれかな?俺女の子に恨みを買うような人生送ってないんだけど…
「ユウマしっかりしろ!足!足あるだろ!」
ロボ!最近の幽霊はみんな足あるよ!
貞○とか。
一歩一歩ゆっくりとした歩みで彼女は近寄ってくる。
両手をゆっくりあげ俺につき出してくる。
俺は後ずさつて蹴躓いた。テレビの上に尻もちをつく。
しまった!こんな時に。
女は俺のすぐ近くに近寄るとグイッとしゃがみこみ俺の顔を両手で掴み覗き込んできた。
「はうあうあうあああああっ………」
死ぬ!呪い的なあれで殺される!ルシルとかコハルちゃんが俺を見つけてくれた時、俺は恐怖に歪んだこの世のものとは思えない顔で死んでいて…
呪いの連鎖は続いていくんだ…
「しっかりしろ!ユウマ!黒滝ユウマ!グーだグーで殴れ!困ったときは暴力だ!」
女は俺を覗き込みながら首をかしげる。
そして口をゆっくりと開く。唾液が上下の唇に糸を引くのが見えた…
「…黒滝さんのお兄さん?」
「はうあううぁうあああああああああっ!」
俺は力一杯女を殴った。
フルスイングで殴った。
拳よ砕けろとばかりに殴った。
女は起き上がらない起きあがりこぼしの様に
しゃがんだまま後頭部から地面に叩きつけられた。
「やったかあああああ!!?」
「やった。やったが、ユウマ。こいつお前の名前を呼んだぞ。」
「俺に名前を覚えてもらえるほど仲のいい女子はいない!!」
「そろそろ正気に戻れ。泣きたくなる。」
え?なんだ?幽霊とか呪怨的なあれじゃないのか?
俺はおそるおそる倒れた女に近寄り…
つっついた。
プニ
柔らかい。女子だ。
「お化けではないな。」
「つつくと柔らかいお化けかもしれないだろ!」
「それはもう怖いよりかわいいじゃないか。」
俺は彼女の顔にかかる髪を恐る恐る手でよけた。
見覚えが…
「ふあああああぁあぁぁぃあああ!」
「なんだ?やっぱりお化けか?柔らかいお化けか?」
「死んだはずだ…」
そう死んだはずだ
「どうゆうことだ?」
確かに見た…
「俺は見たんだ!彼女が空に落ちていくのを…」
蛙のように倒れ鼻血を出し手倒れている
柔らかいお化け。
それは同じマンションの下の部屋の住人。
世界がこうなった日に空に落ちていった女の子。
植松さんだった。
はい、植松さん生きてました。
死んだかもしれませんが。




