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奈落の空  作者: ぴこ
月と猫編
44/179

44話 ダイブ

舟いろいろ名前考えてたのになぁ…

片付けが終わり、

この魚絶対食えないとわかった頃。

なぜか?腹かっさばいたら

人間の部位が出てきたんだよ!

食えるかそんな人食魚!

もう全員でげんなりした。


あとちょっと運が悪かったらここに収まっていたのは自分たちだったわけだしな。


まだまたま夜中だし改めて寝るかって話になったんだが…


あれ?川の両岸に明かりが点ったのだ。


人がいる。

俺は驚きと歓びでわけがわからん感じだよ!

そうだ!いるはずなのだ。

生き残りが俺たちだけのはずがない。


「おーい!助けてくれぇ!」


ぶんぶん手をふってみた。


松明が揺れる。おっ?なんか合図か?


「おーい!おーい!」

バカみたいに手をふってみた。


松明がざわついている。

「どうしたらいいかな?」

「どうしたらとは?」


ルシルが不思議な顔でこちらを見てる。


「今すぐ逃げるの一択だと思いますが。」


はっ?いや、何言ってんだ?


「お兄ちゃん、まずいよ。早く逃げよう!」

「そうだな。ユウマ。これは非常にマズイ。」


コハルちゃん、ロボまで?

どうした?人間だぞ?生き残りの。


「ユウマは気づいていないようだな。」

「やはり貴方は注意力サンマンです。

人間が土手に立てますか?」


ん?じゃああれは何なんだ?


「この世界の大地に立てる生き物が敵以外いますか?」

あぁそうだな。そうだろうよ!

期待しちゃったよ。


ビュン!

そして破砕音が響いた!

火のついた2メートルはある木の杭が舟に突き刺さった。


「逃げるぞ!」

舟にくくりつけられたボートに三人と一匹は乗り込んだ。浮き輪も一緒にくくられている。


あぁ短い付き合いだったな…名前もつけてやれなかった舟に別れてをつげて俺はボートを蹴り出した。

グンと舟の位置が下がる。

川面から5メートルくらいの位置まで一気に下がる。

おかげでスピードが一気にのりボートは走り出した。ってかメッチャスピード出てない?

ルシルはスピードを落とさないように団扇を扇ぎまくってる。


「恐い恐い恐い恐い!」

「ヒャッホー!」

え?コハルちゃん怖くないの?

「前!ちゃんと見て!」

ルシルが叫ぶ!

けっこう先にあると思っていた橋が目の前まで迫っていた。ってか橋の柱にぶつかるぞ!

俺はあわてて橋の柱を蹴っ飛ばす!

強引に方向を変え、橋の上を突破!


「あいつらは?!」


けっこうなスピード出てるから引き離し…てなかった。

二足歩行じゃなく

両手両足で獣のように追いかけてくる人影…

いや、もう人じゃないかあれは…


その後ろを松明をもった人影が追ってくる

四足ほどじゃないがけっこう早い。


このまま両サイド押さえられたままじゃジリ貧だ。

何処かで突破しないと。


「ですが河から外れたら浮力はたぶん半分になります。そうなれば…」

「落ちちゃうの?」


落ちる…そう落ちるのだ。あの真っ暗な空に…

落ちる…そうか!


「よし!落ちよう!」

「はぁっ?」

「お兄ちゃんイカれちゃったの?」

コハルちゃんなんか言葉遣いが…

「私はお前を信じよう。」

ロボ!

「みんな聞いてくれ!落ちるっても空にじゃない!あそこだ!」


俺の指差した先。

この辺りで一番高いタワーマンション。

40階建でござい。


「成る程。黒滝にしてはいい思い付きです。」

「お兄ちゃん、あったまいい!」


みんなの納得は得られたようだ。


「ルシルあの土手の降り口から行くぞ!」

「わかりました!」


舟の速度を維持したまま土手の昇り口に突っ込んだ。

同時に四足の影がすぐそばまで接近している。

始めて近くで見たそれ。

人だ。だけども人じゃない。

触角がある人の目があるべきに位置に。

トンボのような目がある。

耳があるべき位置に。

六つに割れた口がある。

顎から胸にかけて。


それ以外は人のそれ。

でもあれはもう人じゃない。

完全な異形だった。

ギギギギギギギギギギギギギギギギギィギギギィ

硬い瀬戸物を擦り合わせるような音で鳴いた。


追いつかれる!

ルシルは扇ぐので手が離せない。俺は位置が一番遠い。

コハルちゃんが一番近い。

このままじゃコハルちゃんが…

異形がボートに接触しようとした時。

ちょうどコハルちゃんの影に入った時。


異形の頭が四つに裂けた!

ルシルが驚きの顔で見つめてる。

何があったのかわからないけど

今は!

「捕まれみんな!」

ルシルもとっさにしゃがんでボートに捕まる。

グンっ!

明らかに浮力が落ち、地面からの距離がグングン離れていく。

土手の高さを越え、橋の高さを越え、

土手沿いにあるマンションの高さを越え、

もう地面から30メートルは離れている。

止まる気配はない。


スピードも、加速度的に増していく。

目標のタワマンの上階が見える。

あれ?まん中くらいに着地の目算だったんだが

空振りまである。

そしたら絶対に助からない。

それに、この勢いで突っ込んだら…

いい考えだと思ったんが穴だらけだ。

まぁあのまま結局助からなかったんだけど。


タワマンの最上階が見えた。

マズい浮力が落ちすぎている。

届かない!


そのときロボがボートから飛び降りた。

「こんな時のために私がいるんだろ。」

瞬間、その体が膨らみ黒い巨大な狼になる。

ロボは最上階の足場にボートの紐を咥えたまま降り立ち床に爪をたてた。

そして首の力だけでボートを振り回し

一つ下の階に放り込んだのだ。

ガラスを砕き窓をぶっ飛ばして俺たちは

マンションの一室に到着したのである。



*********************


どんなミラクルだか多少の切傷打撲はあっても

、無事にマンションにたどり着いた。

まだみんなの安否は確認してないが

この中で最弱の俺がダイジョブなら

きっとダイジョブ。


あっロボは?!


そう思いベランダを見ると。

弱々しい足取りでトイプー姿のロボが部屋に入ってきた。

もうしゃべる気力もないのかそのままへたりこむと眠ってしまった。


無理させたなロボ…


ルシルはそのロボを見て、まさか!観たいな顔をしてる。

いや、お前以外には周知の事実なんだよ。


そしてコハルちゃんは…部屋の角にいた。

!もしかして怪我したのかも!


「コハルちゃん!ダイジョブか?」

俺はコハルちゃんに、かけよった。


「ダメ!来ないで!」


えっ…コハルちゃん?

「黒滝、彼女から離れて!」

なんだ?ルシルまでどうしたんだ?


月の光がさした。

今夜は新月かと思ったんだけど

まだ出てないだけだったのか…

そんなしょうもない事を考えてしまうほど

目の前の光景は衝撃的だった。


コハルちゃんの頭には耳が生えていた。


そして長い尻尾がズボンを突き破って

まるでそれだけ別に生き物のように動いていた。


体は完全に大人の女性のものだった。


「見ないでお兄ちゃん…」


泣きそうなコハルちゃんの声が

静かな部屋に響いた。






読者も作者も周知のことを

いまだ知らない登場人物に伝えるのって変な感じになります。

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