23話 正義の味方は暴力と共に
まずはコハルちゃんを足場におろす。
名残惜しいがしかたない。
俺も起き上がると浮輪は一気に地面まで浮き上がった。
浮輪から伸びた紐を入り口の柱にくくりつける。
入り口の自動ドアはロックされていなかった。
手で開けなければならなかったがそれはさほど問題じゃない。
まずは俺が中に入った。
これは…
「どーしたのお兄ちゃん?」
「いや、ちょーっと散らかってるから。」
ヒョコッと俺の腰辺りから中の様子を伺うコハルちゃん。
「あー全部ひっくり返っちゃってるね」
元々品揃えが豊富な店だったのだろう。
それが仇になったとゆうか何とゆうか。
見た目ゴミの山だな。
そして外からは気づかなかったが天井が高い
作りだったみたいで、
ようは入口から床まで3メートルは降りなきゃいけない。
さて、どうするか。
「ボートで行けるとこまで行ってみたらどうかな?」
コハルちゃんナイス!
賢い♪可愛い♪
「そうだね。ちょうどいい足場があればそこから降りればいいか。」
再び浮輪を持ち出し二人で乗り込んだ。
そしてゆっくり中に進む。
まるでデッカイプールにガラクタをぶちまけたような惨状だ。
天井が高い施設は軒並みこうなんだろな…あっ!
「コハルちゃんあれっ!」
奥にエスカレーターと階段が見える。
やけになだらかな作りで店の奥、店舗の3分の1の幅を右から左にかかっている。
「あのエスカレーター買い物籠で上がれるんだよ!」
買い物籠で上がれる?当たり前じゃないのか?
あっ!カートか?
買い物カートを転がして乗れるエスカレーターなわけだ。
だからあんなになだらかなんだな。
階段の昇り口の裏までたどりつく。
とりあえずこれで一階天井まではたどりつける。
「うわあ!これすべり台みたい!」
コハルちゃんは躊躇なくエスカレーターの裏側に降りる。
「ちょ!危ない!」
「見て見て!ふぁー!」
俺の制止むなしく滑り降りていった。
降りた先にある障害物もジャンプして回避とかしてるし。
けっこうお転婆な子だな。
危なっかしい。
いや、こーゆー状況だしテンションあげなきゃやってられないのかもな。
俺は階段の方に下りる。
マンションとかであった裏側ツルツルなやつじゃなく、鉄骨製の鉄砲階段てやつだ。
普通に降りれる。
すばらしい!
階段すばらしい!
人類が発明した文化の極みのひとつだな。
階段下はレジスペースだったらしく階段の上にはいくつかのレジが転がっていたが蹴り落とす。
これはどう考えてもいらない。
中に金がはいっていても今は使えないしな。
時間も無いし優先順位つける。
何かで読んだやり方を試そう。
緊急は赤、必要だけど緊急性は無いものは黄色、いつでもよいものは青。
色分けして判断するのだ。
あやふやな判断基準に線引きをする。
まずは食料は赤、後、ボート。
浮輪は浮輪で便利だけど、二人で移動するなら必要だ。
寝袋は黄色。
最悪雑魚寝でいいし。
コハルちゃんの為に毛布くらいはゲットしたいところだけど、荷物は増やさない方がいい。
「コハル二等兵!仕事だ!」
「はい!隊長!」
階段下に散乱した棚からガムやらお菓子を物色していたコハルちゃんがクルリと振り返り敬礼してくれた。
あざとい♪
でも可愛い♪
もーずっとこんなことやって暮らしたい。
おっとその為には最低限の敬意は維持され続けなければならない!
「コハル少尉任務だ!」
「階級上がってませんか隊長?」
「可愛いから昇格だ!」
「ならもう大将くらいでいいですよ。」
「登り詰めてんじゃん階級。」
天井知らずの権力欲だな。
「でどうしました軍曹?」
「隊長なのに俺の方が階級下なの?」
「可愛いこそパワーです。」
「でも指揮権だけは手放さないから。」
「今は甘んじてうけいれます。」
「最終的には指揮権も掌握するのね。」
うなぎ登り天井知らずの権力欲。
覇王かこの子。
デッカイ黒馬とか欲しがり始めたら要注意だな。
「で何から手をつけるの?」
「そうだなコハルちゃんはまず着替えだな。作業着のコーナーあるはずだがら、うまいことサイズ見つけて。」
そーいやこの子スリッパのままだな。
俺の監督不行き届きだ。
「靴も動きやすいの探して。」
「わかりました!覗いちゃダメですよ。」
「それをフリとは受け取らないからね。」
「絶対ですよ。」
フリだ…完全にフリだ…まぁ俺は幼女を慈しんでも、情欲は抱かないから興味は無いのだ。
紳士のたしなみだね。
ホントだよ。
「俺はボートを探すよ。」
「わかった♪」
「何かあったら大声で助けを呼ぶんだ。」
「キャアアアアアアアアアアアアアアア!ロリコンの変質者ですウウウウゥゥッ!
助けてええええええええええええぇぇ!」
ええっ!俺?!不名誉な濡れ衣だ。
「こんな感じでいい?」
「おっおう…」
バコン!
戸惑う俺の脇腹に何かが直撃した。
「お兄ちゃん?!」
もんどりうって倒れる俺。
グヘッ…何これ…呼吸出来ない…声も出ない…
倒れて這いつくばる俺の目線の先には
ソフトボールが転がっていた。
まさか…
「ついに正体を現しましたね変質者!」
満身創痍で声の方を向くと、白いワンピースに揃いの鍔広帽子、足には編み上げブーツ。
手には戦国武将の薙刀の様な風格でラクロススティックを握りしめた、正義の味方が立っていた。
愛と正義のシリアルキラー系サイコパス女子。
東条ルシルさん、その人であった。
ヒロインさん合流です。
このままコハルちゃん無双かと思いました。




