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奈落の空  作者: ぴこ
旅立ち編
20/179

20話 天使は舞い降りた。

もっと普通の主人公だったんですが…

幼女のお願いは叶えねばならない!


俺は下が落ちれば死んじゃう空だって忘れてズリズリと体をくねらせベランダから上半身をつきだした。


「さあ俺の胸に飛び降りておいで!

お兄ちゃんが受け止めてあげようっ!」


カバッと両手を広げていつでもキャッチ出来る体制をとる。


「バッチコイ!」

「え?嫌。」


「なぜっ?!」


怪訝そうな顔をする俺に幼女は答える。


「だってなんか気持ち悪いし、

お兄ちゃんの力弱そうで不安だし、

キモいもん。」


キモいて二回言われた。


すげーショック!


ここに置いてきぼり食らった時よりショックだわ。


「わかったよ…じゃあちょっと待ってて。

何かいい方法を考えてみるよ。」


「わかった♪待ってるねお兄ちゃん♪」


ニパっ♪輝くような笑顔。


あざとい。

なんてあざとい子なんだ!

だが、それがいい…


「任せとけ!」


俺はイイ顔ででサムズアップ出来ただろうか?

神様とあの子だけが知っている。


いや、俺にもわかった。


出来てないな…唾はきかけそうな顔したもんな彼女…


気を取り直し再びズリズリと体をくねらせ、ベランダに引っ込むと部屋に戻った。


ロープは一応ベランダにあったがいかんせん長さがない。


俺は家捜しをはじめた。


リビングに紐的な物はない。

物置とかあったか思い出せないがこのフロアにあるだろうか?


廊下に出てまだ開けてない部屋を見る。

ここはトイレか。


入った時は縦長の物置かと思ったがあるのが

トイレタワシと乱れて落ちているスリッパとマット。

壁際には謎の砕けた陶器。

ピンと来ちゃったね俺は。

(まぁ誰でも気づくか)


便器が天井に貼り付いている。

…前衛的だな。


トイレは思ったよりビチョビチョになってない。

ってか全く濡れてない。

中の水が全部ぶちまけられて水浸しになってそうだけど。


乾いたのか?


あぁっ!あの割れてるのタンクの蓋だ!


落ちて割れたんだな。


俺はトイレを見上げた。


?おかしい何かおかしいぞ。

天井に張り付いたトイレをつぶさに観察する。


変だ。

タンクには水が貯まってる…便器の中も。


天井からぶら下がる洋式トイレのタンクはイッパイの水を湛えていた。


摩訶不思議。


水はいつも通りの世界の法則に従って地面に引かれているようだ。


鞄からペットボトルの水を取り出してみた。


別に床に向かって落ちる…とゆうか浮かぶ気配はない。


どうゆう線引きかがわからん。


だがここは実験あるのみ。

俺の仮説が正しければこの状況を突発出来るかもしれない。


俺は廊下に出ると、おそらく風呂があるであろう隣の部屋に入った。


定番の脱衣場兼風呂場。


そして風呂場の扉をあけると予想通り天井にある風呂には大量の水が貯まっていた。


どうゆう線引きでペットボトルボトルの水は除外されているのかわからんが、

水は空に向けて落ちないようだ。


よしっ!


俺は階段の所までとって返すと幼女に呼び掛ける。


「お~い!いるかぁ~?」


そう時間を置かず返事が帰ってきた。


「どうしたの~?」


幼女は吹き抜けのところから顔を出した。

おっとかわいい。

プレーリードッグかと思った。


「浮輪とかあるかなこの家?」

「あるよ。何に使うの?」

「うまくいけばそれで下りる道具が作れるかも」

「ほんと?わかった!持ってくるね。」


彼女はバタバタと何処かにかけて行った。

大きいやつだといいんだが…

ほどほどなく足音が戻ってきた。


「落とすよ!」


ドサッと重い音がして黒い塊が落ちてきた。


「それ使える?」


広げて見ると大きめの大人が乗れるような浮輪だった。

足でキュポキュポする空気入れもある。

ナイス!


「空気入れもあるとかナイスだよ!いけると思う!」

「よかった♪頑張ってねお兄ちゃん♪」


30分前くらいまでの俺とはモチベーションが違う。


人は相手次第でどうとでも変われるのかもな。


よし頑張ろう!彼女のために。


俺はテキパキと準備をはじめた。

とりあえず風呂場に浮輪を置きリビングに戻るとバルコニーから紐を、リビングから椅子を持ち出し風呂に戻る。


浮輪にあらかじめ紐を結び椅子に登って浮輪を浴槽に押し入れた。

浮き輪から少し空気が漏れ風呂の表面を泡立てる。


やっぱ、これだけじゃ浮輪に水は入らないか。


そこで空気入れの出番。


空気入れも浴槽にツッコミ浮き輪に繋ぐ。

うおっ…この体制、肩超痛い。

しかしここは我慢のし所。

幼女が助けを待っている。


レッツキュポキュポ!


だんだんと浮輪に水が溜まり始める。

そして次第に浮輪だったを支える俺の筋力は必要無くなっていった。


ビンゴ!

予想通り!


水をいれた浮輪は浮かぶのだ。

思えばルシルのボートもこうやって浮いていたんじゃないだろうか?


浴槽の水を半分くらいに減らし浮輪はだいたい膨らんだ。

俺は椅子から下りると紐をひき浮輪を手繰り寄せた。

浮力はかなり強く引き寄せるのはなかなか大変だった。


俺は体ごと持っていかれそうになりながらなんとか階段まで浮輪を持ってきた。


よし、レッツら救助!


俺はけつに浮輪をはめた。

このまま浮かんでいって彼女を連れて下りる算段だった。

俺の胸に彼女を抱えゆっくり下降していく浮輪。


ろまんちっくだ!

ナウロマンチック♪


いざ!幼女!


待てど暮らせど浮き輪は浮かない。

浮輪は50センチ浮いたくらいで止まったまま。


あれ?


そうか!俺の体重が乗るとこの高さで釣り合っちゃうのかなるほどチクショウ!!


あきらめきれず暫し浮輪に乗っていると視線を感じた。

幼女が上からこちらを覗きこんでいる。


「それダイジョブなの?」

「バッチリだぜ!」


なんだろ視線が冷たい。

クセになったらどうするんだ!


「今そっちに送るから乗ってくれ!紐で引き寄せるから。」


「…わかった♪信じるよお兄ちゃん。」


なんだろ予防線張られた感ぱない。


俺は紐を持ってゆっくり浮輪を上階に送り出した。


彼女はオズオズと浮輪にのる。

すると引寄せるまでもなくゆっくり浮輪はクルクル回りながら俺の胸の高さくらいまで降りてきた。


急いで階段の手すりに紐をくくりつける。

すると背中に軽い衝撃が走った。

彼女は俺の背中に向けて飛び付き

首にしがみついたのだ。


「ありがとうお兄ちゃん。」


首がちょっとグヘッてなったけど、気づかれない様にそっとしゃがんで彼女を床におろして手をほどき振り向いた。


「大丈夫か?」

「ありがとうお兄ちゃん♪


私の名前は遠藤コハルです。

よろしくね♪」


うわぁマジ天使…


俺は生きている喜びを強く噛み締めるのだった。

主人公がどんどんダメな子になっていきそうで

俺心配。

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