第五話 子狐のウカミちゃんは、誰が好き?
子熊のゴロウくんのおじさんは、何時にくるかをなぞなぞにしています。
答えの数の時間に来るそうです。
子狐のウカミちゃんがいいました。
「小さい三角形を数えると、さっきキイジロウくんの言った通り9個あるよね。でもこれ全体が大きい三角形だよ。それと中ぐらいの三角形が3つあるよね。合計13個よ。13時ってことは、午後1時にくるのが正解」
みんなは「なるほどー」と言ってます。
でも、イノシシのボタンちゃんが時計を見て言いました。
「ちょっと待ってよぉ。午後1時って、もう過ぎてるんだよぉ。もうすぐ2時だもん」
あれ?とみんなで時計を見直しました。
子猫のミイタロウは「クマおじさん、遅刻したのかな」といいました。
その時、子狸のポンキチくんがいいました。
「んとね。クマおじさんはもうすぐ来ると思うの。2時が正解だから」
「え? なんで? ポンキチくん、あと1個の三角形はどこにあるの?」
ウカミちゃんがきくと、ポンキチくんは問題の文の個所を指さしました。
「んとね。ここに『右の図』って書いてるの。右に小さい三角形が二つあるの。だから2時に来るの」
「「「あーー! これ、飾りだと思った」」」
ポンキチくんの言ったとおり、クマおじさんは2時ぴったりにやってきました。
ゴロウくんにプレゼントを渡して、他の子どもたちもおかしをもらいました。
なぞなぞに正解したポンキチくんは、クマおじさんにもほめられました。
それからみんなで外にでて、サッカーで遊びました。
運動が苦手なポンキチくんも一生懸命走りました。
サッカーで遊び疲れた動物たちは、またクマさんちに戻ってジュースを飲むことになりました。
「はぁはぁ……。僕、ぜんぜんボールに触れなかったの」
汗びっしょりになったポンキチくんは、肩を落としてとぼとぼと歩いています。
その隣をウカミちゃんが歩きます。
「ポンキチくん。サッカーの場所取りがすごくよかったよ。それにポンキチくんはボールだけじゃなくて、みんなを見てたんでしょ。転んだ子を助け起こしたり、ボールが池や森にいかないように先回りしてたよね」
「あはは……。よくわかったね。ウカミちゃんもすごいの」
ポンキチくんが言うと、ウカミちゃんはニコッと笑いました。
「わたしも、ボールじゃなくてポンキチくんを見てたからね」
ウカミちゃんはそう言って、ポンキチくんと手を取りました。
よたよたと歩くポンキチくんの手を引いてくれるようです。
「さ、行きましょ」
「うん」
二人はそろってクマさんのお家に向かいました。
ポカポカ森の動物たちは、今日もにぎやかなようですね。
もともと推理ジャンルを想定して公式企画『春の推理2022』用に作っていました。
当初はお話が分岐する『ゲームブック』で考えていました。
下部のランキングタグから行先を飛ばして、内容が変化させようとしました。
推理物らしく『犯人当て』をやるつもりが、単なるナゾナゾで終わったのは私の力不足です。