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野田城の戦い 後半


「家が…家が…」


野田城の戦いの最中にあって戦場から離れた近くの山に大勢の人々集まっていて彼らは破壊され燃えてる集落や町を眺めていた。あるものは呆然と眺めていたり、あるものは耐えきれずに地面に倒れ込んでいた。彼らは山にある避難所に逃げてきた近隣の住民達である。


今川家の三河侵攻時には今川方に逸早く付いたこともあって、長い期間の平和のお陰で繁栄したことで、すっかり平和ボケしていた領民達は今になって世界の現実を突きつけられた形となっていた。


歴史的に見て彼らの領主は正しい方に味方した訳であるけども…これは長い苦闘の序章にしか過ぎなかった。


一部の例外を除いて日本の集落や町には堀や城壁が存在しないのが当たり前である。これは日本と言う国の特徴でもある。世界を見てもヨーロッパや中東や中国などの都市は例外無く城壁を有していた。集落や町には当然のように堀や城壁が築かれていた。これは外国からの侵略だけを想定した訳では無い。当然だが内戦時や治安が悪化した時を想定しての自衛策として存在していた。


日本では、そういったものが必要無かった。戦国時代ですら治安悪化は限定的なものでしか無く、一般市民に対しての暴力が起きると必ず記録されて批判されるという特徴があった。権力者による暴力や略奪は許されないという風潮が強かった。


お気楽なエピソードとしては合戦が起きると近隣の村から大勢の人々が集まって来て合戦を風景を遠巻きで見ながら観戦していたと言われるほどである。時には負けた方に襲い掛かり落ち武者狩りまでしていたと言われることもある。勝ち負けを予想して楽しんでいた。


しかし、こうしたエピソードがある一方で一般市民が住んでいる町や集落が戦場になることも珍しく無かった。戦争のための徴兵や増税も頻繁に行われていた。勝者が勝ちに乗じて略奪してくることも珍しく無く、敗残兵が多ければ逆に村々は襲われて酷い目に合った。


財産を破壊されたり奪われることを許容する人間はいない。まして家族を犠牲にして黙ってる訳も無い


奥平定能「今だ、幕を降ろせ!攻撃を開始しろ!!」


野田城の北側の山に突如として奥平軍が現れた。彼らは大分前に山を占拠して砲台を設置工事していたのである。


何故野田城側は気づかなかったのか?


普段なら工事の音は聞こえても可笑しく無いのだが…大量の砲弾が降り注いでいるのでかき消されていたというよりも奥平軍側がコソコソと密かに工事していたことが大きい


そして幕を張って建設風景が見えないようにしてスクリーンに普段通りの風景が続いているかのように映し出して偽装していた。工事終了後、奥平軍が幕を降ろして初めて野田城側は北側の山に砲台を敵に作られていたことが分かったのである。


いよいよ戦局は野田城側に不利になり始めてきた。


幾ら優秀な軍隊でも援軍が来ないまま防衛線を続けていれば何れは攻撃側が勝つのである。つまり負けるのである。


菅沼定盛「援軍は来ないのか?」


定盛としては困った形になっているのは間違い無かった。各地で後退を余儀なくされてきた。大野田砦は弾薬が底をつくのも時間の問題になり始めてきた。



さらに時間が経ち、ついに大野田砦が陥落した。野田城橋は今川方が確保した。海倉橋もさすがに厳しい状況になった。


もはや、これまでか!


という状況下にあって定盛からトンデモ無い要求が今川方に突きつけられた。


菅沼定盛「城を開城しても良い、しかし、我々は降伏しない!撤退させろ!!」


今川氏真「……」


なんというか…本当にトンデモない要求である。三河武士とは何か?と聞かれたら分かるようなエピソードだろうと思われる。幾ら頑固で融通が利かないで有名な武士でも、ここまで来ると三河武士という存在以外にはいないだろうというレベルである。


朝比奈泰朝「落としはしましたが…我が方の損害大きく、兵士達は疲労困憊で弾薬も少なくなってきております。」


残念ながら今川方の苦しい現状を見れば呑むしかないのである。


氏真「腹立たしいが、ここは理性的にならねばな……」


今川方は受け入れるしか無かった。



野田城の戦いは今川方の勝利のはずであったが……野田城から撤退する菅沼軍は何故か勝ち誇ったように悠然と行進しながら撤退していくので「負けたのは自分達」と今川方が勘違いしてしまうほどだった。


菅沼定盛は大名行列よろしく、馬に乗りながら勝者のように振舞って今川方を煽るので今川方の兵士達は不満が高まるばかりだった。

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