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11 チート会計くんは設定までチートです。


 やばい、ちょっと食べすきただろうか?



 桃髪少女テルカちゃんとわんこ書記ケイトくんと一緒にご飯を食べてから、だいぶ経った後。


 私は女の担任の先生につれられて選択したコースの教室に向かっていた。


 先生は白髪を後ろに1つに結んだ女の先生で、厳しくも優しそうと言うのはこういう人の事を言うんだろうなと思わせる人だ。


 仕事が出来そうだし憧れるなぁ。



 さて、私が選択したコースについてだが、私は魔法師コースの薬学専攻にした。


 家を継ぐための商人コースは兄上が選択しているらしいので私は好きなコースを選択出来た。


 いやー、家を継ぐ必要が無いのは気楽でいいね、ぜひフジサキ家の更なる発展の為に頑張って下さい兄上。



 主要な教科は魔法師コースを選択している大勢と受けて、選択教科は薬学専攻の方と一緒に受ける。


 ちなみにテルカちゃんは魔法師コースの治癒魔法学専攻だそうだ。なので、クラスは一緒のような気がするが、魔法師コースの人数は多いので分からない。


 まぁ、ゲームでは一緒だったので心配はしてないけどね。



先生「ユウさん、ここですよ」


 そんな事を考えていると教室を素通りしていたようだ。先生が苦笑しながら手招きしている。


ユ「す、すいません」

先「転校初日で緊張しているとは思いますが、落ち着いて下さいね。

ここが今日からあなたが学ぶ魔法師コースのCクラスです、この学園に来た意味を考えて頑張ってくださいね」

ユ「は、はい、頑張ります」


 やはり苦笑しながら言われた台詞に恥ずかしくなる。



 それにしてもCクラスか。


 魔法師コースはA〜Fまでの6クラスある。


 AとBが良いレベル。

 CとDが普通レベル。

 EとFが少し悪いレベル。


 と言った感じにクラスは成績によって決まるので私は普通という訳だ。


 私は試験をした覚えがないので主人公の成績なのだろうか?



先「はい、みんな席について、転校生を紹介します」


 私が考えていると先生は扉を開き、教卓に立つとそう言った。


 先生の後について私も教室に入ったが、夏近くという中途半端な転入からか好奇な視線を教室中から感じて居心地が悪い。


 先生が呼びかけると生徒は私の方を見ながらもバタバタと席に着いていく、私は教室内をぐるりと見渡して目当ての人が居ないかを確認すると、廊下側の席に桃色の髪の少女を発見。


 よし、テルカちゃんと同じクラスだ。そんなに心配はしていなかったが、やっぱり嬉しくなる。


 喜びを噛み締めていると見渡していた視界の隅に黄色の髪の男をとらえた。


 攻略キャラだ。


先「転校生のユウ・フジサキさんです、みんな仲良くするように。えっと、ユウさんの席は空いている……そこですね」


 簡単に私を紹介すると先生は窓側から二列目の後ろの席を指差す。


 指差された席はお決まりの如く、さっき発見した攻略キャラの隣だった。典型的な転校生。って言うか流石の主人公スペック。



ナギ「あー、よろしくー、転校生」


 ヒラヒラと手を振りながら、興味無さげに話しかけてきたのは隣の席の黄色の髪の攻略キャラ、ナギくん。


 この人はかなり厄介だ。何故かって?


 それはイタズラ好きのチートくんだからだ。チートなのでイタズラの幅とバリエーションが凄まじく、軽い落とし穴から学校全体を巻き込んだ壮大なからくりまで様々な事をする。なんでもやってしまうと言っても過言じゃないはずだ。


 だけどナギくんはチートだという事を隠している。Cクラスにいる事もそういう訳だ。


 派手なイタズラをしても自分がやったと分からないように細工をして愉快そうに眺めているだけだし、能力的にも会長になれるのに会計という立場にいる。


 まぁ、私はナギくんの隠す理由を知っているけどね、製作側だし。


 長い話になるので今は割愛。


 また他にもナギくんが厄介な理由がある。

 そのためにはまず、ナギくんは主人公の幼馴染み、という設定を知っていて貰わなくてはならない。


 幼いときに家が近所で仲がよかったが、ナギくんが転校していってしまったというパターンだ。


 ずっと主人公の事が好きだったんだけど言えない、好きだけどいじめちゃうという思春期的な所があって。話がそれますが、ナギくん、すごく可愛い。


 設定までチートじみてる。幼馴染みで、転校先の隣の席の男子で、思春期的なツンデレさんで、昔から主人公が好きだけど言えないとか。もうなんか最強だよね?


 正直言うとこの『カンタレラ』の中で一番好きだったと言っても過言ではない。



ナ「なに? 黙って?」


 あ、キャラ紹介に夢中で忘れてた。


 よろしく、って言われたんだっけ。第一印象は肝心だよね。笑顔よ、笑顔。


ユ「あ、いえ別に、よろしくお願いします、ナギくん」

ナ「は? 俺、自己紹介したっけ?」


 墓穴掘ったぁああ! 笑顔を心がけていたらさらっと口が滑べったぜ。



ユ「……ナギくんの事を兄上から聞いていたので知っていたのです」


 聞いてないよ、嘘だよ。とっさの嘘だから分かりやす過ぎ……絶対疑われる、ってか普通にバレそうだ。まずいな。



 さてあなたはここで、幼馴染みだったのなら覚えていてもおかしくはないんじゃないか? と思うよね。


 その答えはさっきの話そうとしていたナギくんが厄介な理由と繋がる。


 ナギくんとは幼馴染みだったが、主人公はその事を覚えていないという設定がある。


 小さい頃だったから忘れた? 違う違う。



 ナギくんに記憶を消されたんだよ。



 昔、ナギくんが仕掛けたイタズラで主人公が危険にさらされた時がありまして、その時にうっかりナギくんは主人公への恋心を伝えちゃうという事故がありまして。


 そしてナギくんが恥ずかしがって、消したという次第。


 可愛いエピソードなのだか怖いエピソードなのだか分からないね。


 下手すると恥ずかしいという理由で殺されかねない。いや、実際にそんなバッドエンドも候補としてあったけど最早コメディだったので没だった。



 とりあえず何が言いたいのかと言うと、私が覚えていたらおかしいという事だ。今ので誤魔化せてたらいいけど……正直無理だな。


ナ「……あぁ、そう」


 黄髪のチート会計、ナギくんはそう納得したように言うが、納得してないよね、絶対。


 どうしよう、記憶はそもそも完璧に消されている設定なので、もちろんナギくんにばれるルートなんてなかった。


 よって対策が立てられない。……まさかのカンタレラ補助本使えない感じ?


 まぁ、さらに地雷を踏まなければきっと大丈夫だよね!



 半ば投げやりに考えるのを止めて、私は先生が話すのに耳を傾ける事にした。




 あ、そうだ。朝のHRが終わって先生の出ていく背中を見ながら、重要な事を思い出したので忘れない内にナギくんに言っておくことにした。



ユ「ナギくん、後で教科書を見せてください」


 発注ミスにより今日届く筈の教科書がまだ届いていなかったのだ、よって教科書を見せて貰う必要がある。


 これもきっと不幸体質の影響だろう、本当に厄介だな。



ナ「あ? 別にいいが、そっちの隣に見せて貰えばいいんじゃない?」


 隣?



ユ「……隣はナギくんですけど?」

ナ「はぁ? お前本気で言ってるの? 逆側見ろよ」


 そう言って逆の隣を見ると。



 居た。



 茶髪のいかにもモブそうな人が。


 そこまで格好いいという訳では無いが、そこまで悪くもないという顔だ。可もなく不可もなく、普通の人。


 見たことがあると言えばあるし、無いと言えばない。そうか、ゲーム製作時には忘れていたが別に私の席は、はじっこではないので隣は2つあって当然なのだ。


 忘れていたよ。ごめんね、モブくん。


 悲しそうにこっちを見てくる。そんな見ないでくれ、罪悪感で押し潰されそうだ。



ユ「えーと、ユウです。よ、よろしくお願いしますね?」


 挨拶を済ませていなかった事を思い出したので挨拶をする。半ば機嫌を伺っているのは否定しない。



カイ「隣に居るのに無視とか酷いっすよ、転校生さん。自分の名前はカイです。よろしくお願いしますよー」


 カイくんはそう言って笑ってくれる、なんて良い奴なんだ。こんな良い奴だったのに挨拶するの忘れててごめんよ。


 モブくんとか言ってごめんよ。


ナ「って訳で、カイに見せて貰えばいいんじゃない?」

ユ「あーどっちでもいいんで、モブk…いえ、カイくんに見せて貰いますね」


 モブくんとうっかり口を滑らせて言ってしまう所だった、危ない危ない。


カ「え、何、今モブとか聞こえたんだけど? 自分の事じゃないっすよね?」


 あ、モブまで言ってたか。


ユ「うっかりしてましたね」

カ「うっかり!? いや、転校生さん否定して下さいよ!?」

ナ「ハハ、うっかりじゃあ、しょうがないよなー"モブ"」

カ「ナギまでそんな事言うのか!」


 声を張り上げながら訴えるカイくんを見ていると笑いが止まらない。


 絶対にカイくんはつっこみ役兼、いじられ役担当だ。



テ「モブ?」


 面白がっているナギくんと一緒になってカイくんをからかっていると、テルカちゃんが前の方の席を立ってこっちにやって来た。



カ「へ……あぁ! テルカさん!? いや……あの、その……違くって」


 テルカちゃんが訊ねるとカイくんは真っ赤になって否定した。


テ「? 何が違うの?」


 テルカちゃんはそれを聞いて何が違うか分からないので首をひねる。


 私にもカイくんが何を否定したか分からない。


 カイくんは慌てながらその後も言葉をもごもご繋げるが全く伝わらず、更にテルカちゃんは首をかしげている。


ナ「あいつ、バレバレだよな」


 そんな二人の様子を見ているとナギくんが少し声を落として話かけてきた。


ユ「確かに」


 つられて私も声のボリュームをさげて答えた。


 カイくんの態度。あれはまさしくテルカちゃんに恋愛感情を抱いていると分かる。なんて分かりやすい。転校生にもバレバレだ。



ナ「なのにあいつ入学式の時に一目惚れしてから今まで、何も思われてないみたいなんだよな」


 入学式の時、って、きっとかなり前だよね?


 テルカちゃん達がナギくんと同じ年に入学したのだとしたら……。え? 一年半ぐらい前から?


 いやいや、それはないだろと思ってナギくんに聞いてみる。



ナ「そ、一年半ぐらい前から」


 ……まじですか。


 ナギくんがまさかの肯定。いやいや気付けよ、テルカちゃん。カイくんかなり分かりやすいぞ。


ユ「ずっとあの状態?」

ナ「あぁ、あの状態だな」


 って事は一年半も前からテルカちゃんに会う度ああやって動揺しているのか、カイくん。



 ……きっと、テルカちゃんの中でのカイくんの位置付けは"不審な人"で決定だな。


ユ「……頑張れ、青少年」


 不毛な恋になると思うとそう言わずにはいられなかった。


 今、私の胸を占める可哀想、頑張ってと励ましたくなる感情――……この感情を何と言うか。


そう、同情です。それも会って数分の安っぽい同情です。



ナ「ハハ、ま、今更進展するとは思わないけどな」

ユ「確かにヘタレそうですし進展を期待するのは無理そうですね」


 私達は、はぁと溜め息をつきながらやれやれといった感じに言った。



カ「何か今、理不尽な失望をされた気がする!」

テ「え? カイくん、またどうしたの急に?」

ナ「ハハハ、カイ、失望されたくなけりゃ頑張れ」



 カイくんが何かを感じたのかまた暴走して叫んでいる。


 テルカちゃんはカイくんの突然の叫びに困ったようにしていて、ナギくんは愉快そうに笑っている、クラスメイトはそんな彼らを見て呆れたように笑いながらも軽く遠巻きにしている。



 そんなクラスの雰囲気を私は見て。


 ――案外、危険なこのゲームの世界でもやっていけるかな? って。



 どこかの物語の主人公みたいにそう思った。



更新が遅れてしまいました

すいません(汗)


今までのように一日おき更新は出来ないと思いますが、あまり日を開けずに更新したいと思うので何とぞよろしくお願いします



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