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平和(かのじょ)を愛した魔女  作者: 井上笑子


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第四話 魔素と魔力と魔術と

 私には、不思議な力があった。

 いつからかはわからない。それぐらいに当たり前に最初から。


 大人たちは、その力を、みんな「変だ」「おそろしい」「不気味だ」と言って、直してくれようとしているらしい。

 どこまで調べられたのかは、教えてくれたことはない。



 私の目は、どうやら特殊らしい。

 意識すれば、人の中に炎のような揺らぎを見たり、宙に漂う光の糸束を目に映すことができる。

 私が使う能力の源であるそれらは、不思議なことに、みんなの中にもある。


 随分と前に、アヤセに、「あれは何?」と聞いてみたことがあるけど、どうやら、アヤセにも、他の誰かにも見ることはできないみたい。


 からかわれたと、随分怒られて、時には叩かれたけど、私はみんなには見えないそれらが、私の能力の正体だと、どうしてか口にできなかった。


 私の変なところが、「目」なら。

 私の能力が、私だけじゃなくて、みんなが使えるのなら。

 私は、「ジユウ」になれる?


 ————いや、ありえない。

 目をとられちゃうかもしれない。そんな不安さえある。


 だから、私は、今日も自分の能力について知らないふりをする。

 目を取られちゃうのは、きっといつも以上に痛いから。




 私は、私の能力と、私の力の源に、こっそり名前を付けた。

 誰に教えるわけでもないけれど、心の中で力について整理するとき不便だった。


 人の中の炎のような力を、「魔力」。

 宙を漂う光の糸を、「魔素」と呼び分けることにした。

 多分もとは同じ力であるそれらは、動植物が生きるための呼吸だとか、何かをする度に、増減している。


 そして、そうした「魔力や魔素を扱う技術」を「魔術」と呼ぶことにした。


 みんなは私の能力が特別に見えるみたいだけど、私は、みんなの中にも力自体はあるのを知っているし、技術さえあれば、多分みんな使えるだろうと思う。


 私の変なところは、目だけに過ぎないのだった。



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