『逃走者』『撤退』
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『ジパルハザードの厄毒強耐性』を獲得しました
『古の叡智』を獲得しました
「…」
耐性がまた強くなったのは喜ばしいことだが、そんな悠長に構えてはいられない。エリアの【スキル】にも何らかの異常が予想される感覚が思考を包み込む
「ゴードンさんの時と動きが変わりましたわ」
「何が起こってる…」
『狩人の直感』───ジパルハザードのしようとしていることが何となく分かる。何か《ヤツ》が狩りをする上で『基準』があるのだと
毒使いの共通、毒による《衰弱》を待っているとも考えたが俺が侵入した時4人が初めに無傷で放置されていたのが気掛かりだ───喉元まで出掛かっているが何とも言い表せられない気色悪さが残る
「何か?」
「分からない」
《優先順位》───直接戦闘能力はお世辞にもティーナは高くはない。前衛ゴードンはその戦闘能力を補うためにいる
戦い方が奇妙だ。裏を返せば先の選択で俺ならゴードンではなくティーナを狙った。盾を手放してしまった戦士よりも元より戦えない祈祷師を狙うのが合理的だ
それともティーナの【奥の手】を知っている?
「不気味だ」
しかし、好都合。ゴードンの時と違い、《厄毒の息吹》による攻撃は俺には効かない。もし突進が来ようとも問題はない
【信仰の守り手】───先は構えるので精一杯だった大盾が掴んでいることすら忘れるほどに馴染んでいた。装備を扱えるだけの補助を受けられているのだ
そう思っていたがティーナの様子がおかしい
「ティーナ、どうした?」
「いえ、何でもありませんわ」
ゴードンといい、ティーナといい、何処かおかしい。何処か辿々しいと言うか、謎の既視感がある状態に困惑が脳裏を過ぎる
「…」
『戦士の直感』『戦士の心得』───ティーナへの確認を行おうとしたものの、それを遮るようにジパルハザードが突進による攻撃を仕掛けてきた
こちらも『準備完了』『臨戦体制』『覚醒状態』に入っている。見飽きたと言って差し支えない単純な攻撃は寧ろ会話に割けるというものだ
「…スキルに何か影響が?」
「何故そう思ったんですか?」
「ゴードンもそうみたいだから」
『予感』───何らかの要因でスキルに不調が出始めている。詰まるところ《厄毒》の知られざる毒性によるものだろうか
「取り敢えず、今は撤退だ」
「そうですね」
見ればゴードンがアルトラとエリアを避難してくれたので俺とティーナはジパルハザード。ひいては《魔の来たる深淵》からの脱出を行った




