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【天賦拝命】アーツブローカーの苦節  作者: 中折れ青二才
ep0《神銀の剣・喪失編》
5/27

対《厄毒の源泉:ジパルハザード》

◆◇◆◇◆


「アルトラ!エリ…」


 入って早々に4人を見かけ、近寄ろうとした直後、通路とは違う瘴気の満ちている空間に入ったことで《耐性許容上限》を受けた


 立っていられず膝を折る。直で体験して分かる厄毒がより一層強くなり、呼吸すら憚られる感覚。体内が沸騰する様な感覚に厄毒の持つ『凶悪な毒性』が感じられた


『ジパルハザードの厄毒強耐性』を獲得しました


「…っ、気持ち悪いな」


 毒系統に耐性を持っていなければ強耐性にすら持ち込めない、即効性の毒───ジパルハザードの厄毒


「んで、攻撃してこないのは」


 顔を伏せたまま『斥候の直感』により───ジパルハザードはこちらを俯瞰している。慎重を持って厄毒で確実に弱らせ、殺すことを考えていることが分かった


「臆病モノか」


 迷宮の主が聞いて呆れる。世界の厄のひと柱であることに誇りはないのか、畜生にそれを求めるのは可笑しな話か


 こちらを舐め腐っているのは好都合と俺は自らの血液と魔力で『解毒薬』を精製する。火力のある攻撃が欲しいがここは壁が必要になる。となれば真っ先に治療するべきはゴードンだ


「ゴードン」


「…」


 声掛けに返事はない、起きるまでの間は俺が時間を稼がなければいけない様だ。前線を離れて久しい、そんな中で通用するのだろうか


 いや、怠けていたわけじゃないだろ、信じろ押し通さねばならない、これ以上の人死は防ぐべき、防げる筈の問題なのだから


◆◇◆◇◆


「…っ」


 手持ちの『消毒済みスライム死骸』に『擬似解毒薬』を注入する。『ジパルハザードの厄毒の解毒薬』『回復薬』スライムを準備する


『斥候の直感』によりジパルハザードがこちらの異常に気がついたのが分かった。『偽装』『演技』による隠密行動は限界の様だ


 起き上がりしな『医術』『応急処置』により、ゴードンに切り傷を作り『スライム』を傷口に叩きつけ様に4人から急いで離れる


 ゴードンが起き上がるまで俺は死ぬ気で耐える


『奇襲警戒』『戦士の間合い』───背後から迫る気配に回避行動を取ると地面を力強く叩き、這動くそれが俺の元いた場所を通過したのが確認できた


「これを耐えるのか」


『暗所視界』『瞳孔拡張』『動体視力』『演算』『予想』『予知』───青白い灯だけが照明として存在する空間。そこを漂う瘴気の先の空間に目を凝らす


 視界不良の原因であるジパルハザードの厄毒:瘴気の先。天井を起点として這い回る大蛇の姿が確認できた


 モンスター風情に《畏敬》の念が生まれるほどの圧倒的な存在感、こちらを見下ろす巨大生物、羽に見えるそれは天井に張り付くための触手だった


 蛇足と言うより蛇腕(・・)


「っぶね」


『回避』『身のこなし』『予知』『予想』───凡ゆる攻撃をいなす『アーツ』でジパルハザードの攻撃を避けて逃げに徹する。短剣で反撃を試みた所、一撃で破損、鱗は無傷。対するこちらは体制崩壊、左腕の筋肉に違和感と大凡太刀打ちできる気がしなかった


「『ハイリカバリー』」


『魔力循環』『回復』『代謝』───左腕の違和感を除去し、盾を構える。武器を持っていても意味がないが盾も盾で真正面から受ければ全身に損傷を受け、地に伏せることになるだろう


「うつ手がない」


 分かっていたことだが、有り合わせの装備ではどうしようもなかった。唯一防具に関しては『アテ』があるが防ぐ一辺倒では死を遅らせるだけだ


「嘘だろ…」


 音を置き去りにした突撃の速さと質量───その衝突は盾を貫通し、俺の芯に大きな衝撃を与えてきた。外見は無事でも体内が液状になった錯覚を受ける倦怠感に苛まれることになった


「… … …」


 ハッキリ言って勝負にすらなっていない。《怖気》こそ発現していないが、攻撃を避けなければ嬲り殺し、避けるのも一苦労ときた


 今まさに迫ってくるジパルハザードの攻撃を知覚できたところで防ぐも躱すも叶わない状況に死を覚悟した


「はぁぁあ!!」


 その瞬間、俺とジパルハザードの間に割って入った男がいた。ゴードンだった。大盾による神業と呼べる『盾技』によって僅かに逸らされた突進の軌道


 擦り切れんばかりの紙一重───ゴードンの大盾とジパルハザードの突進がぶつかり合い、無数の金属音と火花が辺りに散っていき、短くて長い辛抱果てにゴードンはそれを防ぎ切った


「何故居るんだ」


「開口一番それかよ、態々来てやったんだ

 お礼のひとつでも言って貰いたいね」


「…かたじけない」


「え〜気持ち悪」


「…」


 良かった。本当に良かった


「そんなことより病み上がりに

 こんなことを頼むのはどうかと思うが

 耐えてくれるか?」


「無論」


 ゴードンが前に出た。俺は反対側に走り出す


◆◇◆◇◆


「ティーナ!」


 前線維持にティーナ、手数にアルトラ、補助火力にエリアの順番で起こす算段を整え『解毒薬』の調合に移り、ゴードンと同様に投与する


「アーツさん?」


「良かった」


 戦闘の余波で手元が震える。スライムの手持ちをもっと持ってくるべきだったと後悔が頭をよぎる。この状況で悠長に2人を治療するのは危険だ


「ゴードンの援護と伝言」


「【天使の光輪】、伝言とは」


「撤退を前提に体力温存」


「分かりました」

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