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【天賦拝命】アーツブローカーの苦節  作者: 中折れ青二才
ep0《神銀の剣・喪失編》
17/26

人狼の幼体《シズク》ー1

◆◇◆◇◆


『錬成』『調合』『読書』『読解』より

《結合阻害薬》《結合分離薬》を学んだ


「…」


「アーツ、読書中?」


「調合書をな」


「面白い?」


 面白い?か、当然


「あぁ面白い」


 読み倒した本の内容、歴史を経るごとに少しずつ加筆、修正されること25回目の同一の書物。改修に改修を重ねる理由は一重に品質の向上のためだろう


 文章の加筆・修正───一文、一節、単語まで。新しい調合器具に方法、より良い品質、代替可能な材料の発見に至るまでにどれ程の時間を費やしたのか、真新しいはずの本から何十年、何百年の苦悩が読み取れる


 そんな書物が面白くない訳がない。よしんば面白くないとて興味深いのは事実だ


「さて」


 俺は本を閉じ、手持ちの薬草袋をひっくり返す。薬1本分は作れそうだが2本ともなると幾つか不足分を買いに行かなければいけないことを確認した


 取り敢えず《結合分離薬》を煎じて飲ませた。血中に残る毒性で再結合する恐れがあるものの末端が壊死するまでの猶予を受けるにはこちらが優先だと判断しての行動だった


「出かけてきますんで

 その子の面倒を」


「ん」


 エリアさんは不服そうにしながらも返事をしてくれた


◆◇◆◇◆


 買い出しの最中


「…」


 ふと見上げれば丘に残る木々の密集地が見えた。季節柄青々とした木の立ち並ぶ一般的な景色ながらも瞬きの間ばかり視線が固まる


 アビーク公の開拓により森の後退の名残だろうか───木々の手前の草原には若木や若草が目立っている


「そう言えば」


 ティーナの言っていた恐竜もあの辺りに出ているのだろうか、皆が帰ってきたら調査の後討伐しなければならないな


「…」


 分かっていたとしても不安感が拭えずにいる。行って帰ってくるなら『暗黒化』で可能だろう。如何に強力とて小型種、物理防御最高峰の『力』を突破できるだけの『技』はない。有効打がこちらにもないことを除けば戦線離脱時が問題になるだけで調査自体は行える


「急ぐな」


『法制』より

 俺は自分にそう言い聞かせた。下手すれば町に被害が出る。それはいつかにアルトラが犯そうとした《特定スキル行使制限》と同等の極刑が課される《特定指定生物誘致罪》に該当しかねない


 短絡的な行動は損気を招く、気をつけなければ


「それより

 奴隷制度違反者の解決が優先が急務だな」

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