《教会からの厄介ごと》
◆◇◆◇◆
「ただいま戻りました」
「…ティーナ」
「アーツさん、お疲れ様です」
「お疲れ様です。じゃねぇよ」
宿屋でアルトラが助けた小さな獣人───人狼の幼体を看病していた所にティーナが戻ってきた。俺はティーナに不満を隠すことなく言った
「何でアルトラを放置した
厄毒の効果がわかってないんだぞ」
「それについては謝罪を」
「それで?何故離れた」
「ひとつはアルトラ様の行為に目を瞑るため」
「おい、監督役」
変に人間臭い行動が増えた様に見える。せめて役回りは真っ当しろよ
「あの男があまりに横暴だったので、つい」
「つい、じゃねぇ
剣抜いてたら極刑だぞ」
「…はい、申し訳ございません」
「で?ひとつってことは
他にも理由があるんだろ?」
「近場の森でドラゴンの目撃情報がありました」
「…それは、確かな情報筋か?」
「教会からの伝令です。間違いないかと」
「…何でこうも厄介ごとが重なるのか」
『ドラゴンの知識』より
多くを空飛ぶ筋骨の発達した巨大なトカゲのような姿をしているモノを指す。共通の特徴としてその体表には硬い鱗による全身鎧を纏い、四肢を地面に設置させ、巨岩を容易く裂く爪と山をひと飲みする顎と牙を持ち、口から『ブレス』を放つ存在のこと
しばしば、大小に限らず自然を荒らし生態系を殺す存在にも関わらず有智種族という矛盾の具現化がドラゴンなのである。それにより亜竜と呼ばれることもあり、竜とは別種とされている
「大きさと種類」
「小型の恐竜種です」
「レックスかぁ…面倒くさ」
『恐竜種の知識』───ドラゴンの中でも一際異彩を放つ存在。前腕とされる前足は退化したのか短く弱いがその脅威はそれ以外である
筋肉の発達により鱗すら不要となった足
より凶暴性を増した顎・咬合力
『ブレス』と引き換えに手に入れた『咆哮』
『咆哮』───魔力や物質を放出する質量攻撃を行う『ブレス』とは違い、振動や衝撃を発生させること。その多くは盾を構えていようと防げないことから直接攻撃と呼ばれる防御不可の異名を持っている
大小で発生する個体差が討伐難度を激変させる点も異質さを物語る───大きい個体は咆哮や質量による凶悪性を持ち、小さな個体は機動力と隠密性を持っていることが挙げられる
「まさか」
「討伐命令が出ています」
◆◇◆◇◆
『状況整理』より
《厄毒の解析と解毒方法の模索》
《公爵からの招待状》
《アルトラの我儘》
《恐竜種の討伐命令》が挙げられる
「…」
一度に来られても対処のしようがないのだが?




