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95. キャベツ豚肉炒

翌朝、俺はユーナにそっと揺り起こされた。うとうとした意識の中、彼女から漂う淡い梅の香りが鼻を抜け、宿のカビ臭など比べものにならなかった。


俺は眠たげな目をこすりながら起き上がり、瞳はまだ半分開かず、髪もぼさぼさに頬に張りついている。


「私、わかったわかった、揺らさないで。起きるからいいでしょ。」


俺はぶつぶつと呟き、ゆっくり布団をめくって床に足を下ろす。ひんやりとした床の感触が足裏に伝わり、朦朧とした頭がすっかり冴えてきた。


この宿の設備は極めて簡素で、部屋に専用の洗面所など備わっていない。


部屋の入り口前に小さな木桶が置かれ、きれいな水が張られているだけ。外壁沿いに簡素な排水口があるが、見た目はたいへん雑な造りだ。


俺は眉をひそめ、心の中でつい愚痴をこぼす。仕方がない、どれほど簡素でも、身だしなみを整えないわけにはいかない。


心の奥は四十三歳の中年である俺でも、だらしない身なりのまま学院へ行くのは耐えられない。


どうせなら身だしなみに気を遣うタイプだから、朝の身支度だけは手を抜くわけにはいかない。


ユーナはすでに荷物をまとめ、ベッド脇の椅子に置いて待っていた。俺が身支度を終えるのを見ると、そっと近づいて襟元を整え、柔らかな口調で言った。


「小姐、そろそろ出発しても大丈夫です。」


俺はうなずき、洗面道具を空間手環に収める。ユーナに従って階段を下り、カウンターに座る少女に部屋の鍵を返した。


昨日の女店主ではなく、交代で勤めに来た若い少女だ。あどけない雰囲気を漂わせ、鍵を受け取ると軽くうなずいただけで、余計な言葉はなかった。


朝食は適当に済ませるしかない。俺は心の中で考える。学院の近くにパン屋があるから、サンドイッチ一つで済ませよう。


正直、サンドイッチは好きではない。パンに冷たいハムを挟んだだけで、味気ない。


だが時間も迫っているし、わざわざ落ち着いた朝食屋を探していたら遅刻は確実だ。普段から時間通りに登校することも少ないけれど、


今日は新学期初日だけは、先生の顔を立てないわけにはいかない。


選択肢などない。俺は我慢して受け入れるしかない。


足早に学院近くのパン屋へ向かい、俺は急いでハムサンドイッチを買って銅貨を支払う。ユーナに引っ張られるように、アムニット学院の方へ急いだ。


サンドイッチのパンは固く乾いており、一口齧るとハムの塩気ばかりが口に広がる。俺は思わず眉をひそめた。


やがて学院の門に着くと、すでに多くの生徒が次々と校内へ入っていく。


誰もが休暇の暇だるさを残しつつ、新学期へのわくわくした期待を隠しきれない様子だ。


新学期ということで、学院は教室の配置を変更している可能性が高い。俺とユーナは以前の教室に直行せず、


まず学院の掲示板へ向かう。そこには全生徒のクラスと教室の割り当てが貼り出されている。


案の定、掲示板の前は人だかりになり、生徒たちが教室のことでわいわいと談笑している。


押し合いへし合い、たいへんにぎやかだ。


俺とユーナは人混みの外側に立ち、大変な思いをして十分ほどかけ、やっと最前列までもぐり込んだ。


視線を素早く掲示板に走らせ、すぐに俺の名前を見つける。


幸い、教室は以前と同じ場所だった。新たに道を探す必要もなく、俺はほっと胸をなでおろした。


教室を確認した後、俺たちは教学棟へ向かった。


教室の扉を開けた瞬間、フィオナ先生がすでに教壇の前に立っているのが見えた。


薄色の授業服を着て、うつむいて教科書を整理しており、ずいぶん前から待機してくれていたらしい。


俺たちは窓際の席を選んで座る。座って五分も経たないうちに、ほかのクラスメイトも次々と教室に戻り、好きな席に腰を下ろしていく。


新学期はまだ固定席が決まっていないため、誰も自由に席を選べる。ほとんどの人が仲の良い友達同士で隣に座っている。


しばらくすると、チャーリーとニーナも教室に入ってきた。


二人はすぐに俺たちを見つけ、嬉しそうな笑みを浮かべた。


俺とユーナもすぐに手を振り、大きく瞬きして、隣に座るよう合図する。


二人は意図を汲み取り、足早にこちらへ来て、隣の椅子を引いて座った。


こうして四人が一緒に座れたので、授業中大声で話せなくても、こっそり世間話をするのも楽になる。


さらに十分ほど経つと、教室の生徒はほぼ全員揃った。


フィオナ先生が教壇の椅子から立ち上がり、そっと教壇をノックする。教室は一瞬で静まり返った。


先生は軽く咳払いをし、新学期初回の注意事項を話し始める。授業の規律、宿題の規定、今学期の学習内容などが主な話題だ。


口調は穏やかながら真剣さも含まれ、生徒たちもきちんと姿勢を正して聞き入り、騒ぐ者は一人もいない。


初日の授業は長くはなく、昼頃には最後の授業が終わった。


チャイムが鳴った瞬間、俺は思わず大きく背伸びをする。体の骨が微かに軋む音が響いた。


チャーリーとニーナは教科書を片付け、すぐに私たちの元へ寄ってくる。チャーリーは期待に満ちた笑みを浮かべ、俺の腕を軽く引っ張る。


「ケイシー、ユーナ、お昼一緒に街をぶらつきましょう。学院の近くにアクセサリー屋が新しくオープンしたんですって。店内の小物がすごく可愛いらしいから、見に行かない?」


俺の心も少し揺れる。久しぶりに二人で街を歩きたい気持ちは強い。


だが借りている部屋の埃だらけの様子を思い出すと、俺は仕方なく首を振り、申し訳なさを含んだ口調で言う。


「ごめんね、チャーリー。私たち一緒に行けないの。部屋の掃除をしなきゃいけないの。昨日は遅くて片付けられなかったし、このまま放っておくと住めなくなっちゃう。」


チャーリーの期待は一瞬で消え、わずかに落胆した表情を浮かべ、口元も少し下がる。


だが、二秒もしないうちに、すぐに笑顔を取り戻し、輝いた瞳で俺たちを見つめる。


「大丈夫大丈夫、街歩きはいつでもできるわ。それよりニーナ、私たちもケイシーの部屋の掃除を手伝いに行きましょう!」


「えっ、いやだよ!」ニーナはすぐに眉をひそめ、嫌がるように手を振り、不本意な気持ちを隠さない。


「部屋の掃除なんて面倒くさいし、汚れるし疲れるし、私絶対行きたくない!」


そう言って後ろに下がろうとするのは、こっそり逃げ出そうとしている証拠だ。


だがチャーリーは彼女の拒否を許さない。後ろに下がる間も与えず、すぐに腕を掴むと、


教室の入り口へ引っ張っていきながら言う。「ぐちぐち言わないで、早く行きなさい。ケイシーの手伝いが終わったら、それから街をぶらつければいいじゃない。」


ニーナは引っ張られてよろけ、無力な表情を浮かべるが、力を抜いて逃れることもできない。


仕方なく眉をひそめ、小声でぶつぶつ呟きながら、チャーリーに連れられ、私たちの後ろをついて借家の方へ向かった。


俺とユーナは二人のやり取りを見て思わず顔を見合わせて笑い、心がほんのり温かくなる。こんな友達がいて、俺は本当に幸せだ。


チャーリーとニーナのおかげで、散らかって埃まみれだった借家はあっという間にきれいに片付いた。


俺は水魔法で埃やクモの巣を払い、ユーナは衣類や雑貨を整理する。チャーリーとニーナはテーブル、椅子、窓を拭き掃除する。


丸一日かかると思っていた掃除も、日暮れが訪れる前に隅々までピカピカになった。


きれいに整った部屋を見て、俺は心から感謝し、二人に笑みを向ける。


「本当にありがとう。近くの王女レストランで私がご飯をおごるわ。」


チャーリーとニーナの瞳は一瞬で輝き、すぐにうなずいた。


俺は苦笑しながら三人を連れ、王女レストランの方へ歩き出す。


夏休みの間に、王女レストランは公爵邸に置いてある特注中華鍋の寸法に合わせ、同じ仕様の鍋を取り寄せたと俺は聞いていた。


今ではレストランの炒め物料理の種類も増え、俺が休暇中に考案した新作料理もメニューに加わっている。ちょうど二人に味見をさせてあげよう。


王女レストランに入り、窓際の席に座ると、給仕がすぐにメニューを持ってきた。


俺は迷わずキャベツ豚肉炒めセットを注文し、主食はライスにする。


これは俺が休暇中に考案した新作料理で、シンプルで美味しく、俺自身も大好きだ。


ユーナは黒胡椒ビーフパスタを注文した。普段からパスタが好きな彼女は、メニューを見てすぐに決めた。


チャーリーはメニューをめくった末、やっぱり豚の角煮丼を選んだ。


本当にいつまでも豚の角煮丼が大好きな子だと俺は内心思う。


ニーナは手を振って笑いながら言う。「私はあまり頼まないわ。さっき掃除の間にお菓子を食べちゃったから、お腹が空いていないの。牛肉スープ麺だけにするね。」


炒め物なので、俺のキャベツ豚肉炒めセットはすぐに運ばれてきた。


湯気が立ち上り、濃厚な肉の香りと野菜の清らかな香りが一気に広がり、食欲がそそられる。


この料理の作り方はとてもシンプルだ。豚肉は脂身と赤身のバランスが良い豚バラ肉を俺は選ぶ。


熱した鍋で肉を炒めて香りを引き出すと、豚バラの脂がじっくり染み出す。その脂をキャベツにまとわせ、


あっさりしたキャベツに濃厚な肉の旨みを染み込ませ、少量の塩と自家製醤油で味を調えて塩気と旨みを引き立てる。


こうしてシンプルで美味しいキャベツ豚肉炒めが完成するのだ。

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