62. 緑の迷宮、古の帝国と、戦いの予兆
「まあ、テントが崩れただけで、壊されてなかっただけマシですね。組み立て直せばいいですし。」
ユーナも周りを見回し、安堵の息を漏らした。
「チャーリー、ニーナ、手伝って。クローディア様はそこで休んでいてください。」
チャーリーとニーナは頷き、素早く歩み寄って支柱を支える。
俺は魔力を使い果たし、体も疲弊している。手伝うどころか、足手まといになりかねない。
篝火のそばに腰を下ろし、視線をキャンプの脇へ向ける。
そこには元々、澄んだ小川が流れていた。だが場面の変化とともに、小川は消えていた。
代わりにそびえ立つのは、雲を突くほどの険しい山。岩肌がむき出しになり、峰には薄い雪が被っている。
小川があった場所には、深く長い溝が走っていた。幅もちょうどよく、周りの枯れた草が一部を隠している。
罠を仕掛けるにはうってつけの地形だ。
溝を見つめ、俺は目を細めた。
――ここに罠を仕掛ければ、次に魔物と遭遇した時、時間稼ぎができる。戦いの負担も減る。
魔力薬水を啜りながら、残ったわずかな魔力を集中させて索敵魔法を放つ。
魔力が山の方角へ広がり、周囲の動きが脳内にフィードバックされてくる。
薬水はまだ半分ほど残っている。温かい魔力が体内を流れ、魔法を維持し、疲労も徐々に和らいでいく。
間もなく、索敵に反応があった。
山裾のまばらな樹林に、かすかな魔力の波動がある。薄くて、注意深く探さなければ気づかない程度だ。
強力な魔物ではないが、決して油断できる相手でもない。
眉をひそめ、警戒の色を浮かべながら、その波動の動きを追い続ける。
やがて、あの弱い波動は遠くへ向かって移動し始めた。速くはないが、慎重だ。
障害物を避けながら、ためらうことなく進んでいく。
俺は索敵魔法を解除し、指先の青い光が消える。
答えは出た。
あの波動は、弱い魔物で、キャンプに近づくのを恐れているのか。
あるいはゴブリンのように知性があり、協力する魔物――斥候なのだろう。
人数が少ない我々を見て、攻撃せずに退却し、報告に向かったのだ。
俺は後者の可能性に傾いていた。
ここは地下城の第三関門だ。常識的に考えて、魔物は前の二関門より強くなるはずだ。
第一関門のゴブリン、第二関門の森妖。どちらも弱くはなかった。
第三関門に弱小な魔物しかいないはずがない。
つまり、あの波動は魔物の斥候が虚実を探りに来たのだ。
考えが及ぶと、警戒心がさらに強まる。
今日中に準備を整えねば。罠を仕掛け、配置を整え、魔物の襲撃に備えなければ。
ユーナとチャーリーはあっという間にテントを組み立てた。
二つのテントは大きすぎず小さすぎず、四人分ちょうどの大きさだ。
俺とユーナが一つ、チャーリーとニーナが一つ。
テントができたら、ユーナは夕食の支度に取り掛かった。
腕輪から食材を取り出し、篝火のそばに鍋をかけて煮込み始める。
間もなく、濃厚なシチューの香りが、かすかな梅の花の香りと混ざって漂い始めた。
食欲をそそる匂いだ。
チャーリーはそばに座り、時折こっそり味見しようとするが、ユーナにそっと押し返されている。
ニーナは石の上に座り、静かにしていた。
シチューの香りを嗅いだ時、小さく鼻を動かし、目に見えない期待の色が浮かんだ。
体を少し伸ばし、これまでの縮こまりが和らいだ。
俺は篝火のそばで残りの薬水を飲みながら、彼女たちの忙しい姿を見守った。
夕食はすぐにできた。
ユーナがシチューを四杯に分け、我々に配る。
温かいシチューを柔らかいパンと一緒に食べると、体全体が温まる。
魔力も少し回復し、疲労感も軽減した。
チャーリーは一番早く食べた。もりもりと、食べながら絶賛する。
「ユーナ、美味しすぎる! お肉入ってないのに、今まで食べたものの中で一番だよ!」
ユーナは微笑んで、優しく言った。
「美味しいなら、もっと食べて。まだたくさんあるから。」
ニーナはゆっくりと、小さく一口ずつ食べていた。
瞳を伏せ、頬にかすかな紅潮を浮かべ、はにかんだ様子だ。
夕食を終えると、チャーリーとニーナは疲れを見せ始めた。
二人は顔を見合わせ、チャーリーが先に口を開いた。
「クローディア、ユーナ、先に寝るね。眠くて眠くて……」
ニーナも頷き、目に深い疲労の色を浮かべた。
「うん、行って休んで。夜は俺とユーナが交替で見張るから、危険はない。」
俺は優しく言った。
二人は頷き、テントへ向かった。
間もなく、チャーリーの規則正しいいびきが聞こえ始めた。
ニーナは静かで、深く眠っているのだろう。
テントの方角を見て、俺は小さく微笑んだ。
この地下城は奇妙だ。昼も夜もない。空はいつも明るく、周囲のすべてがはっきり見える。
だからこそ、我々はいつでも警戒でき、魔物の奇襲を避けられる。
ただ、夜がないため、時間の経過を判断しにくい。感覚だけで、どれくらい経ったかを推測するしかない。
篝火の炎が跳ね、「ぱちぱち」と音を立てながら、頬を温かく照らす。
ユーナは篝火の向こう側に座り、残りの物資を確認していた。動作は静かだ。
俺はしばらく黙っていた。
そして、テントの中で眠る二人を指差し、ユーナに向かって言った。
「ユーナ、明日、俺が発明したあの二本の燧発銃を、あいつらに渡そう。」
声は迷いなく、確かだった。
先ほどの索敵を経て、次の挑戦が容易でないことを確信していた。武器を配れば、保障が一つ増える。
ユーナの動きが少し止まり、顔を上げた。目には疑問の色が満ちている。
「……何かありましたか? どうして急に燧発銃を? 性能がまだ不完全だから、しばらく渡さないとおっしゃっていたのに。」
彼女は知っていた。俺の発明した燧発銃は性能が悪く、むしろ粗末だ。
完成してから渡すつもりだと、ずっと思っていたはずだ。
俺は直接答えず、腕輪を弄った。
微かな光とともに、真鍮製の鎧の破片が取り出された。ユーナの前に差し出す。
鎧の破片は大きくない。複雑な紋様が刻まれ、新品同様で、かすかな真鍮の光沢を放っている。
鍛造の跡は鮮明だ。
あれは古グリンマンランク帝国特有の工芸だ。精緻で整然としており、今の職人が再現できないものだ。
ユーナは鎧の破片を受け取り、よく見た。
指先で紋様を撫で、驚きの色を目に浮かべた。
そして俺の意図を察し、不確かな口調で言った。
「……もしかして、この地下城がグリンマンランク帝国時代に生成されたものだと、疑っておいでですか?」
声は微かに震えていた。
明らかに、この推測に驚いていたのだ。
古グリンマンランク帝国は歴史の彼方に消え、今から千年前のことだ。
まさかこの地下城があの時代の産物だとは。
俺は頷き、重苦しい声で言った。
「ああ、そう疑っている。見てくれ、この鎧の破片の工芸は明らかに古グリンマンランク帝国の鍛冶場の手口だ。
新品同様に見えるが、紋様からして絶対にハーラント帝国の職人が再現できるものじゃない。彼らにはここまでの技がない。
それに、入口の二本の彫刻柱の紋様も古帝国のものだ。これが裏付けになる。」
「どこで見つけたのですか?」
ユーナはまた尋ねた。指はまだ鎧の破片を撫で、目には驚きが満ちている。
心の中で推測はあるが、やはり確認したくてたまらない様子だ。
彼女は知っていた。俺が無意味に鎧の破片を取り出したり、根拠のない推測をしたりする人間ではない。
この鎧の破片は、古帝国と何らかの関係があるはずだ。
「キャンプに戻った時、魔力で周囲を索敵したら、山裾の樹林にあの弱い魔力の波動と、この鎧の破片を見つけたんだ。」
俺はゆっくりと口を開き、声は相変わらず重苦しく、目には警戒の色が満ちていた。
「あの波動は弱くて、直接攻撃はしてこなかった。キャンプの近くにしばらく留まり、様子を見てから、山の方角へ去っていった。」
「その習性は、古グリンマンランク帝国軍の斥候だ。」
呆然とするユーナを見て、俺は続けた。声の重苦しさは増す一方だ。
「だから俺は疑っている。次に我々が直面するのは、普通の魔物じゃなく、古帝国の衛兵隊だ。
彼らはかつて、この帝国衛兵隊を以て大陸全体を統一した。軍隊の規律は厳格で、戦闘力は強大だ。
ゴブリンや森妖より、はるかに危険だ。」
これは大げさな話ではない。
かつてグリンマンランク王国は、王国に昇格した後もこの衛兵隊を引き継ぎ、それを以て支配していた帝国を打ち破った。
グリンマンランク帝国の初代皇帝も、こうした帝国衛兵隊を以て、大陸を統一した。
ユーナは軽く頷いて理解を示したが、顔の驚きは消えず、目には信じられないという色が満ちていた。
唇を動かしたが、言葉は出なかった。
彼女はどうしても、この地下城が本当に古帝国時代のものだとは信じられなかったのだろう。
次に直面するのが、伝説の強大な古帝国衛兵隊だなんて。
俺は彼女の驚いた様子を見て、この推測が受け入れがたいものだと心の中で理解していた。
ゴブリンが今の帝国の範囲内で絶滅したのは、古グリンマンランク帝国が興隆し、大々的に拡張していた時期だ。
森に依存して生きていた森妖も、あの時代に森林が大量に伐採され、住む場所を失って滅んだ。
そして今、俺は山裾で古帝国の工芸の鎧の破片を拾った。
すべてが、俺の推測を裏付けている。
この地下城は確かに、古グリンマンランク帝国時代に生まれたものだ。




