322. お袋に言ってやる、俺は腰抜けじゃないって
彼の手の短剣が、高い窓から差す光の中で短い光を反射し、それから彼はそれを侍従に返した。
「見事だ、オブライエン将軍。さすがは朕の忠臣よ」
彼は振り返り、侍従が捧げ持つ盆から羽根ペンを一本取り、すでに書き上げられた命令書に署名し、それからその紙を折って、階段の下に立つ伝令官に渡した。
「こうしよう。インゲリア陸軍部隊から、魔術師の部隊をいくつか選んでそなたに配属する。彼らを艦隊とともに出航させ、そなたにいくらかの魔術の支援を与えよう。そうすれば、そなたはもっと容易くエリクソン公爵の海軍を打ち破れるだろう」
ライオネルは命令書を受け取り、軍服の内側のポケットにしまい、再び拱手した。
彼は多くを語らず、振り返って広間の脇戸の方へ歩いた。
克珀港海軍埠頭。
埠頭の木造の桟橋は海面へ向かっておよそ二百メートル突き出し、両側には大小さまざまな帆船が停泊していた。
一番手前の数隻は二本マストの縦帆船で、船体は深い灰色に塗られ、舷側の上端には白い細い縁が一本刷られていた。インゲリア海軍の標準塗装だ。
その先にはもっと大きな船が並び、三本マストの横帆船で、船尾楼は高くそびえ、舷側の蓋板はすべて閉じられ、整然と並ぶ四角い射出口の輪郭だけが一列に見え、バリスタの架台が蓋板の隙間からかすかに覗いていた。
桟橋には巻かれた太綱と空の木樽が積まれ、水夫が数人、一艘の舷側にしゃがみ、スクレーパーで船殻に付いたフジツボを削っていた。金属が木を擦る、規則正しい「シャッ、シャッ」という音が断続的に響いていた。
ライオネル・オブライエンは桟橋を歩き、軍靴が板の継ぎ目を踏んでいった。
彼の歩調は速くも遅くもなく、視線は停泊する艦船を一隻ずつ見渡し、心のうちで出航の準備が整った船の数を数えていた。
彼は一艘の二本マスト縦帆船の前で足を緩め、船尾甲板に固定された軽バリスタを一目見た。鋳鉄の台座で、弓腕は弛んだ状態にあり、弦の端に結ばれた輪が風の中で軽く揺れていた。
同じく深い藍色の制服を着た若者が、埠頭の詰所の方から駆けてきて、彼の前で立ち止まり、踵を揃え、右手を帽の鍔に当てて、型通りの敬礼をした。
「オブライエン将軍、こんにちは! 本日は埠頭へ何か御用でしょうか?」
ライオネルは足を止め、目の前の若い士官を見た。
フィリップ・ヘンリー、海軍大佐、今年三十二歳。克珀港基地で最も若い大佐級の指揮官だ。
彼の制服はきちんとアイロンがけされ、襟のホックは一糸乱れず留められていた。
「フィリップ大佐」ライオネルは挨拶も抜きに、すぐに本題へ入った。
「三日後、我々は全軍で出航する。目標は、エリクソン公国海軍。ハーランド北部海域での上陸作戦と見られる。彼らの艦隊が上陸地点に着く前に、我々が迎撃しなければならない」
彼は一旦言葉を切り、付け加えた。
「今すぐ全水夫を呼び戻し、野営地へ戻して出航の支度をさせろ。食料と真水の配給は、出航十五日分の基準で積み込め。弾薬は、大型の弩矢と鎖付き矢を満載にし、散弾は半分に減らせ。今回の主な相手は木造の中・小型艦船だ。鎖付き矢と大型弩矢のほうが、散弾より効く。投石機の錘石は一船あたり六発を基準に配備しろ。それ以上積むと船足が鈍る」
フィリップは「全軍出航」の四文字を聞いたとき、眉が半秒とかからず上がったが、すぐにまた平らに戻った。
「了解、必ず任務を遂行します」
彼は余計な質問もせず、ためらいも驚きも見せなかった。
彼は再びライオネルに敬礼し、それから振り返って、野営地の出口の方へ早足で駆けていった。
彼の足音は桟橋の板の上でたちまち遠ざかり、やがて埠頭の風と波の音に覆われた。
ライオネルは桟橋を先へ進み続けた。
およそ二十歩ほど歩いたところで、背後、埠頭の入り口の方から、ざわめきが聞こえてきた。
誰かが彼の名を呼んでいる。声は遠くから近くへ、次第にはっきりとしてきた。
「ライオネル兄さん、待ってよー」
その声は息を切らしていて、明らかに走ってきたのだと分かった。
ライオネルは足を止め、振り返り、声のした方へ目を向けた。
インゲリア陸軍の制服を着た若者が、埠頭の入り口から駆けてくるところだった。
彼の軍服の色は海軍の深い藍より薄く、墨緑がかった調子で、襟は開いたままだった。ホックは留められていなかった。
彼は近くまで来ると足を緩め、ライオネルの前で立ち止まり、両手を膝に突いて二度息を吐き、それから背を伸ばし、いくぶん昂った笑みを浮かべた。
「ユージン?」ライオネルは彼を見て、驚いた表情をした。
「ここは海軍基地だぞ。お前、何しに来たんだ?」
ユージン・フィッシャー。今年、二十歳を少し出たあたりだろう。ライオネルは彼の年齢をはっきりとは覚えていなかった。去年、陸軍士官学校を卒業したばかりだということだけは知っていた。
彼は自分の母方の血筋で、フィッシャー家とオブライエン家は先々代で縁組をしており、輩行で言えば、自分を従兄と呼ぶ間柄だった。
ユージンは手の甲で額の汗を拭い、息を吐き出し、にこにこと説明した。
「上が俺を寄越したんです。俺たちは今回、陸軍から海軍の応援に来た魔術師部隊で、俺もその一人なんです」
彼が話すとき、声には隠そうともしない昂りがあった。
まるでこれから参加するのが海戦ではなく、遠足であるかのようだった。
ライオネルは、彼の顔のあの笑みを見て、二、三秒黙った。
海軍を支援する陸軍の魔術師部隊。
彼はもちろん、その話を知っていた。
国王アルジャーノンは出発前に、陸軍から魔術師部隊を割いて彼の艦隊に配属すると、確かに言っていた。
だが、そのなかにユージンがいるとは思っていなかった。
インゲリアの陸軍魔術師の総数は多くなく、たいていは各地の辺境の要塞や主力兵団に配属され、海軍の艦船に派遣されることはほとんどなかった。
「お前は来るべきじゃなかった」とライオネルは言った。
その口調は重くも、軽くもなかった。
年長者が、目下に、ある道は行ってはいけないと教えるようになった。
規則が許さないからではなく、自分がその道を歩いたことがあり、その道が何に通じるかを知っているから。
ユージンは明らかに、この言葉の重みを完全には受け止められなかった。
彼は首を少し傾げ、それでも笑みを浮かべたまま、軽やかな口調で言った。
「でも、今回が俺の初陣なんですよ。最後尾に引っ込んで指をくわえて見てるなんて、できるわけないじゃないですか。それに、エリクソン公国なんて、出来たばかりの小さな公国でしょ? そこまで怖がる相手じゃないと思うんですけど」
ライオネルはすぐには答えなかった。
彼はユージンの表情を見た。
好奇心と期待と、少しばかりの「自分を証明したい」という焦りが混ざった、若者だけが持つあの表情だった。
彼はこの表情を、あまりにも何度も見てきた。
士官学校を出たばかりの少尉の顔に、初めて戦艦に乗り込む見習い士官の顔に、まだ血を見たことがなく、弩矢が頭上を唸って飛ぶ音を聞いたことがない新兵たちの顔に。
あの「怖い」ということが何を意味するのかを知らない表情。
彼は口を開いた。声はいくぶん低くなり、さっきより沈んでいた。
「戦場は、お前が思っているような遠足じゃない。人が死ぬ場所だ」
彼は一拍置き、ユージンの目を見て、この言葉が相手の耳に入ったのを確かめてから、続けた。
「私は結局、お前の兄のようなものだ。家族の立場から言っても、今回の作戦の指揮系統から言っても、お前の命に責任を負わねばならないし、お前の両親にも責任を負わねばならない」
彼の口調には、責める色も、説教の色もなかった。
ただの一つの陳述だった。
嵐が来る前に、綱がしっかり結ばれているか確かめる老水夫のように。
慌てはしないが、手の一つ一つの動きは真剣だった。
ユージンは口を開き、何か反論しようとしたようだった。
だが、ライオネルの表情を見て、すでに用意していたあの軽やかな反論は、口元で一回りし、また呑み込まれた。
彼は笑みを引っ込め、いくぶん真面目な表情に切り替えた。
「分かりました、ライオネル兄さん。じゃあ今回は、あなたの言う通り、一番後ろの船で見ています」
彼は言い、一拍置いて、また顎を少し上げた。
「でも、これから先、また戦いがあるなら、俺は突っ込みますからね」
彼は自分の胸甲をぽんと叩いた。
もっとも、その陸軍の制服には胸甲などなく、あるのは革製の肩章が一枚だけだった。
「俺、お袋に言ってやるんだ。俺は腰抜けじゃないって」
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