313. ロープウェイの小さな出来事
登山用具が部屋の絨毯の上に広げられ、あっというまに通路いっぱいを占めた。
三組のアイゼンが扉の位置に並べて置かれ、金属の歯が室内の灯りの下で冷たい白の光を反射していた。
三本のピッケルは窓辺の低い棚に置かれ、先端はゴムのキャップで保護されたまま、まだ開封されていなかった。
登山用のストックが六本、壁に立てかけられて一列に並び、伸縮部のつまみはすべて締められていた。
その脇にはダイナミックロープが数巻、アイススクリューが一本、クイックドローが数本散らばっていた。
水は山下で買ったものだ。
一リットル入りのミネラルウォーター六本が透明のビニール袋に入れられ、袋の口は固く結ばれ、テレビ台の脇に置かれていた。
その水の上に重しとして置かれていたのは、鋳鉄の鍋一つ。
鍋の胴は黒ずんでいる。
炉もガス缶も持ってきていない。
加熱には火魔法のほうがガス台よりずっと便利だ。
火をつける必要も、ガスのバルブを調整する必要も、燃料切れを心配する必要もない。
食料はほとんど用意しなかった。
消化ビスケット半袋、プレーン味。
ビニールの袋の中でビスケットはいくらか砕け、欠けらが袋の底に沈み、小麦を焼いた淡い黄色を帯びていた。
他の非常食は持ってきていない。
もし途中で腹が空いたら、転移門を開いて戻り、食事を済ませてからまた戻ればいい。
そのあいだに消費するのは魔力の水薬数本だけだ。
空間魔法をそういうふうに使うものではないが、誰がそれを咎めるだろう。
使えるならそれでいい。
本当に一式揃えねばならないのは、滑落を防ぐあの道具類だ。
アイゼン、ピッケル、ロープ、アイススクリュー。
これらは一つとして欠かせない。
もっとも、本当に手が滑っても大したことにはならないが。
この体は魔力の翼を具現できるし、母もユーナも同じようにできる。
落ちる瞬間に翼を広げ、また岩壁へ舞い戻ればいい。
新しい世界の体は、こういうところでは実に便利だ。
水をリュックのサイドポケットに押し込むとき、私はそんなことを考えていた。
「装備に問題がなければ、自分の鞄にしまって出発しようか」
母はアイゼンを一つ手に取り、裏返して底面の歯列を見て、親指で歯先の弧に沿って一度こすり、それから地面へ戻した。
「うん」
私はリュックのファスナーを閉め、チェストベルトを締め、部屋の真ん中で一度立ち止まり、肩のストラップから返ってくる重みを感じた。
リュックは背中に密着し、重心はウエストベルトに落ち、揺れなかった。
私たちの目標は雲龍雪山の主峰。
標高五千五百九十メートル、扇子峰せんしほうだ。
今日、あそこには初めて登頂する者たちがやってくる。
ビジターセンターは思っていたより賑わっていた。
大型バスが降車場に一台また一台と停まり、扉が開いて、人が水のように流れ出し、入り口のホールへ押し寄せた。
ホールにはダウンジャケットの貸し出しカウンター、酸素ボンベの自動販売機、そしてアイゼンを履くための長椅子が一列並んでいた。
壁の電光掲示板にはロープウェイの運行状況、現在の気温、そして標高の表示が流れていた。
人々はロープウェイ駅へ運ぶシャトルバスを待つ列を作っていた。
私はリュックを背負って列に立った。
前の人は蛍光色のアウトドアジャケットを着た中年の男性で、ちょうど酸素ボンベをリュックのサイドポケットに押し込んでいるところだった。
足元は掃き清められたばかりのコンクリートの地面で、登山靴の底からざらついた摩擦が伝わってきた。
人類はこの標高に、一本のロープウェイを築いた。
三千三百メートルの起点駅と、四千五百六メートルの上部駅。
その二点のあいだを鋼の索でまっすぐに引いたのだ。
施工のとき、資材を運んだり杭を固定したりする魔法はなかった。
部品を山の上へ念で送ることも、作業員を風の要素で空中に浮かせることもできない。
彼らは縄を使い、道具を使い、肩を使って、少しずつ担ぎ上げ、そして人を雪線より上へ運ぶ機械へと組み上げた。
私はこの列に並んで立ち、頭上には金属の屋根とアナウンスの音があった。
列はゆっくりと前へ進んだ。
しばらくして、私たちはようやくビジターセンター発のシャトルバスに乗り込み、山を回る道を二十分ほど走って、雪山の麓のロープウェイ駅に着いた。
新たな列だった。
前方にはやはりあの蛍光色のアウトドアジャケットを着た中年の男性。
彼は手にあの酸素ボンベを握り直し、マスクを顔に当て、吸気のたびに呼吸弁が小さな「カチッ」という音を立てていた。
何度か吸うと彼はマスクを外し、顔色はさっきのビジターセンターにいたときよりいくぶん良くなっていた。
ビジターセンターのホールには酸素発生装置があった。
彼はバスを降りても大丈夫だろうと思い、酸素ボンベをリュックのサイドポケットへ戻したのだろう。
だがロープウェイ駅のホールにはあの種の稼働し続ける機械がない。
標高はビジターセンターより三百メートルほど高いだけだ。
だが、その三百メートルで、彼はもう耐えられなくなっていた。
私たち三人は彼と同じゴンドラに乗り込んだ。
車両は大きくなく、定員六名で、私たち家族がその半分を占めた。
後ろに並んでいた四人の家族は乗ってこなかった。
彼らは別れて座ることを望まず、こちらへ手を振って、先に行くよう促した。
こうして車内には私たち三人のほかには、あの蛍光色のアウトドアジャケットを着た中年の男性だけになった。
ゴンドラの扉が閉まり、くぐもった音がして、車体は鋼索に沿ってゆっくりと昇り始めた。
足元の床がかすかに揺れ、吊り籠は最初の支柱を通過するとき一度跳ねた。
中年の男性は腰を下ろしてから、視線を私たち三人の顔の上へ順に走らせ、それからどこか気まずそうな笑みを浮かべた。
唇が動き、声はとても小さく、自分自身に言い聞かせるようだった。
「おやおや、三人とも外国人か。私ゃ青龍語せいりゅうごもわからんし……」
「おじさん、さっきのその状態で、本当に山へ登るつもりですか?」
ユーナが口を開いた。
標準的な紅龍語で、発音は明瞭で、語尾は上がらなかった。
彼女は彼を見つめ、その口調は気遣いとも好奇心とも言えない、ただの問いかけだった。
中年の男性は一瞬固まった。
このピンクの髪の小さな女の子が、こんなに流暢な紅龍語を話すとは思っていなかったのだろう。
顔に浮かんだ気まずさは一秒も経たずに乾いた笑いへと変わった。
「いやあ、これは、来都来了(せっかく来たんだから)ってやつでね。チケットも買ったし、ここで行かなきゃ損だと思ってさ」
ユーナはそれ以上追及しなかった。
彼女はただ「ふうん」と一声返し、それから向き直って窓の外の景色を見た。
ゴンドラはさらに昇り、下の松林はすでに深い緑のフェルトのような広がりにまで縮んでいた。
中年の男性はしばらく黙り、視線をまた私たちの上へ戻した。
彼は母と私のあいだを二度見比べ、それから体をわずかに前に傾け、声にいくらか探るような昂りを混ぜた。
「失礼ですが、この金髪の女性と、この白い髪の小さな女の子、お二人は、もしかして……」
言葉が終わらないうちに。
母が手を伸ばし、私を一抱きに抱き寄せた。
彼女の掌が私の頭を覆い、五指がわずかに曲がり、指の腹が地肌に触れて軽く一度揉むように動いた。
「そうよ」と彼女は言った。声には笑みが混じっていた。
「私がこの子の母です。ヘレナといいます。この子はクローディア」
彼女の掌はとても温かかった。
指先が私の髪の間をゆっくりと滑り、強さは強くないが、身動きしたくなくなるほどの心地よさがあった。
掌の肌越しに彼女の体温が伝わってくるのを感じた。
頭の頂から背骨に沿って下へ、まるでちょうどいい温度の湯に浸かったときのように広がっていった。
私の肩は力を抜き、体は自然と彼女の方へ寄りかかった。
前世の記憶のなかで、こうして頭を撫でられたことは一度もなかった。
あの頃、ユーナも何度か試したことがあったが、私はそのたびに避けていた。
嫌いだからではない。
どう受け止めればいいのか分からなかったからだ。
一度受け入れてしまえば、自分がそういうものを必要としていると認めることになる。
あの頃の私にはできなかった。
だが今は違う。
母の掌が私の頭に載ったとき、私は避けなかった。
避けたくもなかった。
中年の男性は私たちを見て、笑いながら首を振った。
「娘さんとこんなに仲がいいなんて、羨ましい限りですよ。うちの坊主ときたら、四六時中、女房と私に反抗ばかりしてましてね」
彼は一拍置いて、また言った。
「でも、あいつのなかに俺がいることは分かってるんです。出張から帰るたびに、必ず現地の茶葉を土産に買ってきてくれるんで」
私は母の掌のなかで目を開けた。
視界が再び焦点を結んだとき、窓の外の樹木の限界はすでに足元へ退き、剥き出しの岩壁がゴンドラの両側からゆっくりと昇ってくるのが見えた。
ゴンドラはもう一つの支柱を通過し、吊り籠が軽く揺れた。
「まあ、それもいいじゃありませんか」母は口元を手で覆って小さく笑った。
「賑やかな家庭は、それだけ華やかというものですよ」
中年の男性は椅子の背にもたれ、顔の笑みがいくぶん緩んだ。
彼は窓の外の、次第に近づいてくる雪線を見つめ、何かを思い立ったような口調で言った。
「ははあ、そうですね。角度を変えてみれば、これはこれで悪くない話ですな」
ゴンドラはなおも昇っていった。
車内の静けさがしばらく続き、ただ滑車の上をロープが転がる低い摩擦音だけが残っていた。
玉龍雪山の大索道
下部駅(標高3,356m)から上部駅(標高4,506m)までを一気に結ぶ、世界でも有数の高標高観光ロープウェイです。わずか10分あまりで雪線(氷川公園)へと達することができます。
「来都来了」の文化背景
中国人の間で「四大寛容用語(四つの免罪符)」の一つとされる有名な決まり文句です。「せっかく遠くまでやって来たのだから(お金や時間をかけたのだから)、やらないと損だ」という心理を表します。高山病のリスクがあっても登ろうとする観光客のリアルな一面が巧みに描写されています。
扇子陡(せんしとう / 扇子峰)
玉龍雪山の最高峰(標高5,596m)。いまだ人類未踏峰とされる難峰(過去に挑戦した登山隊はあるが正規の登頂成功記録はないとされる)として知られています。作中で主人公たちがこの未知の領域を目指す冒険心が物語を大きく盛り上げています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




