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312. ホテルの朝食

 翌朝、布団にくるまっていた私の体が、数回揺さぶられた。


 目を開けると、ユーナの顔がすぐ近くにあった。


 彼女の目は見開かれていて、寝起きの気配がない。


 髪も結い直してある。


「クローディア、寝てないで、早く窓の外を見て」


 彼女は右手の床から天井までの窓の方を指差した。


 私は顔を横に向け、窓の方を見た。


 昨日は冷たく白かったあの雪山が、今は山体全体が朝の光に染められ、均一な黄金色になっていた。


 薄く一枚乗ったような明るさではなく、山全体が内側から光を透かしているようで、山頂の雪線から稜線の襞の奥まで、一つ一つの溝のすべてにあの暖色が注ぎ込まれていた。


 私は言葉が出なかった。


 どれほど見ていたのか、自分でも分からない。


 扉がノックされるまで。


「娘、ユーナ、あなたたち二人は起きたか? 雲龍雪山は見えたか?」


 母の声だった。


 彼女は自分の部屋で先に見て、それから私たちを見落としていないか確認しに来たのだろう。


「見えた」と私は返事をした。


 声は思っていたより渋かった。


 日照金山が続く時間は長くない。


 私たちはベッドの脇に三十分ほど座っていたが、あの均一な黄金色はもう変化し始めていた。


 山裾から始まり、金色が少しずつ後ろへ引いていき、稜線まで退き、雪線より上まで退き、最後には山頂の小さな一片だけが暖色を残した。


 そしてその小さな一片さえも、赤みを帯びた色へと変わっていった。


 三人ともそれぞれスマホを掲げ、窓に向けて何枚か撮った。


 今回出てくる前に、私たちは花の国の電気街で三台のスマホを買った。


 どれも最大容量2TBのモデルだ。


 店員がクラウド保存のプランを勧めてきたとき、私たちは断った。


 クラウドを信じていないからではない。


 帰ったあとでは使えないからだ。


 エリクソンの邸宅には、スマホの充電には十分なソーラーパネルが一枚据えられ、その後、燃油の発電機も一台増えた。


 電気の問題は解決したが、信号は位面を越えられない。


 地球のインターネットは、まだ二つの世界をまたいで使えるところまで発展していない。


 だから写真はスマホの中にしか保存できない。


 スマホに保存するのなら、大きいものを買えばいい。


 一台三十三万の花の国通貨。


 紅龍国の金相場で計算すれば、それほど非常識な額ではない。


 エリクソンに金貨が不足しているわけではない。


 少なくとも今は。


 もっとも、二つの世界のあいだの貿易赤字はいずれ問題になるだろう。


 座して山を空にする、そのことは私にも分かっている。


 だがそれは何百万年先か、何千万年先の話で、定かでもないし、今の私が気にすることでもない。


 私たちは部屋の扉を施錠し、室内の廊下をレストランの方へ歩いた。


 廊下の両側は床から天井までのガラスで、外の草の斜面が朝の光の下で淡い金色の艶を帯びていた。


 雪山の影がガラスに映り込み、本物の山と重なって、どちらが反射でどちらが向こう側なのか見分けがつかなかった。


 レストランの入り口に給仕が一人立っていて、濃い藍色の絞り染めのエプロンを腰に結び、手にクリップボードを持っていた。


 私たちが近づくのに気づくと、彼女は軽く腰をかがめ、手にしたクリップボードで窓際の方を指した。


「お三方、窓辺はいかがでしょう。そちらが雪山の眺めが一番よいのですが」


 私たちは彼女について窓際のテーブルへ行った。


 テーブルには濃い灰色のクロスが敷かれ、食器はすでに並んでいた。


 ナイフとフォーク、箸、磁器のスプーンがそれぞれ一組。


 グラスは白いナプキンの上に伏せて置かれ、その傍らには細口のガラスの花瓶が立ち、白い椿の花が一輪挿され、花びらの外側にはまだ水滴がついていた。


 レストランはビュッフェ形式だった。


 入って左手には保温の料理台が一列に並び、ステンレスの蓋は磨き上げられて人影を映すほどだった。


 料理台の後ろには目玉焼き担当の料理人が立ち、白い高い帽子をきちんとかぶり、前の鉄板には焼き上がった目玉焼きが一列に並び、縁はこんがりと焼け、真ん中の黄身はまだ揺れていた。


 私はカウンターから皿を一枚取り、料理台に沿って一周した。


 蒸し物の区画には焼売の籠とエビ餃子がいくつか並び、エビ餃子の皮は半透明で、中の淡いピンク色のエビの身が透けて見えた。


 その脇の竹編みの笊には紫米の蒸し菓子がいくつか積まれ、上には乾燥キンモクセイが数粒あしらわれ、すっかり蒸し上がって、米の香りとキンモクセイの香りが混ざった匂いを放っていた。


 さらに先へ進むと温菜の区画だ。


 二つの白い保温の磁器の丼に、一つは白粥、もう一つはピータンと豚肉の粥が入っていた。


 ピータンと豚肉の粥の豚肉は細い糸状に裂かれ、ピータンは小さな角切りにされ、米粒と混ざり合って、もはや見分けがつかないほど煮込まれていた。


 脇の小皿には粥に添える漬物が何種類か並んでいた。


 ザーサイの細切り、腐乳、醤油漬けのきゅうり。


 腐乳は紅麹で漬けたもので、表面に油の艶があった。


 冷菜の区画には和え物が何皿か並んでいた。


 きくらげと玉ねぎの和え物、きゅうりのニンニク和え、そしてピーナッツが一皿。


 ピーナッツは揚げてあり、表面に薄く塩が振られていた。


 トースターの脇には全粒粉のトーストとバゲットのスライスが数枚置かれていた。


 トースターの傍らの籠にはクロワッサンがいくつか入り、すでに何個か取られたあとで、残りは斜めに寄りかかり、表面にはパイ生地の油の艶が残っていた。


 飲み物の台にはコーヒーマシンが一台置かれ、銀色の外装にブランドのロゴが印字されていた。


 コーヒーマシンの脇には保温ポットが三つ並び、胴にはラベルが貼られていた。


 温かい牛乳、豆乳、お湯。


 その先にはジュースのディスペンサーがあり、中にオレンジ色の液体が入っていて、本体には手書きの「搾りたてオレンジジュース」のラベルが貼られていた。


 私は皿にエビ餃子を二つ、紫米の蒸し菓子を一つ、和え物のきくらげを小皿に一つ取り、それからピータンと豚肉の粥を一椀よそった。


 飲み物の台の前まで来て、自分に温かい豆乳を一杯注いだ。


 カップの壁が指先越しに温かい感触を伝えてきた。


 席へ戻ると、ユーナはもう座っていた。


 彼女の皿の中身はとりとめがなかった。


 白粥半分、目玉焼き一つ、ソーセージ二本、和え物のきゅうり少々、そしてクロワッサン半分。


 クロワッサンは半分に割られ、切り口から内側の気孔の構造が見えていた。


 彼女はちょうど箸でその半分のクロワッサンをつまみ、白粥に一度浸してから口へ運ぶところだった。


 私たちはテーブルを挟んで視線を交わし、何も言わなかった。


 母が皿を手にやってきた。


 彼女の取ってきたものはもっと整っていた。


 全粒粉のトースト一枚、目玉焼き一つ、果物を盛った小皿一つ、ブラックコーヒー一杯。


 トーストは皿の縁に置かれ、まだ何も塗られていない。


 目玉焼きの黄身は無傷で、つつかれていなかった。


 彼女が椅子に腰を下ろすとき、椅子の脚が木の床の上で小さなきしむ音を立てた。


 彼女はまずコーヒーカップをテーブルに置き、それから座り、ナプキンを広げて膝に掛けた。


「エビ餃子があるのね」彼女は私の皿のエビ餃子を一目見て、事実を述べるような口調で一言言った。


「うん」


「味はどう?」


「まだ食べてない」


 彼女はフォークを手に取り、フォークの先でその一枚のトーストの縁を軽く押した。


 トーストは圧力で少しへこみ、また弾け戻った。


 彼女はトーストの質感に特に不満はないようで、フォークを置き、代わりにコーヒーカップを手に取って一口飲んだ。


 カップを置いてから、彼女の視線はテーブルの上で一拍止まり、それから窓の外へ向かった。


 ガラスの外には雲龍雪山。


 山体は朝の光の中で色が白に褪せつつあったが、光と影はまだくっきりとしていて、稜線の角が陽に切られて明と暗の二つに分かれていた。


 私もエビ餃子を一つつまんだ。


 皮は厚くなく、噛むと中にエビの身が丸ごと一つ入っていて、身は引き締まり、噛み切るときに歯の間にわずかな弾力を感じた。


 餡には水栗クログワイの刻んだものが少し混ざっていて、咀嚼のときの食感に奥行きを加えていた。


 飲み込んだあと、喉の奥に薄い甘みが残った。


 紫米の蒸し菓子の口当たりは思っていたよりしっかりしていた。


 あのふんわりした菓子の質感ではなく、押し固めたような糕体に近く、米粒の粒立ちが残っていた。


 上にあしらわれた乾燥キンモクセイは、口に入れるとまず香りを放ち、それから紫米そのものの穀物の味が来る。


 濃くはないが、あの甘さをちょうど押さえ込む程度にはあった。


 ピータンと豚肉の粥は火の通りがよく、米粒はすでに大半が煮崩れ、粥は半流動の状態で、口当たりはなめらかだった。


 豚肉の細切りは粥の中に均一に散らばっていて、ほとんどどの匙にもいくらかかかっていた。


 ピータンの量は多くはないが、あの独特の香りはすでに粥の底に溶け込み、米の香りと混ざり合って、鼻に突くことはなかった。


 粥の碗を置いたとき、母がトーストにバターを塗っているのが見えた。


 彼女はナイフの先でバターをひとかたまりすくい、トーストの表面に均一に広げていった。


 速くも遅くもない動作だった。


 塗り終えると彼女はトーストを二つ折りにして一口かじり、手に残った半分を皿の縁へ戻した。


「このコーヒー、いいわね」彼女はカップを置きながら一言言った。


 天気を評価するときと変わらない口調だった。


 ユーナはこの会話には加わらなかった。


 彼女はあの半分のクロワッサンと格闘中で、ちぎった一片はすでに白粥に浸して食べ終え、今はもう一片の乾いたほうを食べているところだった。


 最後の一口を口に押し込むと、手についた破片を払い落とし、それから自分の豆乳のカップを手に取って一口飲んだ。


 彼女は豆乳を飲むとき、たとえもう熱くなくても、まず一度吹く癖があった。


 レストランの中の人は次第に増えてきた。


 背後から椅子を引きずる音が聞こえ、磁器の碗が重なるときのぶつかる音もした。


 アウトドアジャケットを着た中年の男性が炒麺の皿を手に私たちのテーブルの脇を通り過ぎ、炒麺の醤油の匂いが一瞬このテーブルの空気に漂い、それから換気扇に吸い込まれていった。


 私は紫米の蒸し菓子の二切れ目を手に取り、小さくちぎって口に入れた。


 窓の外の雪山はまだそこにあり、光が雪面の上をゆっくりと移動していた。

水栗(クログワイ / 馬蹄・バーテイ)


点心のエビ餃子(水晶蝦餃)や焼売の餡によく刻んで混ぜられるシャキシャキとした食感の根菜です。エビのプリッとした弾力にクログワイの瑞々しい食感が加わることで、中華点心としての本密なこだわりが引き立ちます。


皮蛋瘦肉粥(ピータンと豚肉のお粥)


中国のホテル朝食では定番中の定番メニュー。豚のモモ肉などをホロホロになるまで茹でて細かく裂き、ピータン(皮蛋)と共にトロトロになるまで煮込んだ体にやさしいお粥です。


最後までお読みいただき、ありがとうございました!



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