305. 雲龍雪山の麓の古い町
明け方の、青みを帯びたような明るさではなく、午前の、すっかり差し広げられたまぶしい白だった。
私は手を伸ばしてベッドサイドテーブルのスマホに触れ、画面を点けてちらりと見た。
十時三分。
私はその数字を二秒見つめ、それからスマホをテーブルに伏せた。
カーテンは完全には閉まっておらず、昨夜月光の下で銀白色に光っていた雪山がまだ窓枠のなかにあり、だが今、山頂の積雪は日の光の下で一片のきれいな白になっていた。
金色もなければ、赤もなかった。
一晩泊まって日照金山を見たいと思った者なら誰でも知っている。
あの瞬間は数時間前にすでに終わっていたのだと。
私は身を翻し、もうしばらく布団にごろごろとしていることにした。
だが浴室から水音が聞こえ、どうやらユーナはもう起きているらしかった。
しばらくして水音が止み、浴室のドアが開き、ユーナが出てきた。
髪はまだ濡れていて、タオルで髪の先を拭きながら、ベッドの私をちらりと見た。
「十時過ぎだよ、朝食は十時までだよ」
私は起き上がり、髪はぐちゃぐちゃだった。
身づくろいをしているとき鏡を見ると、目尻にまだ眠そうな気配が残り、白金色の髪は昨夜十分に乾かさないまま眠ったせいで、何筋か寝ぐせで跳ねていて、どう押さえても戻らなかった。
服を着替えて身支度を終える頃には、時刻はもう十時二十分だった。
朝食に間に合うはずもなかった。
私はスマホを手に取ってホテル周辺のデリバリーの選択肢をちらりと見てから、スマホを置き、ジャケットを手に取った。
「行こう、外で食べる」
ホテルの傍の通りの角でファストフード店を見つけた。
チェーン店で、赤地に白字の看板はどの街でも同じ顔をしていた。
店にはまばらに数組の客が座り、ハンバーガーを食べている者がいれば、豆乳を飲んでいる者もいた。
私たちは三つのセットを注文し、トレイを捧げて窓際の席を見つけて腰を下ろした。
パンには目玉焼きとハム一枚が挟んであり、熱い豆乳が一品添えられていた。
豪華とは言えないが、ホテルの朝食に間に合わなかった時点で、温かいものが食べられるだけで十分に満足だった。
母はハンバーガーを一口噛み、二回咀嚼して飲み込み、それから豆乳を手に取って一口飲んだ。
顔に表情はなく、おそらく心の中でこのハンバーガーとエリクソンの朝食を比べているのだろう。
彼女はカップを置き、評価はしなかった。
朝食を済ませてから、スマホで車を一台呼んだ。
運転手は私たちをホテルの前から雪月城の古城の入口まで送り、車中の時間は十五分にも満たなかった。
車を降りると、日の光が遮るものもなく石畳を照りつけ、人は思わず目を細めた。
雪月城の古城の入口には木製の水車が立ち、直径はおよそ三、四メートル。
羽根には薄い苔が一面に生え、水の流れに押されてゆっくりと回っていた。
水車の軸のあたりは水気に浸って濃い茶色になり、縁の木目は長年の乾き湿りの繰り返しで割け、隙間に細かな石粒と乾いた苔の跡が挟まっていた。
なかなかの年季が入っているようだった。
入口の先の建物は、青煉瓦で地面が敷かれ、道の両側に仿古(ぼうこ:伝統模倣)様式の店が並び、軒の下には赤い提灯がぶら下がり、旗幟が風に軽く揺れていた。
地面はとてもきれいで、煉瓦の隙間に泥ひとつ見えないほどだった。
両側の店の表は新しくて光り、清漆を塗った木の戸板に日の光が当たると、薄い光の層を反射していた。
風花古城と大して変わらない。
同じ設計テンプレートに、地名を一つ替え、提灯の色を一つ替えただけで、本質は変わっていなかった。
私は目抜き通りを少し歩き、両側の看板に目を走らせた。
銀器、絞り染め、バラ餅、焼いた乳扇、手作りヨーグルト。
店の並び順にさえ、どこか見覚えのある既視感があった。
もし路傍のあの焼いた乳扇を売る屋台を風花古城へ移したら、おそらく誰も違和感を覚えないだろう。
違いがあるとすれば、おそらくここには城壁がないことだ。
風花古城の外側には今も完整な明代の城壁が残り、青煉瓦で築かれ、城楼が北門の上に立っている。
雪月城の古城には城壁がない。
いや、もともとはあったのだが、とっくに取り壊され、ただ広場の敷石のなかに嵌め込まれた一巡りの基礎の跡だけが残り、濃い色の石条で城壁がかつてあった位置が示されていた。
だが、それきりだった。
心に「わざわざ来たのに、これだけ?」という思いが一瞬よぎったが、すぐに押し込められた。
そもそも雪月城へは、この商業古城目当てで来たわけではないのだから。
城壁がないのは却って良く、そうすれば視界が遮られず、顔を上げるだけで北のあの山が見える。
雲龍雪山。
北を望むと、雪山の輪郭は晴れ渡った空の下で、誰かが刃物で刻んだようにくっきりとしていた。
山体は午前の光のなかで、灰青と青灰のあいだのような色をしていた。
山頂を覆う積雪は日の光の下で清らかな白を放ち、山腹には薄い雲が一筋、だらりと横たわり、まるで山が自ら吐いた一息のようだった。
古城の入口でも、目抜き通りでも、あらゆる角でも顔を上げれば、それが見えた。
この古城の一番良い設計は、おそらく建物の高さをすべて低く押さえていることだ。
どの位置に立っても雪山が遮られないほどに。
古城を適当にぶらつき、目抜き通り一本と脇道二本を歩いた。
脇道の方が人は少なく、手作りの革小物や木彫りを売る小さな店が何軒かあり、店主は店先で日差しを浴びながら居眠りをしていて、客を声掛けする気もなければ、声掛けするほどの客もいなかった。
私が木彫りの店の前を通りかかったとき、ショーウィンドウに置かれた一匹の木猫に目を止めた。
手のひら大で、耳を立て、尻尾を足元に巻いていた。
店主は白髪の混じった老人で、店の中で老眼鏡をかけ、別の木切れを研いでいた。
私はドアを押し開けて中へ入らず、ショーウィンドウ越しにその猫を何度か見ただけだった。
それは彫りが精緻というほどではないが、線のなかに量産品にはない丸みがあった。
時刻を見ると、もう十一時を回っていたが、ホテルのチェックインの三時まではまだ早い。
私たちは古城でしばらくもう少し過ごす必要があった。
私たちはゆっくりと古城を歩き、青い石畳の道は午前の日差しで微かに白く焼けていた。
両側の店はコピー&ペーストしたようで、銀器店の隣は絞り染めの店、その隣はバラ餅、その隣はまた銀器店だった。
彩雲行省は自産のコーヒー豆があり、その日のうちに焙煎する。
店の入り口に黒板が立ち、チョークでその文字が書かれていた。
黒板には湯気を立てるコーヒーの簡単な絵も描かれ、コーヒーカップの下にコーヒー豆が一つ描かれ、その豆の上に葉が二枚描かれていた。
入り口には人の半身ほどの木桶が置かれ、中には黒茶色のコーヒー豆が山積みにされ、桶の縁に木杓が一つ掛けてあった。
豆の油分が日の光の下でかすかな光を反射していた。
木桶の傍の台の上には、いくつかのガラス瓶が蓋を開けたまま置かれ、瓶口は開いたまま、蓋はなかった。
一番外側の瓶には、ラベルに「ゲイシャ」の二字が書いてあった。
ラベルは新しく印刷されたもので、白紙に黒字、四隅が透明テープで瓶に貼ってあった。
五百グラムで、百紅龍貨に満たない。
私が通りかかったとき、足取りが一拍遅れ、視線があの開いた豆の上で一瞬止まり、それからまた前へ歩き出した。
鼻先を、焙煎後の豆が残す焦がし香がかすかに過ぎた。
もう熱くはないが、その匂いはまだ残り、古城の十時の空気のなかへ混じっていた。
「一杯、お試しになりませんか?」
大水車
麗江古城(雪月城)のシンボルである大水車のことです。古城の北側の入口(玉龍橋の近く)に位置し、観光客が必ず写真を撮るランドマークとなっています。
彩雲行省と「雲南小粒コーヒー」
雲南省(彩雲行省)は中国最大のコーヒー豆の産地であり、特に保山や普洱などのエリアでは世界水準の高品質なアラビカ種やゲイシャ種が栽培されています。観光地では、焙煎したての豆を店頭で豪快に山盛りにして販売する光景がよく見られます。
最後までお読みいただき、ありがとう




