295. 風花城
叻沙城から彩雲城までのあの八時間の長い旅に比べれば、二時間はほとんど何ともないものだった。
私たちは待合室で軽食を三つ買った。
駅内の米粉ではなく、パンとペットボトルのコーヒーだ。
無難で保守的な選択だった。
だって、この前私たちは駅でさんざん痛い目に遭ったのだから。
待合室は人で溢れていて、叻沙城駅よりもずっと多い。
なにしろ省都だ、行き来する人の流れは密集し、慌ただしく、アナウンスでは絶えず列車の情報が流れ、画面には各列車の行き先と発車時刻がびっしりと次々と流れていた。
「風花城、十九時二十八分」私は画面で流れていくその一行を指さした。
「あと二十分ね」
母は待合室の椅子に座り、足を少し伸ばして、ホールを行き来する人の流れを見ていた。
「風花城」彼女は言った。
その名前を味わうように。
「風の城と呼ぶのね。一年中風が強いから?」
「ええ」私は言った。
「あっちの風は特別に強いそうで、その強さたるや、この街にも気性があるかのように感じさせるほどだとか」
「気性がある」母はこの三文字を繰り返し、口元が微かに動いた。
「それは私の性分に合っていそうね」
ユーナが私の隣に座り、そのペットボトルのコーヒーを飲み干し、空き瓶をバッグの横ポケットに突っ込んだ。
彼女の動作はゆっくりで、わざと時間を潰しているかのようだった。
「風花城の次は雪月城でしょ?」彼女は尋ねた。
「ええ」私は言った。
「ルートは叻沙城→彩雲城→風花城→雪月城。雪月城が最後の街で、そこに雲龍雪山があるの」
「雪月城」ユーナはこの三文字を唱えるように言い、考えて、それからふいに笑った。
「名前を聞くだけで寒そう」
「標高が高いから、確かに寒いわ」
「叻沙城の暑さに比べれば、私は寒いほうがいいわ」
私もそう思う。
だが母は傍らで、この話題には応えなかった。
ただ顔を上げ、ホールの屋根のむき出しの鉄骨を見つめ、整列した蛍光灯の列を見つめ、まだ完全には慣れきっていないこの世界の近代建築を見つめていた。
彼女の目の中には、とても淡く、長く隠されていた興奮の色があった。
改札を通り、駅に入り、乗車する。
車内の人は多くなく、この夕方出発の列車は明らかに混雑する時間帯ではなかった。
私たちは窓際の三連席を見つけ、外はまだすっかり暗くなっていなかった。
最後の一片の夕焼けが空の果てにかかっていて、高原特有の深い橙色で、縁が微かに紫がかかり、水で薄めた水彩絵の具のようだった。
列車が動き出した。
車輪が優しくレールを叩き始め、その規則正しいカタカタという音が車両の床を伝って上がってきて、骨の底にまで染み込み、何とも言えぬ安らぎがあった。
窓の外の景物が動き始めた。
まずは彩雲城の街の灯りが、高原の夜の帳の中にびっしりと嵌まり、まるで深い藍色のビロードに砕けたガラスを一把撒いたかのようだった。
それから灯りはだんだんと疎らになり、代わりに山のシルエットが現れた。
一つ一つが、途切れることなく連なり、夜の輪郭の中で音もなく後方へ退いていった。
彩雲行省の山は、どの区間でも、いつだって主役だ。
ユーナが私の肩にもたれ、目を閉じた。
彼女は眠ってはいなかった。
ただ閉じていただけだ。
彼女の呼吸のリズムが感じられた。
とても遅く、とても整っていて、すっかり弛緩した状態だった。
車内が数秒、静かになった。
車輪がカタカタと鳴り、窓の外の夜はいっそう深くなった。
母は通路側の席に座り、手にはホテルのロビーから持ち出した彩雲行省の観光パンフレットを握り、車窓に映る微かな光を頼りに、風花城の紹介ページを真剣に読み耽っていた。
私はそれ以上何も言わなかった。
二時間、長くはない。
だが、人を一つの街から別の街へと連れて行くには、十分すぎる。
列車は夜の九時を少し回ったころ、風花城に着いた。
駅の規模は彩雲城より小さく、出口もすっきりとしていた。
私たちがスーツケースを引いて駅を出ると、駅前広場の夜風が真っ先に押し寄せてきた。
第一印象、ここには本当に風がある。
優しい微風でもなければ、雨気を帯びた湿った風でもない。
乾いた、持続的な、少しだけ力強さを帯びた高原の風だ。
遠方の山並みの方角から吹いてきて、街全体を抜け、さらに遠い場所へと吹き渡っていく。
「風花城」私は駅前広場に立ち、まだ姿をはっきり見きれていないこの街を見上げて、その名をそっと口にした。
ユーナのピンクの長い髪が風に乱された。
彼女は手で髪を耳にかけ、細めて夜空の中で風の向きを一瞥した。
「母さん」私は言った。
「風花城に着いたわ」
母は私の傍らに立ち、風花城の夜空を見上げていた。
ここは彩雲城よりも標高が高く、空気はより澄み、星も彩雲城より多い。
彼女の黄金色の長い髪が、同じ風に軽く持ち上げられ、しばし漂ってから、また肩へと落ちた。
「風が強いわね」彼女は言った。
それから彼女は笑った。
口元が微かに上がる数ミリの笑みではなく、本当に、ほころびるような笑みだった。
「私、ここが気に入ったわ」
タクシーが私たちを古城の近くのホテルへ連れていった。
フロントのスタッフは民族衣装を着た若い女性で、手には銅鈴の一串を握りしめ、今夜最後の一室であるファミリールームがただいま奇跡的に空いていると笑って言ってくれた。
「お着きになってちょうどよかったわ」彼女は言った。
「あと三十分もすれば、私達閉めてしまいますから」
鍵を受け取り、部屋のドアを押し開けた。
部屋は広くないが、窓は大きく取られていた。
カーテンを開けると、窓の外には風花城の旧市街が正対していた。
遠くに白い壁と青い瓦が一面に広がり、低い城門の輪郭のところまで続いていた。
城門の向こうはより暗い夜の色で、何も見えなかった。
あの城門こそが、明日見る最初のものになるはずだ。
風花城での二日目の朝、携帯の目覚ましがすぐに私達を起こした。
私とユーナは手で目をこすりながら、ベッドから起き上がった。
昨夜風花城に着いたとき、私たち三人はすっかり疲れ切っていた。
彩雲城から列車でやってきて、ガタゴト揺られて一路眠ったが、肩を貸せたとはいえ、所詮は車内の眠りで浅かった。
ホテルの部屋に入ると、三人とも順繰りに機械的に風呂に入って出てきて、床に着くなり眠ったのだった。
だから目覚ましが鳴ったとき、私の第一の反応はそれを消すことだった。
だが窓の外にはもう光があった。
風花城は彩雲城より標高が高く、空気の中に高原特有の透明感があった。
それはいかなる遮りも経ずに、雲層を直接突き抜けて落ちてくる光で、彩雲城の朝の光よりもさらに清らかで、冷たく、カーテンの隙間を白い刃のように鋭く照らしていた。
私は身を横に倒し、わずかな隙間を開けて窓の外をちらりと見た。
蒼海がそこにあった。
直接ホテルから蒼海が見えるというわけではない。
ホテルは湖岸から数ブロック離れている。
だがあの方角の空は少し特別で、湖面が反射する光がその一片の空を他の方角よりも明るくし、白みがかった青の清らかさを帯びていて、私が写真で見たことのある高原の湖特有の色そのものだった。
私は起き上がり、布団を傍らへ押しやった。
ベッドのもう半分は空いていた。
ユーナはもう起きていたのだろうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




