268. 杜鵑中学の教師
こうして、何水柔という名の少女は私たちを連れて、学校中を見て回ってくれた。
彼女は私たちの半歩ほど前を歩きながら、歩きつつ手を伸ばして方々を指さし、紹介してくれた。
彼女にとってはごくありふれた、しかし私達にとってはそこかしこに時の痕跡が隠された隅々を。
杜鵑中学はこの二、三十年で、やはり大きく変わっていた。
教室の机や椅子のような備品は言うまでもなく、すでに高さ調節のできる青いプラスチック製のものに取り替えられていた。
椅子の脚の底には防音のゴムパッドが嵌められ、机の角は丸く加工されている。
教室の窓、黒板、そして教室の扉までもが、一連のハイテク感あふれる現代的な設備に更新されていた。
窓は二重の防音ガラスで、たぶん先生たち自身もまだ徐々に慣れている最中だろう。
教室の扉も、元の木製から電子ロック付きのガラス引き戸に変わり、ドア枠の上には小さなディスプレイが取り付けられ、その日の時間割がスクロール表示されている。
「ずいぶん変わったね」ユーナが私の隣で小声で言った。
「うん。昔はここが、私たちのクラスの教室だった」
私は顎で廊下の突き当たりの教室を示した。
「窓際の三列目、私の席」
「私はあなたの二列後ろ」ユーナが引き継いだ。
「扉側の列。授業中に上の空になると、あなたの後頭部めがけて紙を丸めて投げてた」
「あの紙くず、お前だったのか!?」
「他に誰がいると思ったの」
私は言葉を失って彼女を見つめた。
ユーナの方はいかにも平然と、口元にはむしろ少し、得意げな笑みさえ浮かべている。
こいつ、前世でやった悪さを、今になって白状したな。
それらの教室のなかには、今まさに授業を受けている子どもたちが座っていた。
技能や学習を深める静かな空気のなか、教壇の上で学生たちの自習を監督しているのは、五十を過ぎたばかりの一人の老教師だった。
彼は木の椅子に座っていた。
背もたれは教壇より少し低い。
髪はもう七、八割がた白くなっていて、残った黒髪は後頭部に集中し、木の櫛で整然と撫でつけられている。
鼻の上には老眼鏡が一つ。
フレームは金属製で、型はやや大きめ、たぶんスーパーの棚に安く売っているような代物だ。
手元にはお茶が一杯。
琺瑯のコップで、縁にはぶつけた痕がいくつかあり、茶葉は底に沈んで、やや赤くなるまで出尽くしている。
私とユーナは、教室の後ろのドアのガラス窓の外で立ち止まった。
ほとんど同時に。
相談もなければ、「待って」と言ったわけでもない。
ただ私たちの足が、何か共通の記憶によって、その場に釘付けにされたのだ。
それから私は、彼の顔をじっくりと見つめた。
額が広くなっている。
本当に広くなったのではなく、生え際がずいぶん後退したからだ。
目は小さくなり、目尻の皺が中央へと寄って、眼窩を、やや疲れの滲む二つの窪みへと囲い込んでいる。
顎のラインはすでにたるんでいた。
私は彼を見分けられなかった。
見分けられるはずがなかった。
それから、どこからなのか分からない。
どの角度か、どの皺か、どのふとした横顔か。
頭のなかのどこかの隅で、カチリと軽い音がした。
私はふと首を傾げてユーナを見た。
彼女も私を見ていた。
「……あの先生だ」彼女が先に口を開いた。
声はひどく低く抑えられている。
「うん。私たちが昔教わった、あの来たばかりの若い先生」
「うん」
私とユーナは彼の顔を見つめ、突然気づいた、これが、かつて私たちを教えたあの先生かもしれない、と。
聞くところによると、彼はいまや杜鵑中学で最も古参の教師になっているという。
思い出が突然、溢れてきた。
一本ずつではなく、一枚ずつ、まるで風に巻かれた古いアルバムのように。
私たちが彼と初めて会ったときを思い出す。
彼はまだこの学校に来たばかりの教師だった。
二十三、四歳で、教育大学を卒業したばかり。
黒いリュックサックを背負い、長いストラップが尻の後ろでぱたぱたと揺れていた。
一人で校門の前の当直室に立ち、手のなかには赴任通知書を握りしめ、表情はまるでうっかり教室に迷い込んだ雀のように、こわばっていた。
あの日私とエイは日直だった。
放課後、教室の掃除を終え、校門の前で保護者の迎えを待とうとしていたとき、当直室の前を通りかかると、彼がまだ中に座っているのが見えた。
彼の前の学生たちはもうすっかりいなくなっていて、彼は一人でプラスチックの丸椅子に座り、真剣に手元にある何かの書類を読んでいた。
まるで空気を相手に話しかけているかのように。
「先生、こんにちは」
私が首を突っ込んだ。
彼が顔を上げたときの眼差しには、社会人になったばかりの若者特有の落ち着かなさがあった。
人を怖がっているのではない。
間違いを犯し、言葉を間違え、信頼できない人間だと思われるのを、怖がっているのだ。
「ああ、君たち、こんにちは」彼は鼻の上の眼鏡を押し上げた。
「あの……食堂はどうやって行くか知ってる? さっき探してみたんだけど、見つからなくて……」
彼は何も分からなかった。
食堂の場所さえ、私とエイに連れて行ってもらわなければならなかった。
実のところ、食堂は校舎の裏で、小さなバスケットコートを一つ抜ければすぐだった。
だが彼は来たばかりで、校内の配置にまったく不慣れだったのだ。
道中、彼は私とエイに、たくさんの質問をした。
どのクラスか、一番好きな科目は何か、お昼はどれだけ食べられるか、食堂の料理は美味しいか。
質問にはまったく脈絡がなく、その場で頭のなかから飛び出したものをそのまま訊いているかのようだった。
目的は情報収集ではなく、ただ純粋に、ここをよく知っているらしいこの二人の生徒と話をして、少しでも見知らぬ場所の不安を和らげたかったのだ。
食堂の入口まで来ると、彼は「ありがとう」と言い、それからリュックサックからグミを取り出して、私とエイの手に一人一つ、握らせた。
「これからよろしくね」と彼は言った。
あのころ私は、この先生は本当に若いと思った。
私達より、十歳も違わない。
それが今や、学校で最も古参の教師として、彼はすでに若き日の純真な姿を、すっかり脱ぎ捨てていた。
彼は薄い灰色のポロシャツを着て、襟のボタンは一つ外れ、袖は肘までまくり上げられている。
指導案を一枚めくった。
その紙はたぶん少し薄かったのだろう。
めくるとき、指を舌で湿らせた。
その動作は、余分なものが一切なく、滑らかだった。彼が昔、教科書をめくるときの動作と寸分も変わらなかった。
二十年以上が過ぎても、ページをめくる仕草は変わらない。
人は、老いたのに。
「まさかね」ユーナが私の隣で小声で言った。
目はガラス窓越しに、教室のなかの五十過ぎの老人を見つめている。
声はひどく低く抑えられ、まるでガラス越しに彼に聞こえてしまうのを恐れているかのようだった。
「あのころ私達を教えた先生が、こんなにも変わってしまうなんて」
彼女の声には感慨を飾る言葉もなければ、感嘆の意もなかった。
ただの、きわめて直接的な陳述だった。
だが、この直接さだからこそ、ことさら重みがあった。
「そうだね」私は同調した。
同じように声をひどく低くして。
「本当に、思わなかったね」
私達はその場に長くは留まらなかった。
何水柔に続いてあちこちを数回見て回ったあと、校門の前に戻ってきた。
何水柔は私たちとともに大理石のアーチの下に立った。
陽射しがアーチ門の上の隙間から斜めに射し込み、地面をあたたかな光の斑で照らしている。
「じゃあね、私はまだ戻って椅子を運ばなきゃ」彼女は両手を背中に組み、ポニーテールが微かに揺れた。
「みんな、もう帰るの?」
「うん、そろそろ行くね」と私は言った。
「わかった」彼女は私たちに向かって手を振った。
その笑顔は最初と同じで、まったく警戒心がなかった。
「次にまた見学に来るときは、私を呼んでね、まあ、次はたぶん、来年のオープンスクールだけど」
彼女が向きを変えてグラウンドへ走り去るとき、ポニーテールは陽射しのなかでひらひらと揺れて、小さな旗のようだった。
私とユーナはその場に立ち、彼女が見えなくなるまで見送った。
彼女が椅子を運ぶ制服の群れのなかに、再び溶け込んでいくまで。
大理石のアーチの影が、私たちの上に落ちていた。
記憶のなかのあの簡素な金属の門の影よりも、少しだけ重たく、少しだけ格式高く。
「いい子だったね」とユーナが言った。
「うん。私たちのあのころより、ずっと大人だ」
「あなた、あのころ大人だったことある?」
「……さっきの発言、撤回します」
ユーナは軽く笑った。
それから、ごく自然に手を差し伸べてきた。
私は握った。
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