243. 金の勲章、そして旧友との再会
午後の花の国の都心。
陽射しがやや灰がかった霞の空から降り注ぎ、いかにも格式のありそうな建築の外観に落ちている。
私たちはあまり広くない坂道を上へと進んだ。
両側は塀。
いくつかはセメントで築かれ、いくつかは花の国の古い屋敷特有の濃い色の木板を継ぎ合わせた壁で、隙間には長年の雨水の跡が詰まっている。
私はこの地図に従って歩き、一度道を間違え、一度道を尋ね、それでも辿り着いた。
「……たぶん、ここね」
私は坂の突き当りに立った。
目の前に、もっと広い石板の道が現れる。
両側には刈り込まれた低木が植えられている。
さらに先へ行くと、塀のスタイルが不意に変わる。
普通のセメントの塀から、あの濃い色調の木質の板張り塀へ。
曲がり角に、やや控えめだが細工の行き届いた木製の門柱がひとつ。
門柱の上部に、濃いこげ茶色の木の表札が掛かっている。
表札には二字が刻まれている。
沖田。
字体はとても背筋が伸びている。
筆鋒にはなんとも言えない、刃が木目を切り裂くような勢い。
書家の瀟洒ではない。
武具に慣れた者が、筆鋒で刃を代えた、そんなふう。
この邸宅は外から見ると、いわゆる極道の親分にありがちな、牙を剥くような気勢はまったくない。
むしろ、数十年の風雨を経て、破損のひとつひとつを丁寧に修繕されてきた、あの古風な屋敷に近い。
木の色合いは落ち着いた濃い茶色。
門柱に彫られた龍の頭も虎の頭もない。
表札に金粉の輪郭も朱の彩色もない。
入口のあの二基の石灯籠でさえ、花の国の時代劇でしか見られない、素朴すぎるほど素朴な様式。
だが、まさにその素朴さが、私の心をかすかに張りつめさせた。
本当に重みのある人間は、表構えで自分を証明する必要がない。
「行くわよ」
私が言った。
入口に二人立っている。
正確には、黒いスーツを着た二人の男。
スーツのカッティングは体に合い、生地は安くはなさそうだが、様式はいささか古めかしい、濃いグレーに近い黒。
現代の花の国の若いビジネスマンなら選ばない、細身の光沢のある黒ではない。
むしろ、ある世代の正装に対する理解そのもの。
二人は門の両側に立ち、姿勢は真っ直ぐ、両手は体の前で重ねられ、視線は前方を平らかに見据えている。
あの立ち姿は警備員でもなければ、給仕でもない。
もっと、訓練された、待機そのものをひとつの技芸のようにこなす人間。
私は呼吸を整え、顔にすべての余計な感情をしまい込んだ。
花の国という現代社会で、私の十三歳の外見は白金色の長髪で、それだけで十分に目立つ。
もしさらに「喧嘩を売りに来た」あるいは「頼み事があって来た」という明らかな態度を載せたら、それは交渉ではない。
首を差し出すようなものだ。
「こんにちは、沖田さんにお会いしたいのですが」
私は花の国の言葉を使った。
語速は速すぎず遅すぎず、発音はできるだけ自然な区切りに近づけた。
二人の黒スーツの男のうちの一人が、視線を私の顔に移した。
彼の目つきはとても平静だった。
怠慢もなければ、熱意もない。
まるで「まず観察し、それから判断する」と設定された計測器のよう。
「申し訳ございません」
彼の声は低く、語速はとても安定していた。
「たった今、沖田からどなたにもお会いしないようにと。事前にご予約はおありですか」
予約はない。
もちろん、予約などあるはずがない。
こういうことは、事前に予約を入れれば、沖田の抜け目なさなら、おそらく事前に人手を配置して「どうやって体裁よく断るか」を準備するだろう。
それどころか、そもそも門さえ入れない。
「いいえ」
私は口調を、とても自然な、卑屈でも傲慢でもない、範囲に整えた。
「でも、私にはそんなものは必要ないと思いますし、彼もきっと、私と昔話をしたくなるはずです」
言い終えて、私は右手を上着の外ポケットに差し入れた。
指先が冷たい、一定の厚みのある金属の物体に触れた。
私はそれを取り出した。
それは勲章だった。
金製。
手のひらほどの大きさ。
形は円に近いが、縁は盾形の加工が施されている。
表面には細かな筋目のテクスチャがあり、午後の陽射しのなかで、ひどく控えめな、貴金属特有の柔らかい光を放つ。
勲章の正面上部には、二字が刻まれている。
沖田。
この字の彫り方は、門前の表札のものと寸分違わぬ、背筋が伸びていて、鋭く、筆鋒のなかに刃先が潜んでいる。
私はこの勲章を、あの黒スーツの男の目の前に差し出した。
彼の視線は、私の顔から、その勲章の上へと移った。
それから、彼の表情の変化を、私は見た。
衝撃でもなければ、恐怖でもない。
もっと、長い年月のなかで、ほとんど引き金を引かれることのなかった、ある種の本能の次元の記憶が、突然呼び覚まされた状態に近い。
彼の瞳孔がかすかに収縮し、体の前で重ねていた十の指が、無意識のうちにキュッと締まった。
彼の横のもう一人の黒スーツは、勲章を目にした瞬間、身体がほとんど気づかれないほどかすかに、半拍だけ硬直した。
この勲章が何を意味するか、私には細部のすべては分からないかもしれない。
だが沖田の家の者として、彼らは当然、これが何かを知っている。
金製の勲章。
沖田本人である親分だけが身につけることのできるあの信物。
たとえ今は代理で事務を執る大親分であっても、せいぜい銀製の勲章を佩くことしか許されない。
これは権限の問題ではない。
格差の問題だ。
まるで中世の騎士が佩く特別な剣のように、誰もが持てるわけではない特別な代物。
「……どうぞ、お入りください」
最初に口を開いた黒スーツの男の声は、さっきより半音ほど低かった。
彼は一歩後ろに退き、身体を横にして道を開けた。
それと同時に、彼の横の相棒は音もなく、あの濃い茶色の木の扉の前まで歩き、ドアノブに手をかけた。
動作はとても軽い。
だが別の意味はひどく明らかだ。
「開けてあげる」ではない。
「お開けします」だ。
この一幕は、通りすがりの何人かの歩行者にも見られた。
彼らはおそらくただ困惑しただけだろう。
どう見ても日常の服装ではない数人が、古風な邸宅の入口に立ち、それから丁重に中へと迎え入れられた。
これは花の国で毎日、何十回も起きていることだ。
大騒ぎするほどのことではない。
だが、私たち三人には分かっている。
この一歩を踏み入れることが、何を意味するか。
沖田邸の内部は、外壁の「素朴さ」と、とても奇妙な対照をなしている。
贅沢さの対照ではない。
質感の対照。
あの木の扉をくぐると、短い石板のアプローチ。
両側は丹念に手入れされた低い竹の茂み。
笹の葉には埃が少ない。
誰かが定期的に拭いている証拠だ。
アプローチの突き当りは小さなつくばい。
竹筒のなかには半分ほど水が溜まり、水面は空の灰色を映している。
そこからさらに奥が主建築。
典型的な和式の構造。
濃い茶色の木の梁、瓦の屋根、軒下には紙の提灯が二つ。
障子はあの半透明の和紙の素材で、陽射しが透けると柔らかく、ほとんどミルク色に近い光へと変わり、玄関区域全体が「古い」なのか「静謐」なのか、なんとも言えない空気のなかに浸されている。
和式の普段着を着た中年女性が歩み出てきて、かすかに一礼し、何かを言った。
翻訳の魔導器の出力が私の耳孔のなかで響いた。
「ようこそ、お客様方。どうぞ靴をお脱ぎになってお上がりください」
私はうつむいて自分の靴を見た。
花の国の室内で靴を脱ぐルール、前世の龍児は当然、心得ている。
だが今生のクローディア、異世界で育ち、床に敷かれているのは獣の皮とカーペットの子ども、にとっては、「家に入るときは靴を脱ぐ」ということが、どうしても前世の記憶を使って本能を克服しなければならない、微妙な感覚であり続けている。
私は腰を屈め、靴を脱ぎ、きちんと玄関の靴べらの横に並べた。
ユーナもそれに従った。
ヘレナ。
「母上、靴です」
私は低く一声、注意した。
彼女はうつむいて自分の足を見て、それから横の、すでに脱いだ私の靴を見て、一秒、沈黙し、それからとても優雅に腰を屈めた。
金色の長髪が肩から一房、滑り落ちた。
彼女は靴を持っていないほうの手で、さりげなくそれを耳のうしろへとかけた。
それから顔を上げて、静かな目で、玄関の奥の廊下の奥をさらりと見渡した。
あの目つきのなかに、私はかすかに警戒した。
ヘレナの冒険者本能により、彼女は見知らぬ建物に入るとき、自動的に逃走ルート、構造の弱点、そして潜在的脅威のポイントの配置を走査する。
幸いにも、彼女がざっと見渡しただけで、すぐに視線を戻した。
一線を越えることは何もしなかった。
中年女性が私たちを案内して奥へと進んだ。
廊下の床はあの濃い色の分厚い板。
踏むとかすかな「ぎしり」という音がする。
破損ではない。
古い木材が湿度の変化で自然に膨張収縮したあとに残す時間の音。
廊下の両側には何枚かの水墨画が掛けてある。
描かれているのは山水と飛ぶ鳥。
筆墨は熟練しているが、名家の落款ではない。
むしろ、沖田と交流のある誰かの年配者が気ままに描き、それから表装して掛けた、そんな種類のもの。
二十歩あまりを進んだところで、中年女性が障子の前で立ち止まった。
彼女は直接扉を開けずに、まずかすかに身体を屈め、とても軽いのに、はっきりと聞こえる声で言った。
「沖田様、お客様がお着きになりました」
なかからすぐには返事がない。
五、六秒ほど経った。
その空白は静かな廊下のなかでひときわ長く感じられた。
それから、一人の男の声が聞こえてきた。
声はとても低く、しゃがれていて、ずっとろくに休めていない、あの疲れの色を帯びている。
「……通しなさい」
中年女性は身体を起こし、両手で障子を両側へと開け放った。
光が、扉のなかから、溢れ出した。




