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219. 痒みの制裁、そして笑いの解放

 私が追及を心配する間もなく、次の瞬間。


 チャーリーが私めがけて飛びかかってきた。


 速い、というより、まったく無防備な襲撃だった。


 ついさっきまで彼女は卓の横に立って正論を述べていたのに、次の瞬間にはもうソファの上に全体重をのしかからせ、両手は正確に私の腰の両脇を捉えている。


 そして……


 十本の指が、上下に規則正しくうごめき始めた。


「あはははははっ!」


 意思に反した笑い声が口から飛び出した。


 笑いたいからじゃない。


 身体が言うことを聞かないのだ。


 十本の指は十匹の器用な虫のように、私の脇腹を極めて意地の悪い角度と頻度で這い回る。


 くすぐったくて逃げられない感覚が腰から全身へと広がり、あらゆる筋肉が意思とは無関係に収縮し、震え始める。


 私の身体はもはや、まな板の上の魚のように、意思に反して跳ね回り出した。


 両手をでたらめに振り回し、チャーリーの手を払いのけようとするが、彼女の指はまるで私の腰に根を生やしたかのように、どうやっても払えない。


「あははは——チャーリー——はは、やめて——あははは——」


「黙って消えたら罰を受けるの!」


 チャーリーの声には「復讐達成」の愉悦が滲んでいる。


「置き去りにした罰! 二人ぶんの仕事をさせた罰!」


「あはははははっ!」


「まだまだ!」


「あははは、お願い——ははは——」


「お願いしたって無駄よ!」


 チャーリーの指がさらに勢いを増した。


 ユーナがなぜ助けに来なかったかと言えば。


 笑い声の合間にかろうじて目を開けた瞬間、とても面白い光景が目に入ったからだ。


 ニーナもユーナに飛びかかっていた。


 青い長髪と桃色の長髪が絡み合い、ニーナがユーナの上に押しかかり、両手は正確にユーナの脇腹を捉えている。


 ユーナの表情は平静から驚愕へ、驚愕から堪えきれず。


「は——やめ——」


 普段より二オクターブほど高い声が、ユーナの喉から漏れた。


 それから絶え間なく続く笑い声。


 ユーナが笑っている。


 普段のお茶目で、少し小狡い微笑みではない。


 完全に耐えきれなくなって降参したあとの、完全崩壊の大爆笑だ。


 両脚はソファの上でばたばたと無秩序に跳ね、両手は必死にニーナを押しのけようとする。


 だがニーナは見た目の物静かさとは裏腹に、力が妙に強い。


 あるいは、急所を見つけた瞬間から、もう絶対に手を離さないと決めている。


「あんたも黙って消えた。だからあんたにも罰」


 ニーナの声は相変わらず小さかった。


「は——ニーナ——ははは——私も——ははは——」


「あんたも何? あんたもごめん、なの?」


「はははは、そう——はははは——ごめんなさい——」


「じゃあ、そのまま受けてなさい」


 なるほど、ニーナってこういう子だったのか。


 私はずっと、誰かにいじめられても言い返さないタイプだと思っていた。


 まさか一度でも本気で怒らせれば、チャーリーより容赦なく仕返ししてくるとは。


 やり方はかなり子供っぽいが。


 でも、本当に効く。


 こうして私たちは、夕飯の時間までお仕置きを受け続けた。


 チャーリーの指は私の脇腹から腋の下へ、腋の下から足の裏へと移動していった。


 場所が変わるたびに、私は新たな、より絶望的な笑い声を上げる。


 すでに目尻には笑い涙が浮かび、喉は笑い続けたせいでかすれてきた。


 ユーナの状態も私と大差ない。


 ニーナの攻撃範囲はチャーリーほど広くはないが、命中精度が極めて高い。


 一本一本の指が精密に計算されたかのように、最もくすぐったい場所だけを狙って突いてくる。


 二人はソファの上で、笑いすぎてほとんど息ができなくなっていた。


 二人の処刑人は、満足げな顔をしている。


 別荘の玄関からノックの音が響くまでは。


「お客様、夕食のお時間でございます。」


 ホテルの客室係だった。


 チャーリーとニーナが同時に手を止めた。


「あ」


 チャーリーが窓の外を見た。


 太陽は完全に沈み、窓の外の空は深い青に染まり、別荘群の魔法灯がすでに灯っている。


「もうこんな時間?」


 彼女はソファにぐったりと横たわる私とユーナを見下ろした。


 二人ともマラソンを走り終えた直後のように、はあはあと大きく息を切らしている。


 目尻の涙の痕はまだ乾いておらず、頬は火照って真っ赤だ。


「……まあ、今日はここまでにしといてあげるわ」


 チャーリーは手の埃をはたき、立ち上がり、玄関へと歩いていった。


 ニーナもユーナの上から降り、乱れた青い髪を黙って整え、それからまるで何もなかったかのように玄関へと向かった。


 ソファの横を通り過ぎる瞬間、ニーナの歩みがほんの少しだけ止まった。


「……今度から、何も言わずに消えたりしないでね」


 低い声だった。


 もしこの静かな居間でなければ、とても聞き取れなかっただろう。


 ユーナはまだソファにぐったりと横たわり、胸が激しく上下している。


 桃色の長髪がソファのクッションの上に散らばり、顔に残る紅潮は魔法灯の光の下でことさら際立っていた。


 彼女は顔をこちらに向けた。


 二人、一秒ほど視線を交わす。


 それから同時に噴き出した。


 くすぐりに耐えきれず崩壊したあの爆笑ではない。


 地獄のお仕置きから解放されたような、少し呆れが混じった苦笑いだった。


「大丈夫?」


 私が訊いた。


「……腰が痛いよ」


 ユーナは自分の脇腹を揉みながら、笑い終えたあとのかすれ声のまま言った。


「ニーナってば……力がめちゃくちゃ強くて……」


「チャーリーもだよ。私、足の裏の感覚がまだ残ってる……」


 秋の夜風が開いた窓から滑り込んできて、ひんやりと冷たい。


 遠くの温泉町にはぽつぽつと灯りが灯り、空気にはほのかな湯気と硫黄の匂いが漂っている。


 私とユーナはまだソファにへたり込んだまま、どちらも立ち上がる気力がない。


 だが笑い終えたあと、身体のなかで空っぽにされた感覚は、不思議な解放感へと変わっていた。


 すべての緊張、疲労、そして後ろめたさが、あの笑い声と一緒に、どこかへ解き放たれてしまったかのように。

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