205. 商会の朝、そして初めての売り子
今日は一日中、畑で農作業に追われていた。
だから別荘に戻ると、私は簡単に風呂を済ませ、寝室に倒れ込むようにして眠りについた。
簡単に風呂を済ませた、とはいえ、実のところは五分ほど湯船に浸かって、すぐに上がったというのが正確なところだ。
とにかく疲れすぎていた。
明け方、ユーナの首から木の札を外したところから始まって、鎌の授業、麦刈りの実習、昼のリリィとの対話、小川のほとりでの両親の話、午後も続く麦刈り、そして別荘に戻ってからの、怒りに任せた厨房への突入と料理長更迭。
この一連の出来事は、まるで停車駅のない快速列車のように、がたんごとんと私の身体を無慈悲に轢き去っていった。いつベッドに倒れ込んだのかさえ、覚えていなかった。
ただ、枕に頭が触れた瞬間に、意識はまるで見えない手に泥の中へと引きずり込まれるようで、夢を見る暇すらなく深く沈んでいったことだけは、はっきりと覚えている。
翌朝、私は鳥たちの騒がしい声の中で、少しずつ意識を取り戻した。
窓の外の鳥たちは昨日よりもいくぶん騒々しく、そのさえずりは、まるで朝の定例会議が開かれているかのようだった。
私はぼんやりと目を開けた。天井に走る木目が、朝の光の中ではっきりと浮かび上がっている。
それから、身体に走る違和感に気づいた。
何かが私の体の上に乗っている。
私は、自分にぴったりとへばりついていたユーナを、ベリッと引き剥がした。
彼女はピンクの絹のキャミソールを着ていた。これは紅龍国に戻ったあと、ネット通販で彼女に買ってあげた寝間着だった。
淡いピンクの絹が朝の光の中で柔らかく輝き、肩紐はいつの間にか片方だけ滑り落ちて、白く小さな肩先がのぞいている。
あの頃はネット通販に本当に助けられたものだ。
あちらに行って間もない頃は、紅龍国のネット通販はまだ立ち上がったばかりで、通販サイトに登録されている品数は少なく、配送も罵りたくなるほど遅かった。
だが今回、久しぶりに紅龍国に戻ってみると、ネット通販は目覚ましい進化を遂げていた。
ネットで注文すれば翌日にはもう家の玄関まで届く。本当に便利な時代になったものだ。
しかし、今はそんな思い出に浸っている場合ではなかった。
今日は商業区での実習に参加しなければならないのだ。
聞くところによると、今日はクローディア商会で売り子実習をやるらしい。
まさか自分がそんなことをする日が来ようとは。
前世では孤児院育ち、今生では公爵家の令嬢であるこの私が売り子になる?
私は溜息を一つついて、自分が着ていた淡い青のキャミソールを脱ぎ、それをぽいと、まだ健やかに寝息を立てているユーナの顔の上に投げ落とした。
顔に衣服を被せられたユーナは、がばりとベッドから跳ね起き、私の寝間着を脇へと放り捨てた。
彼女の髪はぼさぼさに逆立ち、まるで雷に打たれた鶏の巣のようで、目はまだ半開き、頬には枕の跡がくっきりと赤く残っている。
「なにするのよ!」
ユーナは不機嫌そうに私を睨みつけ、放り投げられた寝間着を眺めながら抗議した。
その口調は、怒っているというよりは——突然起こされた猫のようだった。
不機嫌ではあるものの、まだ頭の中で怒りの感情をまともに組み立てる余裕すらなさそうな声だ。
「あはは。誰が寝坊なんかするからよ」
そのときの私は、彼女がぼんやりと目を覚ますまでの間に、とっくに少しデザインの凝った白いワンピースへと着替え終えていた。
襟元には薄い金色の山茶花が数輪、丁寧な刺繍で浮かび上がり、腰には細い白い絹の帯が一筋。
簡素だが、カジュアルすぎもしない。何しろ今日は商会での実習だ。
あまりだらしない格好をするのも、さすがに体裁が悪い。
ユーナは渋々といった様子でベッドに腰掛け、自分の着ていた寝間着を脱ぎ始めた。
彼女の脱衣に気づいた私は、そのまま彼女の身体を刺激しないよう視線を逸らし、部屋を出た。
ただ、部屋の扉を閉める瞬間、ユーナがふんと小さく鼻を鳴らしたのが聞こえた。
その短い鼻息のなかには、起こされたことへの不満、寝間着を投げつけられた悔しさ、そしてもしかすると、ほんの少しだけ。
あえて視線を逸らされたことへの、妙な寂しさがあったのかもしれない。
いやいや、さすがにそれは私の考えすぎだろう。
今朝の朝食は、驚くほど豪華だった。
おそらくは昨日、厨房で公然と身分を明かしてしまったせいで、私がどの客室に泊まっているかまで筒抜けになり、その結果、裏で特別に豪華な朝食が用意されたのだろう。
食卓の上には、めまいがするほど料理が並んでいた。
献立表に載っている基本的なメニューのほかに、明らかに予定外の品々が大量に盛り込まれている。
上等な磁器の器に盛られた、クリームマッシュルームの濃厚なスープ。
その表面には細かく刻まれた香草が美しく散らされている。
精巧に型抜かれた旬の果物の華やかな盛り合わせ。
そして極めつけは、金箔をあしらった小さなチョコレートケーキの一皿。
これらはどう考えても、一般の客に提供されるようなものではなかった。
どうやら、今日はチャーリーたちと早めに部屋を交換したほうがよさそうだった。
私は献立表に書かれていた基本的な料理だけを口にした。
それ以外の特別料理には一切手を触れず、手つかずのままテーブルに残しておいた。
パンケーキにメープルシロップをかけ、温かい紅茶を一杯添える。
簡素だが、私にはこれで十分だった。
ユーナが寝室から出てきたときには、髪はすでに綺麗に整えられ、薄緑のカジュアルなワンピースに着替えていた。
彼女は食卓の前に座ると、追加されたそれらの料理を一瞥し、それから私が一口も手をつけていない様子を見て、すべてを察したように深く頷いた。
ユーナに今朝の朝食の裏事情を説明すると、彼女もまた私の「安易に特別扱いを受け入れない」というポリシーを理解し、私と同じようにそれらの特別料理には触れず、普通のパンケーキと紅茶だけを口にした。
「あのケーキ、ちょっと美味しそうだったけどね」
ユーナが小さく呟く。
「食べたいなら、あとで自分で買いなさい」
私は淡々と言い返した。
「ちぇっ」
今日の集合場所は昨日と同じだった。私たちは手早く身支度を整え、そこへと向かった。早朝の温泉町は、すでに活気に満ちあふれていた。商業区の方角の通りからは、露天商たちが店を開く賑やかな物音が聞こえてくる。木板がぶつかり、綱がぴんと張られ、ときおり威勢のいい掛け合いや呼び込みの声が響く。空気には焼きたての香ばしいパンの香りが漂い、遠くの源泉から立ち昇る、かすかな硫黄の匂いと混ざり合って、この温泉町特有の朝の匂いを作り上げていた。
今朝の集合時間は早かった。級友たちはあっという間に集まり、フィオナとヘイティの誘導のもと、馬車へと乗り込んだ。ヘイティは今日、昨日よりもずっと調子がよさそうに見えた。少なくとも私に挨拶するとき、あの大げさな九十度の直角お辞儀はもう封印していた。代わりに少しだけ身を屈め、声のトーンも普段よりはっきりとしていた。おそらく昨日、厨房で私が冷徹に一喝するのを見て、この「一学生」に対する畏怖の念が、より一層強まったのだろう。
フィオナは相変わらず「やっぱりこうなると思った」とでも言いたげな表情で、馬車のそばに立ち、人数をカウントしていた。彼女は今日、濃い鼠色のコート風の法衣を身にまとい、いつでも「引率教師」から「戦場の指揮官」へと切り替えられるような、隙のない雰囲気を漂わせていた。
馬車のなかで、私は静かにチャーリーの隣へと移動し、今日は彼女と部屋を交換したいという旨を伝えた。チャーリーは突然の提案に不思議そうな顔をしたが、私が、昨日あの厨房で食材を浪費した料理長を怒鳴りつけた結果、あの客室も別荘の厨房から重点的に目をつけられてしまったのだと説明すると、彼女たちはその意図を瞬時に理解した。
「ああ——なるほどね!」
チャーリーはポンと自分の膝を叩き、ぱっと顔を輝かせた。
「そういうことか! だから昨日、給仕たちがお前を見る目がどこか妙だったわけだ。まるで何か恐ろしいものでも見るような顔をしてさ」
「それで、交換してくれる?」
チャーリーがニーナの承諾を取りつけると、私たちの今日の部屋替えはあっさりと決定した。ニーナはただ微かに一度、小さく頷いただけで、一言も発しなかった。あの娘の沈黙の硬さは、まさに地の底から掘り出された魔鋼のようだった。
「でもさ、昨日、厨房でいったい何を言ったの?」
好奇心を抑えきれないといった様子で、チャーリーが身を乗り出して尋ねてきた。
「別に。物は最後まで無駄なく使い切るべきだ、と当たり前のことを教えただけよ」
「うわ、なんかめちゃくちゃ格好いいじゃん!」
……格好いいも何も、私はただ怒りに任せて正論を叩きつけただけなのだが。
ほどなくして馬車はホテルを離れ、商業区にあるクローディア商会へと到着した。
クローディア商会の建物は、三階建ての風格ある石レンガ造りのビルで、その輪郭はオリバー商会によく似ていた。
何しろ建設当時、私が参考にしたのがオリバー商会の設計図だったのだから当然だ。
だが、細部にはいくつかの細かい違いが随所に見られた。
たとえば、正面玄関の両脇にある石柱には、商会の象徴である麦穂の紋様が刻まれている。
たとえば、一階フロアの床には、オリバー商会のような赤大理石ではなく、この土地で採れる灰白色の花崗岩が敷き詰められている。
これらのデザインはすべて、当時私が決定を下したものだった。
安く、見栄えがよく、何よりメンテナンス性に優れている。
今、こうして実際にこの建物の前に立つと、誇らしいというべきか、それとも奇妙というべきか、自分でも判然としない複雑な心境だった。
まるで前世で、自分がデザインした製品を、ネット通販で一介の客として購入して受け取ったときのような。
「自分が作ったものを、自分が享受している」という、あの妙にむずがゆい違和感。
一度に店内へ受け入れられる人数には上限があったため、私たちは八つの班に分けられ、各班が一時間ずつ実習を担当することになった。
私たち四人は、午後の二時から三時までの枠だった。
つまり、午前中は丸々自由時間ということになる。
とはいえ、本当に「自由」に羽を伸ばしている者など誰一人としていなかった。
ほとんどの者は商会の周りをうろうろと歩き回り、ある者は棚の陳列の仕方を観察し、ある者は値札のデザインを研究し、ある者はこっそりと店員の売り口上をノートに書き留めていた。
フィオナはとくに何かを強制したわけではなかったが、彼女のあの鋭い目が誰かを一瞥しただけで、その者はたちまち「私は真剣に学習しています」という真面目な顔を取り繕うのだった。
あのカールハインツまでもがそうだった。
あの筋肉バカまでもが、真面目くさった顔でノートを取っていたのだ。
彼のノートを覗き見ると、描かれているのは不格好な棒人間ばかりだったが、それでも少なくとも、その棒人間たちが「何かを一生懸命売っている」ポーズであることだけは見て取れた。
午前中の時間は、そうしてぶらぶらと歩きながら、他人の仕事を観察しているうちに、あっという間に過ぎていった。




