200. 麦穂の勲章、そして二つの親
昼休み、私とユーナ、そしてなぜだかずっと私たちに纏わりついているリリィは、近くの小川の流れのそばに座っていた。
小川と言っても、実のところはもっと用水路に近いものだった。
澄んだ水が田んぼの高いほうから蛇行して流れ落ち、石と草の根のあいだで細かな水しぶきを散らし、やがて遠くの灌漑用の池へと注ぎ込んでいく。
水は深くない。
一番深いところでもせいぜい脛が隠れる程度だったが、水温だけは肌に沁みるほど冷たかった。
私たちは靴をきちんと並べて川辺の草地に置き、裸足のまま、冷たい流れが踝を洗うのを感じていた。
一日の疲れのあとでは、この冷たさが足の裏から全身へと広がり、思わず溜息が出るほど気持ちがよかった。
ユーナは大きな岩に凭れかかり、目を閉じて両足を川の流れに浸したまま、まるで日向ぼっこをする猫のように心地よさそうな表情を浮かべていた。
彼女のピンクの長い髪が肩口に散らばり、川風にそっと吹かれて、陽の光の下で淡く輝いている。
リリィはというと、まったくじっとしていられなかった。
彼女の足は素直ではなく、いつもわざと水を蹴っては「ぱしゃぱしゃ」とあたり一面に跳ね散らかしていた。水しぶきを上げるたびに、彼女はくすくすと笑いながらこちらの反応を覗き込んだ。
まるで、私たちにも一緒に遊んでほしいと期待しているかのようだった。
三度目に大きく水を跳ね上げたとき、私は静かに彼女の、一番落ち着きのないあの片足を掴まえた。
「えへへ……」
彼女は足を縮め、舌をぺろりと出して、だいたい十秒ほどは大人しくなった。
それからまた、すぐに楽しそうに水を蹴り始めた。
彼女を少しでも落ち着かせようと、私は話で気を逸らすことにした。
「リリィ、あなたの両親って、どんな人?」
私はそう尋ねながら、川辺でつるりとした石を一つ拾い上げ、親指でその表面の模様を撫でた。
「お父さんもお母さんも、もちろんいい人だよ!」
リリィは考える間もなく、心のなかの言葉をそのまま口にした。
「ときどき、すごく怒ってお尻をぺんぺんされたりもするけど、それでも、ずっと私のことを愛してくれてるなあって、ちゃんと感じるんだ」
彼女が「お尻をぺんぺん」と言ったとき、無意識に自分のお尻を触り、口を尖らせたが、すぐにまた笑顔に戻った。それは、愛されている子どもだけが持つ、あの何のためらいもない笑顔だった。
その率直さに、私はごく短く、胸を打たれた。
それから彼女は興奮した表情を浮かべ、私たちのほうを振り返って尋ねた。
「じゃあ、お姉ちゃんたちのご両親は、どんな人なの?」
私は彼女の問い返しに、ぐうの音も出なかった。
この記憶が始まってから——いや、私がこの世界で意識を持ち始めたその瞬間から、私のなかに「親」という概念はなかった。
前世の私は孤児院で育ち、実の親に関する記憶は、どこまでも空白だった。院長は、私が誰かに置き去りにされていたのだと言っていた。
一枚の書き置きさえも、残されていなかった。
あの頃の私は、他の子どもたちが年末年始に親に迎えに来てもらって嬉しそうに帰っていくのを見て、心のなかでどんな気持ちを抱いていたのだろう。
たしか……特別悲しくはなかった気がする。
何しろ、一度も持ったことのないものに対しては、当然ながら、失うという感覚もなかった。
今、二度目の人生を迎え、私には両親ができた。
だが、最初の頃の私は、自分をただ、他人の人生を盗んだ一人の泥棒のように感じていた。
あの本当のクローディア・エリクソン——もし彼女がまだ生きていたなら——この身体で、両親の愛情も、領地の豊かさも、そして当たり前のようにある幸福のすべてを享受していたはずだった。
私はただ、他人の巣を奪った鳩のような、偽物でしかなかった。
親に対する感情には、「この人が私の母親だから、私はどうしてもこの人に良くしてあげなければ」という当然の気持ちはなく、ただ毎日を、彼らに対する謝罪の気持ちでいっぱいにしながら生きていた。
私はずっと、彼らの娘の人生を盗んでしまったと思い込んでいたからだ。だからこそ、私はあらゆる方法で、両親への償いをしようとしていた。
領地を発展させ、民生を改善し、新しい技術を導入する。
そのすべての初めの念頭にあったのは、「この盗んだ人生は無駄にされていない」と証明し、その負い目に見合うだけの答案を、彼らに差し出したいという一心だった。
今では、すべてを打ち明けたあとも、彼らは変わらず、私を自分たちの娘として見てくれている。
父は長いあいだ黙り込んだあと、手を伸ばして私の髪をぐしゃぐしゃと揉み、「お前が誰であろうと、お前は俺の娘だ」と言った。
母はそのまま私を抱きしめ、泣きながら「馬鹿な子ね、お前はもともと私たちの娘じゃないか」と言った。
その日から、私は胸の奥にあったそのわだかまりを、少しずつ手放せるようになった。
両親への感情は、負い目から、感謝へと変わっていった。
両親は普段、いつも領地のことで心を砕いている。
父は一日中書斎に籠もって公文書に追われ、母は領地のあちこを巡って民の暮らしを見回っている。
それでも彼らは、あらゆる手を尽くして、私と一緒に過ごす時間を捻り出してくれた。
ときには父が突然、私の部屋の入り口に現れ、搾りたての果物ジュースを手に提げて「たまたま通りかかっただけだ」と言う。
ときには母が、私の授業の時間割のなかに、こっそりと「お母さんと商会に行く」という一枠を加えていた。
彼らは私に、できるだけ、忘れられないような人生を送らせてやりたいと思ってくれているのだった。
川の水がさわさわと踝を洗い流し、肌の熱を、そしてしばしの沈黙を、一緒に連れ去っていった。
長いあいだ口を開かない私を見て、ユーナが先に言った。
「私の両親は、とても優しい人たち」
彼女は一拍、間を置き、その視線を川面のうえに落とした。何か遠い記憶を辿っているようだった。
「私、あることのために、家に何も言わずに出て行ったきりになってしまって……つい最近になってようやく家に戻って、自分の近況を親に話したの」
彼女がそう言うときの口調はとても落ち着いていたが、私は彼女が水のなかで足の指をかすかにぎゅっと丸めたのに気づいた。
それは彼女が感情を抑え込んでいるときの、小さな癖だった。
「でも、二人とも私が黙って出て行ったことを、怒ったりはしなかった」
彼女は続けた。
「それよりも、私が外でどんな経験をしてきたかに興味を持ってくれて、旅のあいだに味わった苦しみを、一緒に悲しんでくれたの」
「お母さんは私を抱きしめて、ずっと泣いて、『よく頑張ったね』って言ってくれた。お父さんは涙を拭きながら、『帰ってきてくれただけでいい、それだけでいいんだ』って……」
ユーナの声はだんだん小さくなり、最後の何文字かは、ほとんど吐息のように消えていった。
川のせせらぎが彼女の声の震えを覆い隠したが、私にははっきりと聞こえていた。
「本当に、いいご両親だね」
リリィはユーナの話を聞くと、思わず感情が移って、目がほんのりと赤くなっていた。
この小さな娘はやんちゃで落ち着きがないくせに、不思議なほどに、他人の気持ちに寄り添う力があった。
「じゃあ、お姉ちゃんは?」
リリィはユーナの話を聞き終えると、私のほうへと顔を向けた。あの茶色の瞳には、好奇心と期待がたっぷりと浮かんでいる。
「私はね……両親は、やっぱり、とてもいい人たちだよ」
私は、彼らをどう形容すればいいのか分からなかった。
まるでこの世のあらゆる言葉——優しさも、強さも、知恵も、慈しみも——すべてを足し合わせたところで、彼らへの感情を表すには到底足りないように思えた。
それは「愛」よりも深く、「感謝」よりも重いものだった。
前世の三十年の空白を、今生の二人が少しずつ、少しずつ埋めてくれた末に、ついに醸し出された、言葉では定義できない重みだった。
それはまるで……一生分の空腹を抱えた胃袋に、誰かが突然、温かいスープを差し出してくれたようなものだ。
人は、そのスープにどんな調味料が入っているか分析したりはしないし、味がいいか悪いかなどと批評したりもしない。
ただ、温かいと感じる。
それだけのことだ。
「ずいぶん適当だね」
ユーナが横からそう突っ込んだ。
「ずいぶん冷たいね」
リリィもそれに乗っかった。
「はは……」
私は何と言っていいか分からず、仕方なく気まずそうに笑った。
だが、それはそうとして、二人とも自分の話をしたのに、私だけがお茶を濁したのは。
うん、理由はあるとはいえ、たしかに少しばかり後ろめたい。
……今度でいいか。
この気持ちを表すのにふさわしい言葉が、いつか見つかったときに、また話そう。
川の水は変わらず、さわさわと流れ続けていた。陽の光が木の葉の隙間から差し込み、水面のうえに斑の光の影を落としている。
リリィはまた足で水を蹴り始めた。だが今度は、ほんの少しだけ。
まるで、また私が彼女の足を掴むかどうかを、探るように。
私は、掴まなかった。
ただ川の水を眺めながら、あれやこれやと、とりとめもなく考え続けていた。
——
やがて、午後の労働が始まる時間になった。
リリィたち母娘は簡単に身支度を整えると、牛車を引いて、もと来た道をゆっくりと歩き、ここを離れていった。
去り際に、リリィは私の隙をついて、つま先立ちになり、私の頬に「ちゅっ」と小さな口づけを一つ残していった。
しっとりと濡れて、ほんの少しパンの匂いのついた小さな口が、私の頬に濡れたよだれの痕を残した。
「バイバイ、可愛いお姉ちゃん!」
彼女は小さな手を振り、満面にきらきらとした笑顔を見せた。
それからまた振り返って、ユーナにも手を振った。
「ユーナお姉ちゃんも、バイバイ!」
私はまだよだれの痕の残る頬に手を当てながら、ぴょんぴょんと跳ねながら遠ざかっていくその背中を見つめて、胸の奥に、名状しがたいあたたかさが込み上げるのを感じた。
この子は……たぶんまだ知らないのだろう。
彼女が口にした「すごいクローディア様」が、彼女の隣に座って、一緒にご飯を食べていたことには。
工程を終え、クリスティルは牛車を引っ張りながらあとに続き、去り際に一度だけ振り返り、私たちにそっと小さく頷いてみせた。
その目には、余計な感情はなかった。
ただの善意だけ——まるで、自分の子どもに対するような、素朴な気遣いだけが、そこにあった。農家の温もりとは、おおむねこういうものなのだろう。
午後の陽射しは午前中よりもずっと容赦がなく、頭皮が痺れるほどに照りつけた。
汗は生え際を絶えず伝い落ち、シャツの背中をぐっしょりと濡らした。
手にした鎌はますます重くなり、一回かがむたびに、前の一回よりもずっと骨身に堪えた。
だが、四人とも立ち止まる気配はまったくなかった。
ユーナは負けず嫌いの性格ゆえに、ニーナは静かに集中を保つ習慣ゆえに、チャーリーはただ単純に、麦刈りが面白くて仕方ないから。
私はといえば——ただチャーリーに負けたくないだけだった。
午後の麦畑には実った穀物の甘い香りが満ち、鎌の「ざくざく」という刈り取りの音と、ときおり級友たちのあいだから聞こえる笑い声とが織り交ざり、一幅の素朴で美しい田園の絵巻を織り成していた。
ただし、私の痛む腰と、今にも千切れそうな背中を無視すればの話だが。
とうとう、陽が西に傾ききる前に、私たち四人は、フィオナ先生がわざわざ割り当てた課題をどうにかこうにか終えた。
大きくもなく小さくもない一面の麦畑は、四振りの鎌の猛攻の前に、すでに整然と並べられた麦束の列へと姿を変えていた。
午後の集合のとき、一日だけの教師となったエノは、余計なことはほとんど言わず、ただ簡潔に、いくつかの言葉をまとめただけだった。
「今日の体験を、どうか覚えていてほしい」
彼は茅葺きの家の前に立ち、小麦色の顔にはまだ労働のあとの汗が光っていた。
「食料というものは、食卓のうえに、何もないところから忽然と現れたりはしない。一粒一粒の麦の背後には、誰かの汗がある。このことを覚えていれば、みなさんは、きっと食べ物を無駄にしないはずだ」
そう言うと、彼は傍らの木箱のなかから、今日の体験の勲章を取り出した。
それは、今日刈り取ったばかりの麦の穂で編み上げられた、小さな徽章だった。
黄金色の麦の穂は精巧に丸く編まれ、中央には一本の赤い草紐が結ばれている。
「これが今日の、みなさんの記念だ」
エノは勲章を一人ずつに手渡した。
「持ち帰って、これを見るときは、今日の気持ちを思い出してほしい」
私は勲章を受け取り、掌のうえに載せてじっくりと見つめた。
麦の穂の編み方はとても細やかで、一本一本の角度が絶妙に整えられ、夕陽に照らされて、あたたかな金色の光を放っている。
……この男を、ただの農民にしておくのは惜しすぎるな。
私は慎重に麦の穂の勲章を収納の腕輪のなかへと収めた。
ほかの大切な品々と、一緒に。




