176. 湯気の向こうの決意
あのとき、私と母が城外へ出て、グリンマンランク帝国の剣から召喚した二十騎の鉄甲聖騎兵を加えても、彼らを退けるのにあれだけの労力を要した。
もしあの徴集兵たち、残る二万五千、途中で命を落とす者を引いても、少なくとも一万五千から二万はいる。
そのすべてが今日のあの魔人化兵士に変わったら、いったいどんな光景になる?
山の上の魔導巨砲はあのときすでに過熱で停止していた。
無理に撃ち続けたとしても、弾薬の消費ペースでは、あの魔人たちの突撃速度に絶対に追いつかない。
半径五メートルの呑み込む範囲は、今日の二千人相手なら十分だった。
だが、痛覚などまるで気にしない二万の化け物を相手にするとなると——
私は思考を最も遠いところまで推し進め、それから引き戻した。
いや、まずは砲台をなんとかしなければ。
「母さん、先に父のところへ行くね」
廊下の石板を踏む足音が、澄んだ反響を返す。
母は引き止めなかった。
彼女はその場に立ったまま、わずかに首を傾けて、私の背中を見送った。
その口元には、心配なのか安心なのか、どちらともつかない色が浮かんでいた。
なにしろ彼女とアルフレッドの二人は、心のなかでとっくに分かっているのだ。
この娘がやろうとすることは、やらせておけ——と。
なにしろ彼女がもたらすのは、いつだって驚きだけなのだから。
地下牢の上に出ると、廊下は一気に広がった。
アーチを曲がると、それまでの圧迫感のある低い石天井から、内城の主楼へと続く開けた回廊へと視界が切り替わる。
窓の外は夜だ。
関隘のなかの松明の灯りが、点々と列をなして連なり、まるで山肌に落ちた蛍の群れのようだった。
すでに日は落ち、空気には土と鉄の生臭さが混じっている。
丸一日、戦い抜いたあとにしか漂わない、あの匂いだ。
指揮室へ向かう途中、私はちょうど厨房から出てきたユーナと鉢合わせした。
彼女の両手には、湯気を立てる肉汁麺の椀が二つ。
顔を上げると、ぱちぱちと瞬きをしながら私を見る。
その表情には「いつまで待たせるの」という小さな不満が滲んでいた。
「どこ行ってたの。けっこう待ったんだから」
「地下牢に、あの捕虜に会いにね」
「ふうん、それで?」
「それで、ずいぶん役に立つ話を聞き出せたよ」
ユーナはわずかに眉を寄せ、もう少し追及したそうにしていた。
だが両手とも椀で塞がっていて、身振りができない。
結局、後半の言葉は喉の奥に呑み込んだ。
私は椀のなかから立ち昇る白い湯気と、汁の表面に揺れる油の光を見て、言葉にできない安堵が胸に広がるのを感じた。
今日は朝から、ちゃんとしたものを口にしていなかった。
少し考えて——どうせ大して時間は変わらない——やはり先に食事にしよう。
そうして、私とユーナは食堂の椅子に腰掛け、肉汁麺を啜り始めた。
関隘の食堂に、洒落た設えなどない。
長い木製テーブルはざらつくほどに削られたままで、縁にはいくつもの引っ掻き傷がある。
長椅子の一脚は使い込まれすぎて、すでに少し足元がぐらついていて、腰を下ろすとかすかに軋んだ。
普段は駐屯兵たちが交代で食事をする場所だ。
今日の戦闘はすでに終わっている。
夜警に立つ兵士たちはとっくに交代し、食堂には私たち二人のほか、竈の方角からときおり残り火のぱちぱちという音が聞こえるだけだった。
私はあの令符を机の隅に置き、麺の椀を持ち上げた。
麺が口に入った瞬間——灰色の世界に、一筋の曙光が差した。
麺は打ちたてだ。
早く食べられるようにと急いだせいで、太さはまちまち、食感も公爵邸のあの味とは違う。
細いところはすでに少し柔らかくなり、太いところはまだ弾力を残している。
精巧とは言えない。
だが、口に入れた瞬間、熱い湯気がそのまま広がり、汁ごと舌の上に沁み込んでいく——まるで温かい手のひらが、そっと触れてきたかのように。
しかし、その食感も味も、あの規格生産の煉瓦パンよりは、何倍もましだった。
あの軍用の硬パンは四角く、二、三日も置けば本物の煉瓦のように硬くなる。
齧るときは奥歯に力を込めなければならず、口のなかで何の味もしない粉へとゆっくり溶けていく。
私はもう何日もそれを食べ続けてきた。
とっくに飽きている。
だが、飽きても食べるしかなかった。
他の選択肢は、もっと酷い。
スープのベースとなる肉の煮汁も、厨房でまとめて煮込まれたものだ。
血抜きも臭み取りもされておらず、かすかな生臭さが残っている。
だが幸いなことに、ユーナが細かく黒胡椒と生姜を加えてそれを抑えてくれていた。
あの生臭さは覆い隠され、代わりに温かな辛みが残った。
それがスープの底に沈んだ脂肪と溶け合い、飲み込むと胃のあたりからじんわりと広がる、確かな満足感があった。
「ユーナ、すごく美味しいよ。ここ数年で、また腕を上げたんじゃない?」
私は麺を啜りながら、ユーナにそう言った。
褒められたユーナは、とたんに満面の、幸せそうな笑みを浮かべた。
彼女は自分の椀の麺を箸でかき集め、つつきながら、必死にその笑みを抑えようとしている。
だが、耳の先はもう、ほんのり赤くなっていた。
「ここの食材が良くないだけ。もっといい材料があれば、もっとうまく作れるのに」
口ではそう言いながら、彼女の視線はふと横に逸れて、机の隅の令符に落ちた。
「それ、なに?」
「捕虜から没収したの。紫水晶の令符。あの魔改造された兵士たちを管理するためのもの」
ユーナはしばらくそれを眺めてから、視線を戻した。
それ以上は追及せず、また麺を啜り始める。
彼女は食事の最中に政治の話を根掘り葉掘り聞くような性格ではない。
だが、彼女がこのことをしっかり記憶したのは分かっていた。
頃合いを見て、必ず聞いてくるだろう。
私は最後の数口をかき込み、空の椀を脇に押しやってから、ユーナに向き直った。
「ユーナ、このあと一緒に父のところへ来てくれる? 話したいことがあるの」
「どんな話?」
ユーナが目をぱちぱちさせながら尋ねた。
「もちろん、レイク郡のほうからあそこに設置してある海防砲台を、こっちに持ってくる話」
ユーナの箸が、一瞬止まった。
「というのも、数日のうちに奴らは総攻撃を仕掛けてくると思う。そのときにはおそらく、今日私たちが見たあの魔人が、万単位で現れる」
「そんなことに——」
ユーナは私の言葉に、はっきりと怯んだ。
私は彼女をちらりと見た。
そういえば彼女は今日、一緒に出陣していない。
戦場で何が起きたのか、まだ知らなかった。
あの二千の紫色の肌をした兵士がどう現れたのか。
なぜ彼らは倒れないのか。
なぜ傷を無視して前進し続けるのか。捕虜がその後、何を白状したのか。
私は椀を置き、脇へ押しやってから、今日自分が見つけたそれらのことをユーナに話し始めた。
二千の魔改造兵士が城門の下に現れたところから話を始め、彼らの外見、彼らの反応、鉄甲聖騎兵が出撃した経緯、捕虜が地下牢で白状した内容まで。
聖水がどのように生活用水に混ぜ込まれたか。
五日のあいだに身体がどう改造されるか。
肉体の耐えられなかった者が、変容の途中でどう命を落とすか。
そして生き延びた者は、何に変わってしまうのか。
それから令符の話。紫水晶に封印されたあの髪の一筋。
その背後に帝国皇帝がいること、偽りの教派がいること、借金を返すために動かされた戦争機械の、そのすべてが繋がっていること。
ユーナは私の話を遮らなかった。
彼女の箸は、最後には完全に置かれた。
両手は膝のうえに揃えられ、目は私をじっと見つめたまま、一度も逸らされなかった。
話し終えたとき、ユーナは怒りのあまり、顔を真っ青にしていた。
誇張ではない。彼女は、本当に震えていた。
細く白い指が膝のうえで握り締められ、指の節が白く浮き出ている。
唇を噛み締め、普段は少しふっくらとしていて、いつも笑みを湛えているその顔には、懸命に抑え込まれた怒りが走っていた。
彼女は本当に信じられなかったのだ。
この者たちが借金を返すために、この戦争を推し進めたということが。
それだけではない。彼らは悪魔に穢された聖水を使って、普通の農民である徴集兵たちを汚染し、物を考えない戦争機械を製造したのだ。
「あの人たちは……」
ユーナの声はとても軽く、吐息に近かった。
「あの人たちは、もともと畑を耕していた人たちよ」
「そう」
私はそれ以上、何も説明を加えなかった。
あの人たちには、もともと名前があった。
田んぼがあった。
今年の収穫が持つかどうかという心配があった。
そして、彼らの帰りを待っている人がいた。
それなのに彼らは、自分とは何の関係もない戦争に巻き込まれ、一桶の湯を与えられ、何も知らされないまま、永遠に自分自身を失った。
「誰かが、このことの代償を払うの?」
ユーナが尋ねた。
私はしばし、沈黙した。
窓の外から、関隘の夜風が吹き込んでくる。
燭台の炎がかすかに揺れて、食堂の何もない壁のうえに、一回り大きく膨らんだ影を落とした。
「私が払わせる」
私の声は、自分で思っていたよりもずっと、静かだった。
激昂ではない。
誓いでもない。
ただの陳述だ。
だが、だからこそ——その重みは、嘘偽りのないものだった。
ユーナは顔を上げて私を見て、それから頷いた。
彼女の顔に走っていたあの怒りは、消えてはいなかった。
「じゃあ、私も一緒に行く」
ユーナは言った。
「もちろんだよ。君を見た瞬間から、連れて行くつもりだった」
そう言って、私とユーナは空の椀を机のうえに残したまま、踵を返して食堂をあとにした。




