173. 再会の門
もう一人の鉄甲聖騎兵の肩に座りながら、私と母はようやくブレン関隘へと戻ってきた。
騎兵が城門を踏み越えるとき、あの分厚い鉄の蹄が青石の地面を打ち、鈍い金属の衝突音を響かせた。
城壁には、今日という一日の痕跡がまだ生々しく残っている。
射石砲の投石槽の縁は、擦れて新しい白い傷ができていた。
何箇所かの胸壁の煉瓦には細かな亀裂が走り、魔力の余波を受けた一角には、焦げた黒い弧状の焼け跡が刻まれている。
土魔法師たちが城壁に沿ってゆっくりと移動し、それらの亀裂を一つひとつ埋め直していた。
道中、散り散りになった徴召兵と何度か遭遇した。
だが、彼らが完全に戦意を失い、魂の抜けたような様子でいるのを見て、私たちも彼らに手を出すことはしなかった。
向こうから攻撃を仕掛けてこない限り、こちらも何もしない。
彼らはぽつりぽつりと道の両脇に座り込んでいた。
大半は長槍も盾も手放し、そのまま地面に放り出したまま、膝を抱えて茂みのなかに座り込み、虚ろな目をしている。
そのなかの一人、せいぜい二十歳を超えるかどうかという若者が、両手で顔を覆い、身体を小刻みに震わせていた。
声は、何一つ漏れていない。
少し年かさの男は、背中を幹に預け、漫然と空を見つめていた。
唇が動いている。何事か呟いているのか、自分にしか聞こえない言葉を唱えているのか。
なにしろ戦争が終われば、彼らは故郷に帰り、ただの農民に戻るのだ。
私たちのあいだに、これといった遺恨があるわけでもない。
そんな相手を、どうして追い詰めて殺す必要があるだろう。
徴召兵と職業軍人は、まるで別物だ。
前者は畑から無理やり引っ張られてきた人間だ。妻も子もいる、何畝かの田んぼもある、ちゃんと名前もある。
後者は少なくとも、自ら進んで武器を取って食い扶持を稼ぐ道を選んだ者たちだ。
すでに潰走した者たちに、なおも刃を振るうことに、いったい何の意味があるというのか。
自分の手に無益な命を何本か上乗せする以上のものは、何もない。
そもそも私には、敵を一人残らず皆殺しにするような趣味はなかった。
城門をくぐった瞬間、私は騎兵の肩から飛び降りた。
最初に目に入ったのは、すぐ近くに立っているユーナだった。
彼女は遠くで待っていたのではない。
城門の内側、ほんの数歩のところに、おそらくずっとそこに詰めていたのだろう。
身につけているのは皮鎧で、胸の金属製の胸当てが、城壁の切れ目から差し込む斜めの光を受けて細くきらめいている。
全体に、普段より一回り小さく見えた。
長いあいだ兜を被っていたせいで、髪も少し乱れている。
明らかに、私たちの帰りを待っていたのだ。
ユーナはぱっと飛び込むようにして抱きついてきた。
彼女の皮鎧についた金属の胸当てと、私の鉄製の板金鎧がぶつかり合い、甲高い金属音を立てた。
その音が響いたとき、私はとっさに彼女を支えた。
弾かれて転ばないように。
彼女は私にぴったりと身を寄せ、うつむいて、頭を私の肩の横あたりに預けている。
しばらくして、ようやく口を開いた。
「無事に帰ってきたね」
ユーナの声は淡々としていた。
まるで何気なく言っただけのように。
でも、彼女の呼吸が普段よりほんの少しだけ速くなっているのが分かった。
私は頷いた。
「母さんも一緒に出てくれて、ほんと助かったよ。じゃなきゃ、戻るのがちょっと難しかったかも」
指揮官を追撃したあの一件、もともとは逃げ出した指揮官を一人捕らえて、ついでに職業兵の残党を何人か片付ければ済むと思っていた。
まさかハインツ本人が駆けつけてくるとは。
賢者境界の人間の一撃と、普通の魔法師とのあいだの差は、あの一発の火球で鉄甲聖騎兵を丸ごと消し飛ばした瞬間に、これ以上ないほどはっきりと示された。
もしあのとき、私が騎兵の肩からとっさに飛び降りていなければ。
それに、母が間に合わなければ。
あの遭遇戦が、こんなにあっさり片付くことはなかっただろう。
「なにか、手強い相手に当たったの?」
ユーナが不思議そうに尋ねた。
私は頷いた。
「うん。向こうの公爵さまと当たっちゃってね。火球術一発で鉄甲聖騎兵を消し飛ばすんだ。ちょっと厄介だったよ」
口に出すときは、なるべく軽い調子を心がけた。
余計な心配をかけないように。
だがユーナは、そんな軽く流した言葉で簡単にやり過ごせる相手ではなかった。
ユーナの顔に、驚きの色が浮かんだ。
彼女はすぐには言葉を返さず、わずかに眉を寄せ、視線を私の横顔へと向けた。
まるで心のなかで、もう一度あの出来事をなぞり直しているかのように。
彼女はかつて模擬戦で、私の召喚した鉄甲聖騎兵と闘い、勝ったことがある。
だからこそ、あの騎兵の実力をよく知っている。
あれは、並の兵士ではない。
あのときユーナは、撹乱戦術を使ってまるまる二十分も引き延ばし、ようやく騎兵の甲冑にできたごく細い隙間を見つけて、そこへ精密な一撃を叩き込んだ。
最小限の被害で、あの騎兵を「倒した」のだ。
そのあと彼女自身が言っていた、あの勝ち方は決して楽ではなかった。
騎兵の側が少しでも違う発想を採っていれば、もっと早い段階で決着がついていたはずだと。
なにしろ、そもそもの創始国であるグリンマンランク帝国は、この騎兵を選抜するとき、軍のなかでも最も精鋭で、最も魔力の強い新兵から選び出していたのだ。
長期間の鍛錬を経て、力も魔法も兼ね備えた鉄甲聖騎兵の戦闘力は、当然ながら他の兵種の数十倍を下らない。
しかし、その兵士がハインツ公爵の手にかかれば、たった一発の火球術にすら耐えられなかった。
三十秒。
火球が落ちてから、あの騎兵の甲冑が影ごと炎のなかに完全に消え去るまで、わずか三十秒。
骨の一片すら残らなかった。
賢者境界とは、書面上だけの肩書きではない。
それは、現実のあらゆる等級を圧倒する破壊力を意味している。
たとえ私の障壁があの一撃を凌いだとしても、次、その次、私が魔力を消耗する速度は、彼が魔力を回復する速度に絶対に追いつかない。
今日、もしあの場からすぐに離脱していなければ、結末は分からなかった。
この細部を、ユーナにすべて話すつもりはなかった。
彼女が眉を寄せるには、すでに聞いただけで十分だろう。
「まあいいや、その話は置いといて。こうしてちゃんと帰ってきたんだし。一緒にご飯に行こう」
私は手を伸ばして、ユーナの小さな頭をわしゃわしゃと撫でながら、笑って言った。
彼女の髪は、私の手でさらに乱れた。
彼女は小さく鼻を鳴らしたが、私の手を払いのけはしなかった。
反論もせず、素直に頷いて、私の手を握りながら、背後の城楼へと一緒に歩き出した。
二人の指が重なり合う。
彼女の手は私より小さく、私より温かかった。
そのとき、二人の背後に立っていたヘレナ。
彼女は両腕を組み、城門の内側の陰に立ち、口元には意味深長な弧を描き、視線を私とユーナの繋いだ手にほんの一、二秒ほど留めた。
それから、傍らにいる縄でぐるぐる巻きにされて、兜をすでに取り上げられた男へと目を向けた。
捕虜となった指揮官は、もう先ほど戦場で見せていたあの沈着さを失っていた。
肩は落ち、鎧の胸から横腹にかけて、追撃の最中に鉄甲聖騎兵に殴り飛ばされたときの衝突痕が一本走っている。
彼は困惑と警戒の入り混じった目で、母を見つめていた。
捕虜として、今の自分がどんな状況に置かれているのか、まだ掴みかねているようだった。
「まあまあ、ほんとに仲がよろしいことで。そう思わない?」
ヘレナはクローディアとユーナの背中を見つめながら、傍らにいるぐるぐる巻きの騎士を軽く蹴って言った。
突然話を振られて、指揮官はぎょっとした。
反射的に、横へ身を引く。
「わ、私にも関係が……?」
捕虜の身で、彼は困惑気味に問いかけた。
その口調には慎重さが滲んでいた。
見るからに、この男は現在の状況をだいたい呑み込めている。
相手にはまだ、自分をすぐに殺すつもりはない。
そう見極めたうえで、最低限の尊厳を保ちながら、協力する道を選んでいるのだ。
だが、ヘレナが腰から長剣を抜くのを見た瞬間、彼はすぐさま言い直した。
「そ、その通りでございます! お嬢様方はまことに相思相愛の仲であられまして、羨ましい限りでございます」
その言葉は、ためらいもなく、心からのように響いた。
表情までつけてくるあたり、よく訓練された古強者が、不意の事態に対処するときに見せる本能的な反応だった。
母は満足げに剣を鞘に納め、ふんと小さく鼻を鳴らした。
どうやらその答えで、及第点はもらえたらしい。




