166. 悪魔
徴召軍は砲撃を受けたのち、小さな集団からじわじわと崩れ始めた。
叫び声、逃げ惑う足音、そして呆然と立ち尽くす者。
あらゆる反応が入り乱れて、隊列のそこかしこから湧き起こっていく。
第二波が着弾すると、徴召軍は完全な混乱に陥った。
彼らはただの農民だ。
食い扶持のためにかり出されただけの、普通の人間である。
訓練などを受けていない。
戦う意思もない。
そもそも自分がなぜここにいるのかすら、わかっていない者もいるだろう。
一度も顔を見たことのない領主のために、自分の血の一滴まで流そうなどと、誰が思えるだろうか。
かくして、かろうじて整えられていた方陣は崩れていった。
武器を投げ捨てて逃げる者、地べたに座り込んで泣く者、来た道を引き返そうとして督戦隊の長槍に阻まれる者。
それぞれが思い思いの方角へ散っていく。
私はため息をつき、もはや戦力を失ったその烏合の衆から視線を外すと、別の一角へと目を移した。
そちらが、本当の脅威だ。
しかし、見た瞬間、眉間にしわが寄った。
「……あの連中、どうにもおかしい」
その兵たちの立ち姿はばらばらで、秩序のかけらもない。
それだけではない。
体の輪郭が、徴召兵に比べて数倍はあろうかというほど大きいのだ。
職業兵士のほうが農民より食事が豊かなのは確かだが、それでここまでの差が出るはずがない。
魔力で強化した視力を使って細かく観察すると、彼らの顔に異様なものが見えた。
ラベンダー色、いや、くすんだ薄紫の染みが肌に滲んでいる。
生まれつきの肌の色ではない。
何かに侵食された痕跡を思わせる、不自然な色だった。
上半身には衣服がない。
あの不自然な筋肉が、そのまま剥き出しになっている。
筋肉の輪郭は誇張されて、ほとんど奇形的なほどに盛り上がっていた。
一塊一塊が皮膚の下に石でも詰め込んだかのようで、今にも皮膚を突き破らんばかりに隆起している。
下半身は、最低限の部分だけを覆うように粗布が一枚巻かれているだけだ。
武器は、体格に合わせた特注品である。普通の人間の体より幅の広い刀身、成人の身長よりも長い槍。ただそれを持つだけで、常人には想像もできない膂力が必要になる。
「これは……普通の人間じゃない」
私は思わず呟いた。
嫌な予感が走った。
私は急いで塔楼を駆け下り、父のいる指揮所へと向かった。
石段で危うく踏み外しそうになりながら、全速力で走る。
ユーナが後ろからついてきた。
息が少し上がっていたが、一言も言わなかった。
「お父様」
両親に前世のことを打ち明け、自分が本物のクローディアだと認めてから、この呼び方は以前とは少し違って聞こえる気がする。
強制的に受け入れた呼び名ではなく、心から出た言葉として。
指揮室の中では、父アルフレッドが大きな作戦地図の前に立ち、母や他の武官たちと何かを議論していた。
「ん? 何か気づいたことがあったか」
アルフレッドが振り向き、私を見た。
白い髪が朝の光を受けて淡く光っている。
その碧の瞳には疲労の色が見えたが、それでもまだ鋭かった。
開戦以来、彼はほとんど休めていない。
「はい」
私は頷き、地図の前に立って、先ほど観察した内容を順に追って説明した。
「……顔に不自然な薄紫の染みがあり、上半身は裸で、筋肉が異様に肥大化していて、武器は特注の大型のもの……」
一語一語、丁寧に伝えた。
「あの兵士たちは絶対に普通ではありません」
母の表情に、険しさが滲んだ。
母は草の根出身の父とは異なり、幼い頃から系統だった貴族教育を受けている。
軍事理論もそのなかに含まれていた。
「確かに……おかしいわね」
彼女の声は落ち着いていたが、底に緊張があった。
「上陸作戦は、少し待ったほうがよさそうね」
「上陸作戦ですか」
私は思わず聞き返した。
「海軍を使って海岸線から敵の後方に上陸し、挟撃する予定だったんだ」
父が説明した。
「だが、敵軍にあんな未知の戦力があるなら、迂闊に兵力を分散するわけにはいかない」
「慎重にいくのが正解だと思います。こちらは人数が多くないので」
私は答えた。
アルフレッドの傍らに立つ武官たちは何か言いかけたが、これがヘレナ妃殿下の判断となると、口を噤むしかなかった。
模擬演習では彼女に一度も勝てたことがないのだから、無条件に従うしかない。
「確認しに行きましょう」
母が言った。
二人は私と共に作戦室を出て、近くの城楼に登った。
元いた塔楼ほど高くはないが、あの異様な兵士たちを見るには十分だった。
朝の陽光がすっかり昇り、戦場を明るく照らしている。
ヘレナとアルフレッドは、遠くのあの兵士たちを目にした途端、表情を引き締めた。
アルフレッドは目を細め、あの兵士たちを舐めるように観察し、やがてその薄紫の染みに視線が止まった。
顔色が、じわりと暗くなる。
「これは……悪魔の気配だ!」
アルフレッドの声に、隠しきれない驚愕が混じっていた。
私は固まった。
「悪魔、ですか」
思わず目を凝らして、あの兵士たちを見つめた。
何かを感じ取ろうとしたが、何も感じない。
ヘレナも頷いて口を開いた。
「エイドリアンというあの男、オリヴィア教の教義を踏みにじって現地の大司教を脅迫し、偽教派『ハーランド派』を立ち上げ、人族の宗教だなどと称しておきながら……まさか悪魔と契約まで結んでその力を得ているとは」
彼女の声には、明らかな怒りと嫌悪が混じっていた。
「お母様、彼らが変異したのは悪魔のせい、ということですか」
私は疑問を口にした。
「私も悪魔と戦ったことがありますし、あの気配は記憶しているはずなんですが……あの兵士たちからは、悪魔の臭いがまったくしないんです」
あの学院で思い切り叩きのめした悪魔を思い出した。
醜悪ではあったが、気配だけはかなり濃かった。本能的に嫌悪感を催す、腐敗臭じみた何か。
でも、あの兵士たちからは、そういったものが何も感じられない。
「そうよ、クローディア」
ヘレナが振り向いて私を見た。
厳しかった顔が、一瞬で柔らかくなる。
彼女は手を伸ばし、私の頭をそっと撫でた。小猫をあやすような、あの手つきで。
「あの悪魔の臭いを消す方法は私にもわからないけれど、顔がああも紫に変色しているのは、明らかに悪魔の気配に汚染されているからよ」
「でも、私が前に戦った悪魔、かなり弱かったですよ」
私はあの兵士たちを見ながら首を傾けた。
「悪魔の力を借りた程度で、私たちの相手になりますか」
アルフレッドは苦笑まじりのため息をついた。
「クローディア、お前の基準で計ってはいけない……」
そうして父は、悪魔という種族について説明を始めた。
「悪魔は冥界に生きる生物だ」
父の声は重く、慎重だった。
「等級があり、最下級の小悪魔から、最高位の魔王まで、その実力差は果てしなく大きい」
「お前が遭遇したあの悪魔は、悪魔の中でも最も下の小悪魔だ。それでも、学校中の生徒と教師を全滅させるだけの力はあった。お前に出会わなければ、本当にそうなっていただろう」
私は頭を掻いた。
少し気恥ずかしい。
「人間が悪魔の力を宿し、悪魔の気配に染まり、超人的な力を得るためには、最低でも悪魔伯爵レベルの存在が必要だ」
父は続けた。
「人間の階梯で換算すれば、賢者三級相当というところだろう」
「賢者三級……」
私は小さく繰り返した。
「その水準は、徒手空拳で一万人を相手に戦っても、傷一つなく生還できると言われている」
父が私をまっすぐに見た。
「それは、普通の人間が太刀打ちできる相手ではない」
母が引き継いだ。
「あの悪魔の力に染まった兵士たち、見た限りでは普通の兵士の十倍は強いと思う。肉体が悪魔の気配に侵食されることで、力、速さ、打たれ強さが大幅に上がる。それに——」
彼女は一拍置いた。
声にさらに重みが加わる。
「——痛覚と恐怖心の大半を、おそらく失っている。つまり重傷を負っても戦い続け、完全に行動不能になるまで止まらない」
そのとき、頭上を風切り音が駆け抜けた。
数十発の石弾が、射石砲と投石機から放たれ、あの悪魔兵士たちに向かって飛んでいった。
石弾は弧を描いて空を翔け、沈んだ破空音を引きずりながら、あの兵士たちの集団へと降り注いだ。
「危ない——!」
誰かが叫んだ。
しかし、石弾がその怪物たちに当たろうとした瞬間、奴らが動いた。
ただ腕を、一振りしただけだ。
「ドン! ドン! ドン!」
石弾が、あの巨大な腕に弾かれた。
あの重い石の塊が、まるで軽い風船のように空へ打ち飛ばされ、遠くの地面に落ちて、ぼこぼこと浅い穴を穿っていく。
三人揃って、絶句した。
射石砲の二射で徴召兵を散らした、あの砲撃が、こいつらには飛んできた石ころを払うのと同然だというのか。
射石砲の威力は、農場で実際に目の当たりにしている。
魔力強化を施した正規の盾兵ですら、一発まともに受ければ肉塊になる。
たとえ弾いたとしても、その衝撃で内出血を起こす。
それを、奴らは腕を振っただけで弾き返した。
「……馬鹿な」
私は思わず、声に出した。
徴召軍は砲撃を受けたのち、小さな集団からじわじわと崩れ始めた。
叫び声、逃げ惑う足音、そして呆然と立ち尽くす者。
あらゆる反応が入り乱れて、隊列のそこかしこから湧き起こっていく。
第二波が着弾すると、徴召軍は完全な混乱に陥った。
彼らはただの農民だ。
食い扶持のためにかり出されただけの、普通の人間である。
訓練などを受けていない。
戦う意思もない。
そもそも自分がなぜここにいるのかすら、わかっていない者もいるだろう。
一度も顔を見たことのない領主のために、自分の血の一滴まで流そうなどと、誰が思えるだろうか。
かくして、かろうじて整えられていた方陣は崩れていった。
武器を投げ捨てて逃げる者、地べたに座り込んで泣く者、来た道を引き返そうとして督戦隊の長槍に阻まれる者。それぞれが思い思いの方角へ散っていく。
私はため息をつき、もはや戦力を失ったその烏合の衆から視線を外すと、別の一角へと目を移した。
そちらが、本当の脅威だ。
しかし、見た瞬間、眉間にしわが寄った。
「……あの連中、どうにもおかしい」
その兵たちの立ち姿はばらばらで、秩序のかけらもない。
それだけではない。
体の輪郭が、徴召兵に比べて数倍はあろうかというほど大きいのだ。
職業兵士のほうが農民より食事が豊かなのは確かだが、それでここまでの差が出るはずがない。
魔力で強化した視力を使って細かく観察すると、彼らの顔に異様なものが見えた。
ラベンダー色、いや、くすんだ薄紫の染みが肌に滲んでいる。
生まれつきの肌の色ではない。
何かに侵食された痕跡を思わせる、不自然な色だった。
上半身には衣服がない。
あの不自然な筋肉が、そのまま剥き出しになっている。
筋肉の輪郭は誇張されて、ほとんど奇形的なほどに盛り上がっていた。
一塊一塊が皮膚の下に石でも詰め込んだかのようで、今にも皮膚を突き破らんばかりに隆起している。
下半身は、最低限の部分だけを覆うように粗布が一枚巻かれているだけだ。
武器は、体格に合わせた特注品である。
普通の人間の体より幅の広い刀身、成人の身長よりも長い槍。
ただそれを持つだけで、常人には想像もできない膂力が必要になる。
「これは……普通の人間じゃない」
私は思わず呟いた。
嫌な予感が走った。
私は急いで塔楼を駆け下り、父のいる指揮所へと向かった。
石段で危うく踏み外しそうになりながら、全速力で走る。
ユーナが後ろからついてきた。
息が少し上がっていたが、一言も言わなかった。
「お父様」
両親に前世のことを打ち明け、自分が本物のクローディアだと認めてから、この呼び方は以前とは少し違って聞こえる気がする。
強制的に受け入れた呼び名ではなく、心から出た言葉として。
指揮室の中では、父アルフレッドが大きな作戦地図の前に立ち、母や他の武官たちと何かを議論していた。
「ん? 何か気づいたことがあったか」
アルフレッドが振り向き、私を見た。
白い髪が朝の光を受けて淡く光っている。
その碧の瞳には疲労の色が見えたが、それでもまだ鋭かった。
開戦以来、彼はほとんど休めていない。
「はい」
私は頷き、地図の前に立って、先ほど観察した内容を順に追って説明した。
「……顔に不自然な薄紫の染みがあり、上半身は裸で、筋肉が異様に肥大化していて、武器は特注の大型のもの……」
一語一語、丁寧に伝えた。
「あの兵士たちは絶対に普通ではありません」
母の表情に、険しさが滲んだ。
母は草の根出身の父とは異なり、幼い頃から系統だった貴族教育を受けている。
軍事理論もそのなかに含まれていた。
「確かに……おかしいわね」
彼女の声は落ち着いていたが、底に緊張があった。
「上陸作戦は、少し待ったほうがよさそうね」
「上陸作戦ですか」
私は思わず聞き返した。
「海軍を使って海岸線から敵の後方に上陸し、挟撃する予定だったんだ」
父が説明した。
「だが、敵軍にあんな未知の戦力があるなら、迂闊に兵力を分散するわけにはいかない」
「慎重にいくのが正解だと思います。こちらは人数が多くないので」
私は答えた。
アルフレッドの傍らに立つ武官たちは何か言いかけたが、これがヘレナ妃殿下の判断となると、口を噤むしかなかった。
模擬演習では彼女に一度も勝てたことがないのだから、無条件に従うしかない。
「確認しに行きましょう」
母が言った。
二人は私と共に作戦室を出て、近くの城楼に登った。
元いた塔楼ほど高くはないが、あの異様な兵士たちを見るには十分だった。
朝の陽光がすっかり昇り、戦場を明るく照らしている。
ヘレナとアルフレッドは、遠くのあの兵士たちを目にした途端、表情を引き締めた。
アルフレッドは目を細め、あの兵士たちを舐めるように観察し、やがてその薄紫の染みに視線が止まった。
顔色が、じわりと暗くなる。
「これは……悪魔の気配だ!」
アルフレッドの声に、隠しきれない驚愕が混じっていた。
私は固まった。
「悪魔、ですか」
思わず目を凝らして、あの兵士たちを見つめた。
何かを感じ取ろうとしたが、何も感じない。
ヘレナも頷いて口を開いた。
「エイドリアンというあの男、オリヴィア教の教義を踏みにじって現地の大司教を脅迫し、偽教派『ハーランド派』を立ち上げ、人族の宗教だなどと称しておきながら……まさか悪魔と契約まで結んでその力を得ているとは」
彼女の声には、明らかな怒りと嫌悪が混じっていた。
「お母様、彼らが変異したのは悪魔のせい、ということですか」
私は疑問を口にした。
「私も悪魔と戦ったことがありますし、あの気配は記憶しているはずなんですが……あの兵士たちからは、悪魔の臭いがまったくしないんです」
あの学院で思い切り叩きのめした悪魔を思い出した。
醜悪ではあったが、気配だけはかなり濃かった。
本能的に嫌悪感を催す、腐敗臭じみた何か。
でも、あの兵士たちからは、そういったものが何も感じられない。
「そうよ、クローディア」
ヘレナが振り向いて私を見た。
厳しかった顔が、一瞬で柔らかくなる。
彼女は手を伸ばし、私の頭をそっと撫でた。小猫をあやすような、あの手つきで。
「あの悪魔の臭いを消す方法は私にもわからないけれど、顔がああも紫に変色しているのは、明らかに悪魔の気配に汚染されているからよ」
「でも、私が前に戦った悪魔、かなり弱かったですよ」
私はあの兵士たちを見ながら首を傾けた。
「悪魔の力を借りた程度で、私たちの相手になりますか」
アルフレッドは苦笑まじりのため息をついた。
「クローディア、お前の基準で計ってはいけない……」
そうして父は、悪魔という種族について説明を始めた。
「悪魔は冥界に生きる生物だ」
父の声は重く、慎重だった。
「等級があり、最下級の小悪魔から、最高位の魔王まで、その実力差は果てしなく大きい」
「お前が遭遇したあの悪魔は、悪魔の中でも最も下の小悪魔だ。それでも、学校中の生徒と教師を全滅させるだけの力はあった。お前に出会わなければ、本当にそうなっていただろう」
私は頭を掻いた。
少し気恥ずかしい。
「人間が悪魔の力を宿し、悪魔の気配に染まり、超人的な力を得るためには、最低でも悪魔伯爵レベルの存在が必要だ」
父は続けた。
「人間の階梯で換算すれば、賢者三級相当というところだろう」
「賢者三級……」
私は小さく繰り返した。
「その水準は、徒手空拳で一万人を相手に戦っても、傷一つなく生還できると言われている」
父が私をまっすぐに見た。
「それは、普通の人間が太刀打ちできる相手ではない」
母が引き継いだ。
「あの悪魔の力に染まった兵士たち、見た限りでは普通の兵士の十倍は強いと思う。肉体が悪魔の気配に侵食されることで、力、速さ、打たれ強さが大幅に上がる。それに——」
彼女は一拍置いた。
声にさらに重みが加わる。
「——痛覚と恐怖心の大半を、おそらく失っている。つまり重傷を負っても戦い続け、完全に行動不能になるまで止まらない」
そのとき、頭上を風切り音が駆け抜けた。
数十発の石弾が、射石砲と投石機から放たれ、あの悪魔兵士たちに向かって飛んでいった。
石弾は弧を描いて空を翔け、沈んだ破空音を引きずりながら、あの兵士たちの集団へと降り注いだ。
「危ない——!」
誰かが叫んだ。
しかし、石弾がその怪物たちに当たろうとした瞬間、奴らが動いた。
ただ腕を、一振りしただけだ。
「ドン! ドン! ドン!」
石弾が、あの巨大な腕に弾かれた。
あの重い石の塊が、まるで軽い風船のように空へ打ち飛ばされ、遠くの地面に落ちて、ぼこぼこと浅い穴を穿っていく。
三人揃って、絶句した。
射石砲の二射で徴召兵を散らした、あの砲撃が、こいつらには飛んできた石ころを払うのと同然だというのか。
射石砲の威力は、農場で実際に目の当たりにしている。
魔力強化を施した正規の盾兵ですら、一発まともに受ければ肉塊になる。
たとえ弾いたとしても、その衝撃で内出血を起こす。
それを、奴らは腕を振っただけで弾き返した。
「……馬鹿な」
私は思わず、声に出した。




