157. 十三年の嘘と、真実の記憶
母上が戻ってきたのは、夕暮れのことだった。
イスヴァール港から一目で戻ってきた彼女は、入ってきたとき、まだ風塵が完全には払えられていなかった。
マントの裾には海風の塩気がひとかけら残っている。
私は廊下で待っていた。
遠くから彼女の後ろ姿が入り口に現れるのを見て、心臓が理由もなく一拍速くなった。
夕食はとても静かだった。
情勢の話を両親は食卓で少し交わしたが、私とユーナは口を挟まなかった。
ただ聞いていて、ときおり目が合うと、それぞれが知っていることを眼差しの奥に押し込めて、静かに過ごした。
食卓が片付けられたあと、私はユーナの手を引いて、父の書斎へと向かった。
あの扉を押し開けたとき、手のひらには少し湿り気があった。
二人はすでにそこに座っていた。
向かい合い、炉の火が燃え、書斎の光をオレンジ色の赤みを帯びたものに変えていた。
暖かいが、同時にすべての影を深くさせてもいた。
入ってくる私たちを見て、父は軽く呆け、それから笑った。
「娘よ、何か用か?」
私は入り口に立ったまま、すぐには中へは入っていかなかった。
左手に握っているのはユーナの手だった。
彼女は何も言わなかったが、指先が軽く力を込めた。
その力は強くはないが、存在感はとても強かった。
まるで「私はここにいる」と言っているようだった。
私は深く息を吸い、中へ入っていった。
「父上、母上——」
私は二人の前に立ち止まり、白金色の髪が肯く動作に合わせて軽く揺れた。
「とても重要なことをお話ししたいです。」
炉の中で松の木がぱちりと鳴った。
部屋の静けさが増幅された。
私は長いあいだ黙っていた。
どう切り出せばいいか思いつかないからではない。
一度口に出せば、もう取り返しがつかないとわかっていたからだ。
結局、私は言った。
「私……とユーナは、二人とも、前世の記憶を持っています。」
その言葉が落ちて、部屋の中に短い静寂が落ちた。
父の表情には、私が予期したような衝撃はなかった。
彼は手を持ち上げ、指先で顎に触れ、眼差しの奥に何かを考える色を浮かべた。
「その点については、確かに推測したことがあった。」
「推……推測?」
私は目を見開いた。
自分は十分に隠せていると思っていたのに。
「いとしい人。」
母の声には笑いが混じっていた。
彼女は横を向いて私を見た。
「あなたが持っている知識、それに普段の物事の進め方。これらを合わせれば、その方向に考えないほうが難しいわ。」
私はそこに立ったまま、脳内で過去数年の出来事を一巡させ、それからゆっくりと、彼女の言うことが単なる慰めではないと気づいていった。
十三歳の子が、深海の魔物クラーケンを追い掛けて死に物狂いで攻撃し、何発も追撃して、終わったら手をぱんぱんと叩いて、何事もなかったような顔で戻ってくる——そんな光景が普通だろうか。
十二歳の子が、領地の協議の場で、数十年の経験を積んで初めて練り上げられるような成熟した統治の構想を提示できるだろうか。
「それにあの『ラハール麦』も。」
母は落ち着いた声で続けた。
「あの穀物は、イオエーシァ大陸全体でもほとんど流通していない。南のラハール領地でしかわずかしか栽培されていないのに、私たちは西北に住んでいるのです。普通の手段でそれを知ることは不可能でしょう。ですが、あなたは当時、とても具体的に説明されました——形はどうで、食感はどうで、どんな土壌に合っていて、どう加工するか、と。」
「……」
何か言いたかったが、喉の奥が詰まった。
あれは米だった。
もう一つの世界では、それは人々が毎日食べるもので、何ら珍しくもない。
空気と同じように当たり前のもの。
だが、この世界で、その栽培の特徴と食用方法を正確に言い表せること自体が、あまりに明白な綻びなのだ。
「まさか……それなりに隠せていると思っていたのですが……」
ユーナの手が横から軽く伸びてきて、私の頭の上に落ちた。
あの馴染みのある、軽い力加減が、私の肩の力をいくらか抜かせてくれた。
父は片手で頬杖をつき、眼差しには私にはうまく言えない穏やかな好奇心を浮かべていた。
「では、前世ではどんな人間だったのだ?」
「それは……」
私はうつむいた。
声が無意識に軽くなった。
「三十歳の男でした。」
最後の数文字を口にしたとき、自分でも声が聞き取れないほど小さくなったのではないかと思った。
言い終えてから、しばらく黙った。
それから顔を上げ、二人の顔を見た。
父はしばらく考え込み、すぐには口を開かなかった。
母の表情が揺れた。
それから彼女は眼差しをユーナに向けた。
「ユーナ、あなたはこのことを知っていますか?」
ユーナは軽く肯いた。
ピンクの髪が動作に合わせて垂れてきた。
「奥様、実は私も転生者です。私たちは前世で……とても親しい友人でした。」
部屋の空気がしばらく静かだった。
炉の中の火は止まらない。
炭がぱちぱちと鳴り、オレンジ色の光を四面の壁に揺らし、細かい影を揺らめかせていた。
私はそこに立ったまま、脳内で長く張り続けていたあの弦が、この静寂の中で、理由もなく突如切れたのを感じ取った。
あの考えが喉の奥から飛び出す前に、私はこんな形で表れるなんて予想だにしていなかった。
「まさか……あなたたちは……嫌がらないのですか?」
声は自分が思っているよりもずっと小さかったが、自分の口から出ているのが聞こえた。
「男の魂が……御娘の体の中にあって、ずっと……ずっと欺いていたのに……」
いつ膝が崩れたのか、自分でもわからなかった。
石畳の冷たさが床から伝わってきて、スカートの生地を通り抜けて、とても現実的な冷たさだった。
額を床につけたとき、目の前の絨毯の房が指の下に押し潰された。
わざと摑もうとしたわけではなかったが、指が脳より先に考えて、無意識に何本か摑み取っていた。
力を込めると、糸が張り詰めて、二本切れた。
痛くはなかったが、その細い断裂音が聞こえた。
「五歳のときから……」
声が少し震えていた。
「あなたたちが『小さなクローディア』と呼ぶたびに……その名前が盗んだものだと思っていました……」
それは本当だった。
五歳の年、意識がこの体の中で初めて覚醒したとき、最初に感じたのは慌てではなく、呆然としていたことだった。
何が起きたのかまるでわからず、抱き上げられた。
誰かが「小さなクローディア、小さなクローディア、ようやく目が覚めたのね」と呼んでいた。
その声はせわしなく、軽い調子だった。
私は顔を上げ、泣き腫らした顔を見た。
それが父の顔だった。
あの日から、ずっと考え続けていた——元のクローディアはどこにいるのか、と。
彼女はどこかへ行ってしまったのか。
私が来たせいで、彼女は消えてしまったのか。
その問いを脳内に押し込めたまま十三年が過ぎた。
誰にも尋ねることができず、確かめようもなく、ただ押し込めたままでいた。
それが次第に鈍い、言葉にできない重さになり、あの名前と結びついて、呼ばれるたびに沈み込むようになった。
「ですから……」
目尻のものがもう支えきれなかった。
堪えようとはしなかった。
「殺そうが、何をしようが、お望み通りに。」
部屋の中が一、二秒、静かだった。
それから父の声が響いた。
その口調には本物の当惑が混じっていた。
演じたものではない。
あなたはとんでもないことを言ったな」という種類の当惑だった。
「……え?いや、娘よ、なぜ私たちがお前を殺さなければならないのだ?」
私は顔を上げなかった。
母の動く音が前方から伝わってきた。
長衣が石畳の上を歩く音、そしてラベンダーの香り——彼女がずっと使っているあの香り。
私は十三年間、それを毎日のように嗅いでいた。
目を閉じていてもわかる。
彼女は私の前にひざまずき、すぐには口を開かず、まずハンカチーフを取り出して、私の顎の下から持ち上げるようにして、顔を拭き始めた。
「バカな子。」
彼女の声は私が予期したよりもずっと穏やかだった。
「私たちが知らないと思っているの?」
「ですが……元のクローディアが……」
喉がざらついて、その言葉は半分で止まった。
「私のせいで……」
「もう一度、よく考えてみて。」
彼女がそう言ったとき、手のひらから柔らかな力が滲み込んできた。
それは母の魔法だった。
私がとても小さかった頃、寝かしつけるときに使ってくれたことのある、鎮静系の魔法。
脳の中の何かの門の脇に手を置いて、そっと押すような、そういう魔法。
記憶が動き出した。
幻でも映像でもない。
この体に本当に存在していた、この体自身の記憶が、一段一段と浮かび上がってくる。
水の中に沈んだものが、ゆっくりと引き上げられてくるような感じで。
三歳。
高熱。
私は母の手を摑りしめていた。
彼女は一晩中、私の脇で座り続け、濡れ布で額を拭いてくれた。
私は半睡半醒の間、ずっと「行かないで」と呟いていた。
置いていかれることへの恐怖は本物だった。
骨の髄から生えてくるような、そういう恐怖。
借りてきたものでも、外から来たものでもない。
六歳。
初めて一人で図書館に入った。
あの本棚の前に立ち、天井まで届く本を見上げて、ずっと呆然としていた。
それから梯子に登り、手が届いた最初の一冊を引き抜き、開いて、読める文字は多くなかったが、それでも一文字一文字を追って読んだ。
父が入ってきたとき、私は顔も上げなかった。
彼は梯子の下でしばらく立ち止まり、私を降りるようには促さず、ただ脇から椅子を一本持ってきて、座り、別の本を手に取って、私に付き合ってくれた。
九歳。
初めて父と一緒に領地の小作農のもとを訪ねた。
丸一日歩き通し、戻ったときには靴底に穴が開き、両足が攣るほど痛くて、歩くのもやっとのことだった。
だが私は何も言わず、歯を食いしばって最後まで付き合った。
馬車に乗り込んでから、父はようやく私の靴を見つけ、黙って外套を脱いで私に羽織らせてくれた。
「今日はよく頑張ったな」と一言言った。
これらの記憶は、私がでっち上げたものではない。
後から作り上げたものでもない。
それらはずっとそこにあった。
この体の最も深い場所に。
ただ何かによって押し込められていただけで、私はそれらが私自身のものだと気づいていなかった。
私は五歳でこの世界に来たわけではない。
最初から、クローディア・フォン・エリクソンとして、ここに生まれていたのだ。
炉の火がまたぱちりと鳴った。
私は床に座り込んだまま、顔を上げて母を見た。
彼女の目元には涙が浮かんでいたが、その瞳の中にあったのは悲しみではなく、長く抱えていた何かがようやく解けたという、安堵に近い輝きだった。
父も立ち上がり、私の脇に膝をついた。
大きな手が私の頭の上に乗り、軽く撫でてくれた。
「お前は、ずっと一人で抱えていたんだな。」
私は返事ができなかった。
ただ、目の奥から何かが溢れ出して、止まらなかった。
ユーナが後ろから膝を進めてきて、私の肩にそっと頭を預けた。
何も言わなかった。
ただそこにいてくれるだけで、それがどれほど救いになったか。
「母上」
私はようやく声を絞り出した。
「ずっと……ずっと、申し訳ないと思っていました。嘘をついて、騙して……」
母はゆっくりと首を横に振った。
「あなたは何も騙していないわ。」
彼女の声は、炉の火の温もりのように、私の冷たくなっていた何かを少しずつ溶かしていった。
「あなたは、私たちの娘よ。五歳のあの日以降ずっと、これからもずっと。」
炉の火が揺れた。
私はそのとき、ようやく気づいた。
私が「盗んだ」と思っていたあの名前は、最初から私のものだったのだ。
脳内で張り詰めていた弦が切れたあとに、代わりに何かが満ちてきた。
それは言葉にするのは難しいが、こみ上げてくる温かいものだった。
私は床に座り込んだまま、声を押し殺して、泣いた。
十三年分の、溜まっていた何かが、この部屋の橙の光の中で、ゆっくりと解けていった。




