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11. 出会いの運命、残酷な差別

 私の身売りで得た金貨一枚。


 ……これじゃ、正式な葬式なんてできない。


 この世界じゃ、何もできない金額だ。


 手の中で、金貨が静かに輝いている。


 まるで私の無力さを嘲笑っているようにも見えた。


 安すぎる。


 あまりにも安すぎて、笑ってしまう。


 金貨一枚。


 この世界じゃ、何もできない金額だ。


 私の心が締め付けられた。


 経費を節約するため、廃材を継ぎ接ぎした粗末な棺を買った。


 板の隙間から、地面の土が見える。


 そんな棺桶だった。


 貧民窟で、ガリガリに痩せた子供たちを雇った。


 服はボロボロ、目は飢えと困惑で曇っている。


 彼らが安いから頼んだということもあるけれど——私と同じ貧民窟の子に、まともな仕事なんてないことも分かっているからだ。


 一人に銀貨一枚払った。


 彼らは幼い手で、婆婆の棺を担いだ。


 教会の裏の空き地へ。


 雑草が生い茂り、土は柔らかくて、雨が降ればすぐに崩れそうな場所。


 ……でも、ここしかない。


 その粗末な墓を見ていた。


 ……婆婆。


 よい旅を。


 墓石は、ただの無骨な石。


 道端で拾ったような、粗雑な石切れ。


 婆婆の名前が刻まれているけれど——字は歪んでいて、間違えた単語さえある。


 私の無力さと悲痛さが、そこに刻まれているようだった。


 石に手を触れた。


 婆婆の生前の温もりと慈愛が、まだ残っている気がした。


「婆婆、安心して」


 小さく言った。


「私、ちゃんと生きます。婆婆を失望させないから」


 残った金を全部、教会に寄付した。


 新しく赴任してきた神官は、四十代くらいの男性だった。


 私を見て、目に憐憫の色が浮かんだ。


「子供よ。あなたの真心は、神様が見ています」


 彼は私の肩を軽く叩いた。


「残念だが、私はあなたの肉体の自由を救えません。でも——私の余生、あなたの自由と幸福を祈り続けましょう」


 彼は自分の言葉がいかに無力か、分かっていた。


 教会の財政じゃ、私を助けることはできない。


 だから、そう言うしかなかった。


 一日休んで、私は奴隷商人の店へ戻った。


 商人が私を見た。


 口元に冷笑が浮かんだ。


「やっぱり貧民窟か。この体、この顔——これくらいしかない」


 唇を噛んだ。


 屈辱を飲み込んで、頷いた。


 ……そう、これが現実だ。


 奴隷契約。


 私はもう、人間じゃない。


 商品だ。


 商品は、主人に反論しない。


 この街には、私たちを買う奴隷商人がいなかった。


 私と他の十数人の奴隷たちは、鉄の檻がついた馬車に積み込まれた。


 古い馬車。


 車輪が「ギシギシ」と異音を立てていて、いつ壊れるか分からない。


 檻の中は狭い。


 座る場所さえない。


 揺れる馬車の中で、立っているしかなかった。


 目的地へ向かうまで、ずっとそうだった。


 馬車は激しく揺れた。


 毎回の揺れが、私の魂を叩くようだった。


 苦しい。


 絶望だ。


 同乗していた奴隷たち。


 大人もいれば、子供もいた。


 大人たちは重苦しい顔をして、目は無力で麻痺している。


 子供たちは寄り添って震えていて、目は恐怖と不安で満たされていた。


 お互いに言葉を交わさず、ただ黙って耐えていた。


 夜になると、馬車は道端に停まって野営した。


 奴隷たちにも、食事が配られた。


 黒パン、一枚だけ。


 それしかない。


 パンは石のように硬い。


 表面には亀裂が入っていて、どこをどう食べればいいのか分からない。


 歯の弱い奴隷や、お年寄りの奴隷は、噛むことさえできないかもしれない。


 口に入れた。


 ……硬い。


 歯が折れそうだ。


 痛みに眉をひそめた。


 教会で食べていたパンも硬かったけれど——この黒パンに出会って、あの頃がいかに幸せだったか、分かった。


 あの頃のパンは硬かったけれど、婆婆が煮た麦のお粥に入れれば柔らかくなった。


 美味しくなった。


 ……そう思うと、豆粒のような涙が落ちた。


 硬い黒パンを見て、胸が締め付けられた。


 ……なんで。


 私は何も悪いことをしていない。


 なんで、こんなに残酷な目に遭うんだ。


 なんで、私たちはこんなに苦しく生きなきゃいけないんだ。


 横にいた三十代くらいの男性が、私の無力な表情を見た。


 何も言わなかった。


 ただ、その大きな手で、私の頭を優しく撫でた。


 手は粗かった。


 でも温かかった。


 ……力が、そこにあった気がした。


「子供よ」


 彼は小さく言った。


「悲しまないで。きっと良くなる。これ以上は悪くならないだろ?」


 彼を見て、胸が熱くなった。


 ……こんな状況で、たった一言の慰め。


 でも、世界にはまだ人と人の関心と温かさが残っているんだと知った。


 どれくらい時間が経っただろう。


 馬車は、目的地に到着した。


 アムニト市。


 高い城壁。


 賑やかな街。


 すべてが異質に見えた。


 未知と畏怖の念が湧いた。


 入城の列は長かった。


 商人の隊列だから、優先通行路は使えない。


 ゆっくりと進む列。


 終わりが見えない。


 ようやく私たちの番になった時——


 一方、優先通行路から馬車が入ってきた。


 家紋のついた幌の馬車。


 豪華で、威圧的。


 車輪が回り、土煙を上げていく。


 前の衛兵が、馬車内部を確認するために幌を開けた。


 中に、極めて可愛い少女がいた。


 見た目は、私と同じくらいの年齢。


 でも、気質はまるで違った。


 長い白い髪。


 衛兵の松明の光で、金色に輝いていた。


 滝のように肩に垂れ落ちていて、格別に柔らかい雰囲気。


 淡い緑色のワンピース。


 シンプルだけど、色が染められた服——つまり、裕福な家庭の子女。


 幌に家紋が印されているのを見れば、貴族の令嬢だと分かる。


 彼女は膝の上に手を置いていた。


 目は天真爛漫で好奇心に輝いていた。


 私たち奴隷を見た。


 憐憫も、差別もない。


 ただ——純粋な驚きだけ。


 彼女を見ていて、胸がいっぱいになった。


 ……なんで。


 なんで、彼女はこんなに運命に恵まれているんだ。


 不自由のない貴族に生まれて。


 私たちは——こんなに惨めに、こんなに尊厳なく生きている。


 …… 不公平だ。


 神様は言った。


「私は皆を平等に愛する」


 ……嘘だ。


「私の血はぶどう酒になり、私の肉はパンになり、信徒たちに与える」


 ……全部、嘘だ。


 私と婆婆は、懸命に祈った。


 でも、私たちはこうなった。


 全知全能の神。


 世の人々を憐れむ神。


 でも——私たち一車の奴隷の苦難は、見て見ぬふりをしている。


 違う。


 神様なんていない。


 私たちの苦難を楽しむだけの悪魔だ。


 彼女を見ていて、怒りが湧いてきた。


 ……なんで彼女は幸せで、私たちはこんなに苦しいんだ。


 復讐したい。


 婆婆を殺した殺人者たちを。


 奴隷を人間扱いしない商人たちを。


 目の前のこの何不自由なく育った令嬢を。


 あの空の神も——全部、殺してやりたいと思った。


 ……でも。


 首の冷たい鉄鎖が、私を現実に引き戻した。


 今の私は、ただの奴隷だ。


 本当に、そんなことができるのか?


 ……無理だ。


 そんな非現実的な夢を思って、自分を笑ってしまった。


 笑いは苦くて、無力さと絶望を訴えているようだった。


 小さな檻に入れられた。


 服を剥がされ、体の前面を隠す麻布を一枚だけ渡された。


 恥を隠すための、ただの粗末な麻布。


 肌に当たって、痒い。


 不快だ。


 檻を見ていた。


 ……これが、私の新しい生活か。


 これが、私の未来か。


 若い男が、私を押して大きな部屋に入れた。


 教会の聖堂くらいの広さ。


 部屋の内装は極めて豪華。


 壁には精緻な壁画、神話の物語が描かれている。


 地面には柔らかい絨毯。


 家具は貴重な木材で作られ、精巧な彫刻が施されている。


 ……これらが何で作られているか、分からない。


 でも一目で分かる。


 私の金貨一枚じゃ、買えないこと。


 正式に——


 正面の椅子に、馬車で見たあの少女が座っていた。


 白金の長い髪。


 青い目。


 彼女は私を見ていた。


 好奇心と、友好的な眼差し。


 ……温かい気がした。


 彼女を見つめて、胸がいっぱいになった。


 ……運命の出会い。


 あの少女——


 クローディアお嬢様。


 私の新しいご主人様。

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