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省略、割愛って言葉は世界遺産だね
……数分後。
散々教室を探し回った挙句、七海は魔緒を見つけられなかった。
「ったく、何でいないのよ?」
七海は悪態吐きながら教室を出て行った。
「せぇーふ」
ほっと一安心の仁奈。
「にしてもまおちん、どこ行ったんだろう?」
というか、知らないのか……。
「呼んだか?」
「あ、まおちん」
と思ったら戻ってきた。
「なるほど、清田の奴が来たのか」
「何で知ってるの?」
「時間省略だ」
「省略?」
「こっちの話だ」
魔緒ははぐらかす。
「てかお前ら、何でそんなに仲悪いんだ?」
「別に、悪いって訳じゃないんだけど」
「そうか」
魔緒は頷くと、溜息を吐いた。
「喧嘩するほど仲がいい、って奴か」
「うぅ~」
唸る仁奈。その表現が気に食わないのだろうか。
「ま、程々にな」
仁奈は何か言いたげだったが、彼女が口を開く前にチャイムが鳴る。
昼休みが終わった。




