登場人物
リュージーン・ヒルクライハー=ロラン
本名は黒川大吾。西暦1990年生まれで2014年に医学部を卒業した消化器外科医だが、2023年に交通事故に遭って他界した(享年33歳)。しかし、彼の魂は次元を超えて、異世界の砂漠の帝国に新たな生を受けた。そして焼け爛れた村の瓦礫の中で目を醒ましたところを、ハッサンに拾われた。その後は彼の養子として育てられる。17歳になった時、ハッサンの事故をきっかけに外科医として再び目覚め、ハッサンに転生者であることを明かし、様々な人々の協力を得て、医師としての名声を高めていく。リュージーンとしての体は東方の騎馬民族の血縁であるため、ハッサンとは似てないと言われる。
ハッサン・グリムール=ロラン
主人公の養父。46歳の元軍医。整えられた顎髭が特徴のナイスミドル。穏やかな性格で地方都市ラマーファの郊外に暮らす街医者。だが本当は医学学校教授にも推挙されていたほどの偉大な外科医。軍医として従軍した東方騎馬民族の侵入事件で、戦災孤児であったリュージーンと出会い、以後養父として彼を育て、リューは彼を通じてこの世界の医療について知る。リュージーンにとって最初の患者となるが、それをきっかけにして、彼が前世の記憶を持っていることを知った。妻がいたが、29歳時に胃腸炎が原因で先立たれている。
ワルート・ゲルト=ラムジー
ラマーファに暮らす鍛冶屋。55歳。ハッサンとは旧知の仲。リュージーンは新たな外科道具を拵えるため、かつてハッサンの外科道具を作ったことがある彼を訪ねたが、ばね指を患い仕事ができなくなっていた。ばね指を治療したことで、外科道具屋としての仕事を引き受ける。
カナン・フォーエルツェラール=ラムジー
鍛冶屋ワルートの娘。17歳。父のばね指を瞬く間に治したリューに興味を抱き、さらに同い年でありながら、有能な知識人であるリューに羨望と似た感情も持つ。その後は看護師としてリューに同行する機会が多く、後にリューにとって最大の理解者となる。
シャナ・レン=ラーズィータイラー
ハッサンからは天才とも称されるラマーファ市街に暮らす薬師。28歳の女性。この世界には珍しいメガネを着用している。リューはエーテルの生成に必要な硫酸を得るため、彼女に接触した。シャナは全身麻酔に興味を持ち、協力を約束したが、その最中に虫垂炎に倒れ、自らがこの世界の全身麻酔第1号となる羽目になった。その後、エーテル麻酔の有効性に感銘を受け、以降はリューに全面協力するようになる。
国立医学学校篇
アブアール・アブルカシス=サフラヴィー
国立医学学校外科学教室の教授。45歳。15年前、追放された先代教授に代わり、急遽外科の教授になった。後釜と目されていたハッサンが、先代教授の処分に反発して首都を去ってしまったため、半ば棚ぼた的に教授となる。15年前の一件が尾を引き、外科学教室の立場はまだ不安定であるため、ハッサンが再び首都を訪れた時、最初は一件の処理を自分に押し付けた彼に怒声を浴びせたが、後に協力する。
カルヴァン・ヴェンセマ=イテハド
国立医学学校外科学教室の准教授。40歳。外科学教室にとってエーテル麻酔の2例目、かつ初の全身麻酔下開腹手術症例となったフサイニーを連れて来た。
ナスール・リン=サラー
国立医学学校外科学教室に属する外科医。27歳。リューを除けば教室内で最年少である。エーテル麻酔に感銘を受け、医学学校に来たばかりのリューの案内役となった。
サルミーン・ファラック=アヴドゥルファーミー
政府中枢の軍務機関に勤める貴族出身の武官。36歳。右肩の巨大脂肪腫に悩まされていた。外科学教室にとってエーテル麻酔の記念すべき1例目の患者となった。
フサイニー・フバイル=アルファティ
政府中枢の法務局に勤務する官僚。48歳。直腸脱に悩まされていたが、手術を受けて改善する。
アイーシャ・オシリス=イドリースィー
国立医学学校医学科の1年生。18歳。その代で2人しかいない女学生の1人である。彼女の出身であるイドリースィー家は外戚の一族で、皇妃シェエラザードとは15歳差の叔母・姪同士。生家を嫌っており、一族中の反対を押し切って医師になる道を選んだ。誰も知らない医学を身につけているリューに強い興味を抱く。
シェエラザード・アメンホテプ=イドリースィー
皇妃。33歳。聡明かつ美青年とも見紛う凛々しい見た目をしている美女。15年前(18歳時)に念願の皇子を帝王切開で出産した。皇子は無事に産まれたが、子宮を失った上に腹壁瘢痕ヘルニアを発症し、“カエルの様に醜い”腹となったことで、皇帝からの関心を失ってしまう。
オマール・アヌビス=イドリースィー
イドリースィー家当主。65歳。シェエラザードから見ると叔父に当たる。南方諸国との船舶貿易を元手に、弱小貴族であったイドリースィー家を外戚の一族にまで押し上げた有能な男。その反面、一族の女性のことは政争の道具としか見ていない非情さも持ち合わせている。
波の国篇
カムラード・セイシュウ=アラファート
56歳。15年前に当時18歳だった皇妃シェエラザードの帝王切開を行い、国を追放された先代の外科学教室教授。追放された後は波の国「ラーマヤナ王国」の首都マジャレバンで医者をしていた。ハッサンとアブアールの師匠。リュージーンの医学知識がこの世のものではないと瞬時に見抜いた。彼の医療技術に心酔し、同時にその技術がリュージーン自身に災いをもたらさないか危惧している。




