第 4話:ビクトリーレンジャーの秘密!?
「え……?」
最初に異変に気づいたのは、ブルーだった。
デデマンが。笑っていたのだ。
いつものみたいな、バカみたいな突撃じゃない。
見ている。こっちを観察するみたいに。
その瞬間。イエローが飛び出した。
「たぁぁぁぁぁっ!!」
ドゴォッ!!タックル直撃。
普通なら、そこで終わるはずなのに。
「なっ……!?」
逆だった。
吹き飛ばされたのは、イエローの方だった。
地面を何度も転がる。アスファルトに火花が散る。
「う、そだろ……ただのデデマンだぞ……!?」
レッドの背中に、冷たい汗が流れた。
その時だった。 デデマンの一体が。
ぽつりと言った。
「次は、右から来る」
ビクトリーピンクの動きが。完全に読まれた。
――え、それヤバくない?
戦闘員デデマンにビクトリーレンジャーの戦い方を、全部読まれてる。
それはつまり。いつもの技が。もう通じないってことだった。
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深海。巨大要塞デフィトパレス。
暗い会議室の中央で、ミスーネが顔をしかめていた。
「納得いかないわ」
長い脚を組み直す。
「怪人なし? 本気?」
玉座の奥闇の中で、ヘリンフェルがゆっくり目を開く。
赤い瞳。それだけで空気が重くなる。
「怪人は不要だ」
低い声だった。でも。室内の全員が黙る。
「必要なのは、観察」
オメガメアがうなずく。
「ビクトリーレンジャーの戦い方を読む……ということですか」
「そうだ」
ヘリンフェルは静かに言った。
「小娘どもは、“型”で戦う」
ハンマンリキが鼻で笑う。
「型ぁ?」
「剣。水。力。速さ。跳躍」
ヘリンフェルの声が続く。
「同じ動き。似た連携。必ず癖がある」
ミスーネの顔色が変わった。
「……だから、怪人じゃなくデデマン?」
「数で囲め」
ヘリンフェルが笑う。
「学習させろ」
その瞬間。ミスーネの口元も、ゆっくり歪んだ。
「あぁ……なるほど」
わかった。今回の作戦。
これは力押しじゃない。
ゲームを攻略するみたいに。
ヒーローを分析して、倒す。
嫌な作戦だった。でも、効く。すごく効く。
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「えいっ!!」
かおるの竹刀が空気を裂く。バシィッ!!
汗が飛ぶ。その横では、かれんが逆流プールを泳いでいた。
「はぁっ……!」
流れが強い。でも止まらない。
あすははサンドバッグへ突進。
ゴォン!!金具ごと曲がった。
「っしゃあ!!」
ちさとは何度もスタートダッシュ。
はるこはリボンを使って回転技。
五人とも。前より強くなっていた。
ヘリンフェル戦。
あの敗北が。みんなを変えていた。
立花博士が小さく笑う。
「いい顔になってきたわね」
その時だった。にけが叫ぶ。
「敵影反応!!」
利奈も続く。
「市街地南部! デデマン多数!!」
かおるが振り向く。
「幹部は?」
「……いません」
一瞬。空気が止まった。
博士が眉をひそめる。
「変ね……」
でも。考える暇はない。
「勝利戦隊ビクトリーレンジャー、出動!!」
「はい!!」
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現場。
デデマンしかいない。本当に。
それだけだった。
イエローが鼻で笑う。
「なんだよ。楽勝じゃん」
でも。ブルーだけは違った。
「待って」
その声より早く。イエローが突っ込んでいた。
「たぁぁぁぁぁっ!!」
ドォッ!!タックル。 直撃――のはずだった。
「ぐっ!?」
吹き飛ばされた。
「えっ!?」
レッドの顔色が変わる。
デデマンが。強い。
いや。それだけじゃない。
「次、左」
デデマンが言った。その瞬間。
ホワイトの動きを先読みした攻撃が飛ぶ。
「うそっ!?」
さらに。ピンクの回転軌道。
レッドの剣筋。全部。読まれている。
「なんなのよ、こいつら……!」
ピンクの声が震える。
デデマンたちは笑わない。
黙って。正確にレンジャーたちを追い詰めていく。
怖かった。怪人よりずっと。
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レッドの剣が止められる。
ブルーの水流が避けられる。
イエローの投げ技が返される。
ホワイトのスピードに対応される。
ピンクの空中軌道を潰される。
全部。全部だ。
「くっ……!!」
レッドが歯を食いしばる。こんなの初めてだった。
強い敵はいた。怖い敵もいた。
でも。“理解される恐怖”は違う。戦い方を知られてる。
クセを知られてる。自分の全部を覗かれてるみたいで気持ち悪い。
デデマンの一体が、レッドへ近づく。
「次は突き」
ギィン!!読まれた。
完全に。レッドの剣が弾かれる。
「かおる!!」
ブルーが叫ぶ。でも。
そのブルーも、水流の罠へ落とされた。
「きゃっ……!」
水の動きまで利用される。イエローが立ち上がる。
「ふざけんなぁぁ!!」
怒りのラッシュ。でも読まれている。
投げられる。叩きつけられる何度も何度も。
ホワイトの呼吸が乱れる。
ピンクの着地が狙われる。完全に狩られていた。
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「……下がるわ」
レッドが言った。悔しかった。
でも。ここで全滅する方がまずい。
「撤退!!」
五人は飛び退く。その背中を。
デデマンは追ってこなかった。
ただ。じっと見ていた。
まるで。次も勝てると確信してるみたいに。
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戻ってきた五人は、ボロボロだった。
身体より心が。 あすはが壁を殴る。
「なんなんだよあれ!!」
かれんが座り込む。
「デデマンに負けるなんて……」
はるこも悔しそうだった。
「動き全部読まれた……」
博士は静かに言った。
「分析されてるのよ」
五人が顔を上げる。
「あなたたちの戦闘データが、全部」
空気が凍る。
「じゃあ……」
レッドがつぶやく。
「今までの戦い全部、見られてたってこと?」
博士はうなずいた。
「たぶんね」
沈黙。その時だった。 あすはが立ち上がる。
「だったら」
みんなが見る。
「あたしたちが変わればいい」
かおるが顔を上げた。
「え?」
「読まれるなら、読めねぇ動きすりゃいいだろ!」
乱暴な言い方だった。
でも。 それが。 みんなの目を変えた。
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次の日。特訓が始まった。
でも。今までと違う。
かおるは剣道を捨てた。
フェンシングだけでもない。
両方を混ぜる。
リズムを崩す。
かれんは泳ぎながら笑った。
「じゃあ私も、計算しない」
今までの彼女は頭で戦っていた。 でも今回は違う。
感覚で動く。
あすははレスリングにダンスを混ぜた。
「変な感じする!」
「それでいいの!」
ちさとはわざとテンポを崩す。
はるこは空中回転を途中で止める。
読ませない。予測させない。
博士が笑った。
「やっと“戦い”になってきたわね」
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デデマン軍団再び出現。
レッドが前へ出る。
「今度は、こっちの番よ」
戦闘開始。デデマンが読む。
でも。読めない。
「えっ?」
初めて。デデマン側が止まった。
イエローが笑う。
「引っかかったな!!」
変則タックル。 命中。
ホワイトが不規則なステップ。
ピンクが空中で軌道変更。
ブルーが水流を逆利用。
レッドの剣が走る。
読めない。だから。当たる。
「今よ!!」
五人が並ぶ。
「レッド!!」
「ブルー!!」
「イエロー!!」
「ホワイト!!」
「ピンク!!」
「ビクトリーシュート!!!!」
五色の光。直撃。
デデマン軍団、大爆発。
静寂。そして。歓声。
「やったぁぁぁ!!」
イエローが飛び跳ねる。
ブルーが座り込む。
「つ、疲れた……」
レッドは空を見上げた。
勝った。でも。
これは終わりじゃない。たぶん。
敵はまた来る。もっと怖い形で。
その時。ビル屋上。
黒い影が五人を見ていた。ヘリンフェル。
「成長したか」
その赤い目が細くなる。
「ならば次は、心を壊す」
闇が消えた。
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研究所。
五人は食堂でぐったりしていた。
かれんだけは違う。
「生食パンおかわりー!」
「食べすぎ!!」
全員ツッコミ。笑い声が響く。
でも。博士だけは笑っていなかった。
モニターを見ている。
そこには。希光学園の制服姿の五人。
隠し撮りみたいな画像。博士の顔が険しくなる。
「まさか……」
敵は。もう。
すぐ近くまで来ていた。
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## <つづく>
次回予告
硬鉄の怪人アルマジロデスペが希光市を襲撃し、ビクトリーレンジャーは出撃する。
戦いのさなか、ビクトリーレッドのレッドブレードが敵の装甲のまえに折れてしまう!
武器を失い、心まで折れかけるレッド。
彼女は困難を乗り越え、真のリーダーとしての強さを取り戻せるのか?
レッドを欠いた4人はいつもの精彩を欠き大ピンチ!
絶対絶命、心の試練。 ビクトリーレッドの運命は? 勝利の赤は、絶望の淵から蘇るか?
次回 第5回 「燃ゆる魂、レッドの挑戦!」をみんなで見よう。




