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未知との遭遇

追いつきました。

新しいエピソードです。


「あー腹減った。へった、へった、へーった!」

 日が真上に上がり気温が高くなった頃、整備が終わり暇を持て余したアルヒトの腹が限界に達したようだ。

 「確かになんも食べてないね。それじゃあもうお開きだよ!」

 隣からの質問攻めに魂が飛んでいるとミレイユが穏便に子供達を帰路につかせていた。

 「っしゃ!引きこもり真・予備隊員も市場行くぞ!海鮮喰って騒ぐぞー!」

 「アエー」

 急にやる気を出したアルヒトがミレイユの腕を引っ張り、おいてって欲しくて逃げようとした俺の襟首を

 ミレイユが掴んで引きずってくる。


 宿から徒歩5分。

 商店街を訪れていた。

 「うわぁーーーでっか。」

 中央を囲うように建てられている全体的に白で統一された町並みに通路は色とりどりの貝殻が敷き

 詰められた光景に圧倒されながら歩いていく。

 目をキラキラさせているアルヒトがうるさく、酒豪のミレイユが地酒を探し視線を動かす。

 海を選択するのはある意味博打だからか、安定をとった地出身には珍しいものしかない。

 それに食べるときには大事な節目が多いため酔いつぶれ意識を飛ばしているやつらの食べ残しを奪うしか

 なかったため原型を見ること自体が初めてだ。

 あんなにも陸上の動物とは違う特異点満載のものを、怖がりな奴らはよく食べれたものだ。

 ブランディングの勝利と言ったところか。

 「へい!そこのでかい兄ちゃん!今日取れたぴっちぴちの白鮭はどうだい!」

 他よりも少し規模が大きい魚屋の店主が声をかけてくれたため、寄ってみることにした。

 「あ、う、あ、うぁ…………」

 「兄ちゃんその魚どんな味?」

 だがよりにもよって実は人見知りのミレイユにセールストークをし始めたので慌ててアルヒトが間に入る。

 「んーだなー、うい!臭みがなく味もしつこくないから食べやすく、脂がのっててしっとり!

  繊維が繊細でばらつきにくくて噛めばほろほろ崩れる!」

 (ほー、とても美味そうだがいかんせん未知の食材。

 ただこの領では一般的で、食べ慣れたものを探す方が難しいだろう。

 聞いといた方がいいか…………)

 「ふむー、初心者はどんなふうに調理したらいいでしょうか?

  例えば味が強いものを挟んで焼くとか。」

 「はじめはなそれでいい!慣れてきたらそのまま生で行ってほしいなぁ!うい!この綺麗な夕日のような

 身にさぁーと海の塩を振ってだな、一気に数枚を口に投げ酒で流し込む。かーー!生きがいだぁ。

  まぁはじめは名産の辛辣梅を漬けた奴と食べるのがおすすめだな!」

 基本オーバーなリアクションだが酒の話に入ると少し頬を赤らめ空を見上げる。

 好きなんだろう。

 「では適当に魚8つ見繕ってください。それと辛辣梅はどこで買えますか?」

 「あいよ!じゃあ、嬢ちゃんに一匹サービスね。

  入るとき門で貝殻貰わなかったか。

  水晶に「才能」流してもらっただろ?

  辛辣梅は市場にはなくてな、ちいとめんどいが少し行った先の坂を上って少しすると販売所があるよ!」

  販売所があると来た道とは逆の方向を指す。

  いくにしても会計をしないとなんだがレートが分からない。

 「どれをどれくらい払えばいいでしょうか?」

 とりあえず価値の違いそうな貝殻を数枚手のひらに乗せ見せる。

 「ん?レート知らないのかい。二枚貝と巻貝あるでしょ。一番低いのが二枚貝の2センチ以下。

  それ以上がその次で同じ感じで巻貝も続くんだよ。

  色によって多少変わるがーまだきにせんでいい。

  今回は小さい巻貝3つとでかい二枚貝2つね!色が白っぽい奴だしな。……まいど!」

 商品のやり取りをしている間、何か聞きたいが声が出せずあせあせしている巨体の影が魚屋の店主と

 俺の前でぴょこぴょこ動いている。

 「あ、あの…………う、あ、あのぉ!酒ってどこでかえます……………………か!」

 「あーー!兄ちゃんいい声出るやん!酒ね!うい!ここから13番目の大きい建物で売っとるなぁ!

  沢山あるからそこで好みのもん探したらええわ!俺はダリアンっちゅー辛めの酒が好きだなぁ。」

 バシバシと背中を強くたたく手が暖かくて向けてくれる豪快な笑顔がとてつもなく嬉しい。

 「あ、ありがとうございます。」


 

 

 

 

 

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