甘美な報酬
3.起床
「「おはようございます姫様」」
「えぇ、変わってなくてよかったわぁ!前からどれくらいたったの?」
「約5か月にございます」
「まぁ……………………………」
我らが姫様は3歳のころ突然倒れられると長い眠りと短い起床を繰り返すようになった。
長いときで1年弱、短くても3か月は眠ったままで起きられても長くて4日たつとまた眠ってしまう。
領民には「束の間の喜び」と「大きな悲しみ」を与えないよう起きられたことは極密とされている。
そのため、お目にかかれるのは指揮官である私と執事のアゼロアさん、メイドの女の人の3人のみだ。
「姫様今回の贈り物は夜空を描いたブランケットにございます。素敵な流れ星がたくさん一斉に流れ綺麗
ですよ。今度共に実物を見に行きましょうね。」
「うん!約束ね!」
アゼロアさんは濡れたような漆黒の髪を肩のあたりでまとめ、瞳は吸い込まれそうな深い赤をしている。
スレンダーでありながら頼りがいのある体躯をしており、そばにいるだけで安心感を与えられる。
(落ち込んだ姫様をすぐ笑顔に戻してしまう………やはり支配人にふさわしすぎる。私は悲しませることし
かできないのに。)
「シキ、シキ!」
「あ、申し訳ございません!」
シキの顔が急に暗くなる。
「自分を責めないで。私が一番うれしいのは3人に会うことだよ。」
シキの柔らかな頬に手を添えると、明らかに顔の血色が戻り、下に向いていた視線が私の方に向く。
本当は暗い感情で血が出るほど握り震えるシキの青白い手を包み込みたかった。
ただ長い間寝ていた私には自分の足で立つことも、上半身を起こすこともできないの。
「えぇ、シキさんがいないと会うことすらできませんので。
あぁ!それにしても姫様!16歳にしてなんとも聡明で部下思い!わたくし、感激いたします!」
アゼロアさんが珍しく励ましの言葉をくれた後、姫様の成長に喜びクルクルと回り出した。
姫様は現在16歳。まともに言葉を習う時間がなかったはずですが4歳のころには会話をマスターされ、
どんどん可愛い姫様に似合う丁寧で甘い口調に変えられていった。
天才すぎます、わかります。
「シキ……嬉しさをかみしめてないでそろそろ出ますよ。身支度を始めれないでしょう。」
いつの間にか常識人の装いに戻っていたアゼロアさんに引きずられながら、手を振る姫様を脳に
焼き付けるため目を見開いていると頭上から手刀が下りてくる。
「うぐ、」
「シキさん、いい加減姫様に対してだけ変態的行動に出るのやめてもらえません?」
尋ねるように首を少し傾けるアゼロアさん、ご馳走様です。「いてっ」
「ところでアゼロアさん。現在の情勢まではいりませんが勉強などは始めなくていいのですか?」
「んー、難しいところですが…………まだ起床時間が未確定の今、世界を好きでいてほしいのです。」
「さすがです!」
4.黒い影
明るい地上から暗い地下へ
「んぐ、ぐ、んー。」
「元気だな。おれはー人間だ。主人から始末を任されている。」
謎の黒いローブの男は冷淡に言葉を吐き捨てる。
「今から君を殺す装置の説明……いるよな。まず薬品を打つ。まぁ気にするな。
これはまぁ、あらゆる痛みを直に与えてくるが瞬時に直すものだ。
もちろん傷も残らない……痛みだけだ。
要するにまぁ、脳の血管を破裂させて殺すということになるな。
そして……救う気はない。
まぁ、かわいそうだがー自分がかわいいんで。」




