52 暢気な大男
縁台にスズさんと私は重く座っていた。今なら大福の味も分かりそうだ。ふぅと息をついた。目の前の大きな影にも気づかずに。そしてさらっとスズさんはいなくなっていた。
「……ん、アリス?アリの観察でもしてんのか?アリいなさそうだけど?」
「……へ?」
カイトの声だ。え、え?スズさんがいない!?
「か、カイトっ!?」
「よっ。何か忘れてるなと思ったら、イチゴ大福だったわ。道端に咲いてた赤い花見て思い出した。何の花かはわかんなかったけど」
「花見て大福思い出すんだ……なかなかいないんじゃないそんな人」
「花より団子とはまさにこのこと(※違いますw)」
「っ……あはははっ!!」
「えっ、俺まだ変なこと言ってないよ?」
「まだって何よwこの後言うつもりだったの?」
「……いやぁ…………気を付けてたつもりだったんだけどなぁ」
やばい。嬉しすぎてどうにかなりそうだ。そしてマイペースすぎるこの男!たまに何言ってんのかわからない。スズさんはどこに行ったのかなぁ……。
(……うふふ、よかったねアリスさん……。)
「え!?空耳?何の声今の!?」
「鳥とか?」
「……鳥って日本語喋れなくない?」
「……確かに」
さっきまで私泣いてたんだよね?一瞬でなんかムード変わっちゃった……。この変な話はいつまで続くのだろうか。
「あっ、大福買いに来たんだったわ。イチゴ大福~」
カイトはお店の中に入っていく。スキップしているんだろうけど、なんかあたりが揺れているような気がしなくもない。
「買えたぁ~イチゴ」
「嬉しそうね、カイト。……そういえば、設計図は描けたの?」
「……いや。今日も鉛筆3本は失くした」
「うまくいかないと鉛筆失くすのね……」
「うん。なんでかな。焦ってるからなんかな、失くしものが増えた。そしてうまくいかねー……参った参った」
声はあっさりしているけど、彼なりに焦っているんだろうなきっと。私には何ができるのかな。逃げ込む場所はあっても結局完成しない限り、カイトは……。
「あれ?アリスじゃんか。それと……えっ誰?」
「……あっ、俺?」
「お前しかいないだろ」
「ミ、ミラっ!?それにトアちゃん!?」
「ゴキゲンヨウゴキゲンヨウ!!」
「ごきげんよう。なんか俺の手めっちゃ見てくるこの子。俺の手に興味あるん?」
「いや、多分君の手に握られているイチゴ大福だな」
「あーなんだ~俺の手自慢できると思ったのに~。俺の手でかいんだよ。ほら見て」
「オオキイ!」
「ちょっ!カイト馴染みすぎだよ!?ミラっち何しに来たの??」
「トアに大福と言うものを教えに来た。君、名前何て言うの?」
「カイトだ。カイト。」
「私は引導課に属する死神のミラだ。こっちは心が読めるアンドロイドのトア」
「ペコッ パチッ☆」
「なんか星出たな今。どうやったらそれできるんだ?教えてよトア」
「エット メヲコッチガワ コウヤッテ」
「パチッ★。あ、できた。星の色今違った気もするけど」
アリスが何やらうつむいている。顔赤いななんか。あーそういうことか。
「トア、大福買ってさっさと帰るよ~」
「ウン」
「イチゴ大福がおすすめだぞ。あ、でもさっき俺が全部買ったんだっけ」
今ここでまともなのはアリスぐらいだろう。頭から蒸気が出ているように見える。私達は抹茶大福を買った。トアは嬉しそうだ。
「オイシイ~」
トアの顔を見てカイトが笑いだす。
「だはは!トア餡子ついてるぞ!」
「カイトだって前ついてたじゃんか!!」
「そうだっけ?」
なんかあっさり気が合いそうなトアとカイト。カイトにトアを任せておき、私はアリスにいつも通りな口調で話しかけた。
「で、どういった馴れ初めだアリス。まさか抜け駆けかい?何で言わなかったんだ?」
「み、ミラっち~っ?そんなこと言ったらミラっちだって!!急に無断欠席がどうとか!お互い様でしょ!?」
「間違いねぇ。ミラーメトロの資料を作るにあたって、ツムギが文字とかじゃ限界があるって言い出して。設計図を用意するのが一番いいって話でさ。だから何か設計図のヒントになりそうなものを探して、ついさっきガラスペンの絵の個展に行ってきたってわけ。お土産ももらっちゃった。」
アリスは見た感じ、何故かテンパっている様子が少し見受けられた。何故だかわからないけれど。
「ふ、ふーん。そういうことだったのね。」
「で、カイトとはどういう関係だ?」
アリスにとってはスゴイいやらしい質問だろう。私って、小悪魔だ。
「え、えっとー……つい最近この彼岸屋で出会って……話して……すごく楽しくて。でね、彼もヨノアの社員でさ、船頭課の社員で、船の『設計』とかしているんだって。」
「……え?ちょ、ちょっと待て!!!せ、設計!?アリスなんでホントにそういうこと教えてくれなかった!?さっき言った通り私達は必死こいて設計図のこと考えてたんだぞ!?言えよ!?!ツムギについてはあいつ自爆してたぞ下手な絵描いたせいで!」
「ヘッブショイ!!!(←どっかの情報担当者のくしゃみ)」
「し、知ったこっちゃないわよ!?」
私は驚いた。あの男の人設計図書いてたんだ。見た目だけで言えばそんなことないだろうとか思ってしまった私が恥ずかしい。
「で、でも彼、最近歴史ある船が壊れたとかで、初めて1から設計図描くことになったらしいんだけど、うまく設計図が描けていないらしいのよ。おかげで最近は鉛筆を3本失くしたぐらいだし……」
「鉛筆3本のくだりはよくわかんないけど……なんだ設計の専門家がいたのか!これは都合が良すぎるな!!」
「み、ミラっち!?顔がゲスいよ!?」
これはもう行くしかない。あのカイトを私は手玉に……仲間にする気満々だった。
「パチッ˖✧……あれ、星になんなかった。キラキラが出た。むーむずいな、どうやったらいい感じの星が出るんだろうか」
「コウ! パチ☆ コウダヨ!」
「何が違うんだ?目の角度?」
「ワカンナイ」
私の興奮をよそに、ずっと目で遊んでいる天然2人であった。
ご覧いただきありがとうございます。スズですよ。質問コーナーをやるとのことでしたので,早速作者さんからの質問聞いてみましょうか。
Q、苦手なこととかありますか?
A、もちろんありますよ。運動はあまり得意ではありませんね,特にマット運動などの部類は苦手です。
こんな感じでよろしかったでしょうか?皆さんもぜひ後書きの部分も覗いてみてください。意外な一面が見られるかもしれません。それではまたお会いしましょう。よい一日を。




