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49 透明世界への再訪

 ついにこの日が来た。今日は個展の日だ。この個展の日備えて、日々引導を少し多めにしておいたのだ。おかげで休暇もらえちゃった。まぁ、前のあの超過した亡霊の件もあったし。久々の休みだ。なんか変な感じ。私は黒いコートは着ずに、代わりに黒いベストにした(私は黒色が好き)。せっかくだったし。髪も少しだけラフに巻いておいた。トアがすごい見てくる。

「……トアもやる?おしゃれ。」

「ソレナァニ?モッテルヤツ」

「アイロンだよ。髪をくるくるにする道具。でもトアの髪って最初からくるくるしててちょっと癖毛だね、可愛い。よし、おいでトア。やってあげる」

「ワ、ナンカアツイ」

「アイロンから湯気出てるのが当たってるのかも。ま、我慢してて~」

 私は適当にトアの毛を巻いてあげた。ちょっと整ったかな。

「はい、トアこれ見て。鏡」

「ワ、コレダレ?」

「トアだよ。これはトアを映す道具。『鏡』だよ」

「スゴイスゴイ!コレ トア?」

 トアが興奮している。髪も整えてあげたし、何より自分が鏡に映っているわけだから、そりゃ驚く。

「よしトア、個展に行ってみよう」

「ウン!イザイザッ」



 どうやって行くかって?飛んでいくのだ。確か、高天原町だったか。天国は上の方に位置している。天国に続くロープウェイもあるのだが……トアは多分私の方で風を感じる方が好きだと思うし、飛んでいくことにした。ただただ上の方に飛んでいった。雲を突き抜けた先に、天国はあった。相変わらず明るい場所だ。

「ついたよトア。ここが天国だよ。」

「ワァ……フワフワスル……」

 私とトアはのんびり歩いて行った。光に満ちた場所だ。白い家がいっぱいある。明るい色の花が咲き誇っているが、目に優しい色をしている。えーと高天原町……あ、看板がある。こっちか。

「……ここか、会場。案外すぐだったわ」

 目の前にはちょっとした公民館のような施設があって、この中で開催されているようだ。看板が立っている。私たちはチケットを使って入り、ガラスペンで描かれた作品を見ていく。

「……キレイ…………」

「ほんとにね、きれいだな……、色の使い方がすごい。これとかスゴイ、桃色のクジラだ」

「クジラ……?」

「下の世界で生きている生き物でね。とてつもなく大きくて、前に行った海の王様のような生き物だ」

「ヘェ~!」

 さてと。作品ももっと見たいところだが……例の青年にも話を聞きたい。会えたりしないだろうか。作品を見ながら歩いていくと、何やら物販だろうか。ちょっとしたお店も開かれている。

「ここ……今回の個展はどうやら、ちょっとしたグッズも売ってるらしいね、……ん?あの子……もしかして!」

 私は物販のお店の前に向かった。あまり混んでいない今がチャンスだ。

「こんにちは。素晴らしい作品がたくさんあってすごいですね」

 お店のところに立っていた青年に話しかけた。この子かもしれなかった。

「ありがとうございます。個展なんて初めてで、胸がいっぱいです……。俺、下の世界では絵とかを共有できたことなかったから……」

 確信した。この子だ。絶対そうだ。自分の手で引導したんだ。間違えるはずがない。私は声色と少しだけ顔を変えて、話しかけた。

「……よかった。……ちゃんと天国につけたんだね……」

 青年は反応した。困惑しているようだ。無理もない、あの時彼は、亡霊になりかけていたのだから。

「……私は死神のミラ。君を引導した者なんだ。君はとある高校で亡霊になりかけていた。……きっと、ずっと孤独だったんだろう?」

「……!」

 手ごたえ、ありだ。何か1つでも彼に心当たりがあるといいのだが。

「……あなたが……僕を……僕に……触れて……!」

 トアを連れてきてよかった。あの時トアは、この魂に触れている。感触が彼にしっかり刻まれているかも。私はトアに頼み、青年の手に触れてもらった。青年は手を握り返しているようだ。

「……うん、うん……!!覚えてるよ……!!あなた方が、僕に触れてくれた最初の人……!!」

「うん。そうだよ。私たちは君に触れて君を引導した。……こうやって話すのは初めてだね。」

 青年は少し涙ぐんでいる。

「……コノヒトタチガ……ボクノコト……スクイアゲテクレタンダ……ッ」

「……うん、うん……!あの時も、君がそんな風に僕の心を覗いて、片言な声で伝えてくれていたよね……音がしたから、覚えているよ……あの時、僕は……っ……」

 これはちょっと取り乱してしまうかな……。私は少し気を利かせた提案をした。

「……良ければなんだけど……今回私たちは君に会いたくて来たんだ。少し話さないか?……良ければ、だけど。」

 青年は頬を赤くして乗り出してきた。トアもつられて身を乗り出す。

「是非!お礼とか話したいこととか……たくさんあります!!よかったら、僕の家にいらっしゃってください!すぐそこですし!!」

「えっ、会場から離れていいの?」

「スタッフさんいますし、大丈夫です!!むしろそうさせてください!!」

「お、おぉ……」

 まさかこの私が押され気味とは。中々やるな若僧。トアもなんか負けじとめっちゃ身を乗り出している。落ちそうで怖い。

「そう言えば。君、名前は何て言うんだ?君を引導するときには既に声を失っていたから、名前とかわからないままだったんだよね」

「僕、『千宙(ちひろ)』って言います!!絵を書くことが好きな高校生でした。かつては。」

「ワタシ トア ドクシンジュツトウサイカイワアンドロイド ペコッ パチッ☆」

「あ、アンドロイド!?そうだったんだ……心読めちゃうんだ、スゴイね……そして可愛い~!ウィンクするアンドロイドなんて初めて見た!」

 そりゃそうだろうな。私もウィンクをするアンドロイドになるなんて思ってなかった。


 私は千宙の誘いで、千宙の家にお邪魔した。てっきり画材とかが色々散らばって置いてあるのかと思っていたが、そういう訳ではなかった。ちゃんと整っている。机にはガラスペンのインクやらが置かれている。もちろん絵も。千宙は透明なグラスに、ミカンをいれて作ったジュースとミニサンドイッチを出してくれた。卵やらハムやらいろんな種類がある。なんか申し訳ない。

「わざわざありがとう千宙。すまんね……」

「コレ!オイシイ!!タマゴ!!」

 遠慮を知らないトアは暢気に食べている。ミニサンドイッチで口ってパンパンになるものなのだろうか……。

「いえ!作り置きですし!お気になさらず!」

 千宙は嬉しそうに促してくれる。私も1つ食べた。卵が半熟で美味しい。

「……あの、ミラさん……ちょっといいですか?」

「ん?」

 千宙はおもむろに立ち上がった。なんだなんだ?千宙は私に抱き着いてきた。

「!、な、なんだ千宙?急だな……」

 もっと焦るところなのだろうが、私は『そういう』人間だ。トアが見ている。

「……本当にありがとう……僕のこと、助けてくれて……」

 千宙の温かさが伝わってくる。結構大胆な青年らしい。

「わ、わかった!わかったよ千宙!よしよし、一旦離れてくれ……」

 千宙はゆっくり離れた。顔が赤い。席に座り直した千宙は満足げだ。

「ごめんなさい急に。でもこうせずにはいられなかったんです……」

「そうかい。まぁいいけど。で、だ。今回私らが君に会いたかったのには理由があってね」

「理由、ですか……?なんでしょう。僕にできることならなんでも……!」

 私はゆっくりと話し始めた。ミラーメトロのこと、現在私はかなり過労に追いやられていること、ツムギのこと。何から何まで話した。千宙は真剣に聞いてくれた。

「………ほんと、スゴイですねミラさん……僕のこと救ってくれただけでなく、他の方々も……優しすぎます」

「なぁに、私のエゴだ。で、こっからが本題なんだけど……千宙に教えてもらいたいことがあって。」

「な、なんでしょうっ!」

 なんかうれしそうだ。興奮気味になっている。私は変わらない口調で続ける。

「さっき話した通り、私は今労働改革に向けて資料やらを作っているわけだが……実は、文字だけじゃ限界があって。設計図を用意したいんだ。」

「設計図……ですか。」

「うん。でも私らは設計図はおろか、絵も描けない。千宙は設計図とは違えど、そっち側の世界を知っている。まぁ要するに、何かヒントが得られないかと思ったわけだ。絵を描く上で何か気にしていることとかないか?設計図を書く上でも共通してそうな何か。すまんなふんわりした話で。でも、知らないこと以上に恐ろしいことはないと思ってさ。教えてくれないか?」

 千宙は何やらニコっとした。嬉しいのだろうか。

「……ほんとに、僕、今幸せです。こんな僕に興味を持ってくださって、下の世界でも俺のこと助けてくれて……下の世界にいたときは、誰も僕のことなんか……。……僕が知っている『絵』のすべて、お教えします。役に立つかどうかは、分からないような話になるかもしれませんけど……」

「いいんだ。私も知りたいし。それに私は人からもらえるものは全部もらうし、もらったものはどんなものであっても必ず使う。使えるものはきっちり使いたいタイプだ。こう見えても強欲でね。」

「ミラ イッテタ 『エノコトヲシルイイキカイダ』ッテ!!」

 千宙は噛み締めるように、満たされたような顔で笑っていた。幸せとは、このように描くのだろう。


ご覧いただきありがとうございます!どうも。ミラです。作者からの質問企画?だっけ。なんか面白そうだったね,じゃあ私宛に来た作者からの質問いってみよー


Q,いつかあなた方の設定資料を見てみたいです!


A,作者が言うかそれ…知ってるでしょポン太さん。まぁ置いといて。設定資料?どんな見た目かとかそういうことか。私は構わないよ,どうせ死んでるから個人情報もくそもないしな。でももうちょいさ,区切りついてから出したらどうだ?情報過多になっちゃうだろ?供給と需要はしっかりバランスとらないとだよポン太さん。


と!!!いうことなので!!あ!どうも!作者です!!第4幕がだいぶいいところまで進んでおります!そこで!!告知です!!

第4幕が完結したら,一人ずつキャラ設定資料および『キャラのイラスト(AIで出力するかなぁ多分)』を公開していきたいと思います!!!多分一気には公開できない気もしますが…まぁ頑張ってみます!!おたのしみに!!!!


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