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48 萎らしい大男

 私は静まり返った廊下を歩いていた。無断欠席ってなによ無断欠席って!やけに急いでいた様子だったけど、何だったのだろう。しかしそれを聞ける人が今誰もいない。いいもんいいもん!今日はどのみち彼岸屋で大福買うつもりだったから!いいんだもん!!

 私は気にせずいつも通り彼岸屋へ向かった。イチゴ大福、か。また食べたくなってきた。

「おやアリスちゃん!いらっしゃい。何を買う?」

「い、イチゴ大福!食べたい」

 店員のおばちゃんはちょっとびっくりしていた。即答だったからかな。

「お、おぉ……いつもはもっと悩んでいる様子なのに。珍しいわねぇ。いくつ買うかな?」

「え、えっと……今いくつある?」

「今?そうねぇ30個あるかな、今日はわらび餅の方が人気だったから……」

「30個欲しい!」

「えぇ!?アリスちゃんそんなに食べるっけ?ど、どうしちゃったの一体……。……顔が赤くないかしら?アリスちゃん。お疲れかい?」

「え、えっと……そのぉ……」

 そう言いかけた時だった。入口の引き戸が開く音が。

「……ども」

「か、カイトっ!」

「わぁいらっしゃい……相変わらずがっしりしてるぇお客さん……」

「か、カイト!イチゴ大福買ったから!一緒に、た、食べよっ」

 カイトは目をぱちくりさせている。

「ん?お、おぉ……買ってくれたのか。何故イチゴ大福だと分かったんだ?俺誰にも大福大好きだってことバラしてないぞ。もしかして誰か噂してんのかな……」

 前20個買ってたから分かるに決まっている。それにそのがたいじゃ噂になるのも無理はないでしょうよ。そんな様子をおばちゃんは眺めていた。

「……へぇ、なーんだ。もしかしてそういうことかい?若いっていいねぇ。しょうがないなぁお2人さん。これ。みたらし団子つけちゃうよっ」

「え、え!あ、ありがとうおばちゃん!」

「俺、みたらしも好き。おばちゃんも俺の好み知ってんのか?」

「違うよ~。おまけだよおまけ。お買い上げおおきにね~」

 やけにおばちゃんは私たちをさっさと外の縁台へと追いやった。私たちは前みたいに縁台に隣同士で座った。やった。カイトと会えちゃった。

「ハイこれ。イチゴ大福20個。前買ってたものね」

「ありがと。あ、これ。俺の名刺。前渡せなかったから」

 忘れていなかったんだ。なんかうれしいかも。

「わぁ嬉しい!これで私たち正式にお友達だね!」

「……会った時からだろ?敬語取った時から……」

 あーもうっ!なんで、なんでこんなに顔が熱くなっちゃうの!!カイトはみたらし団子を咀嚼している。私も一緒に食べ始めた。……?あれ、このみたらし団子、よく見たら私のやつ海苔付きだ。カイトのやつは……ついていない!……おばちゃん~~~~~っ!!!策士ね……。良いわよやってやろうじゃんか!!

「カイトカイト!私のみたらし団子見て!海苔付きだった!」

 カイトは表情こそ変えないままアリスの団子を眺めている。

「……あー、これ海苔か。ほんとだホントだ。」

「……よかったら1つ食べてみる?」

「いいのか?じゃあ遠慮なく」

 まさかのカイトは私が持ってる手の上から大きな手で私の手を持って、そのまま私の手に握られていた海苔付き団子を頬張った。なんでそんな平然としているんだ!?わ、ああああ……な、なんかしてやられた気分……やばいやばいっ。

「……美味しい。海苔は団子に合うのか。餅焼くときは海苔つけてみようかな……ん?なんか歯についてる。なんだこれ」

 私はそんなカイトの声なんか聞こえているわけがない。この無自覚キラーが……っ。カイトは歯についた海苔をなんとか取っていた。

「……あれ、アリス。どうした?食べてるものは柔らかいものなのになんでアリス固まってんだ?」

 おめーのせいだ。

「……はっ。な、何でもないっ」

「……?体が固まっているようならほぐしてやるぞ。俺こう見えて体柔らかくすることに意味を見出すタイプだ」

「へっ?どういうタイプそれっ……うふ、あははははっ!」

 私はちょっと大げさなぐらい笑った。カイトもつられて少しだけ笑っている。少し落ち着いたころだっただろうか。私たちは団子を食べ終わって、のんびり座っていた。

「ねぇねぇカイト、設計図ってどんな感じなのを書くの?前から気になっていたんだよね」

「ん、あー。……最近、俺、書けない」

「えっ。書けない?」

 カイトは設計図を鞄から取り出した。船の設計図だ。細々としている図で、私は正直に感動した。しかしその設計図には、所々ぐしゃぐしゃっと落書きのような、書きなぐった跡がある。

「すごい……すごいね」

 カイトはふぅとため息をついていた。らしくないな。

「俺、設計図を描く仕事はしてきたけど、1から描いたことはなかったんだ。で、今回その仕事が舞い込んできた。1から描く仕事。描き加えたりとか、修正することがほとんどだったから、1から描くとなるとなんかうまくいかなくて。なんか焦って鉛筆を握って折っちゃったりとか、鉛筆削ろうと思ったらなんか反対側から削ってたりとか鉛筆の芯だけ抜いてたりとか……」

 後半はちょっとよくわかんなかったが、とりあえずカイトが焦っていることが分かった。意外だった。

「……そうなんだ。うまく書けないのね……?何度描いてもそんな感じなの?」

「うん。なんか納得できないというか。でもいつかは完成させないといけなくて。船頭課で最近、長年使われてきたある船が壊れたんだ。だから作り直す必要があってさ。その船は歴史あるもんだから、設計図もきちんとしたやつ用意しないといけないし……。俺の師匠は俺に期待して設計図の完成を首を長くして待っちゃってるし……困った困った……」

 なるほど。私は設計図のことについて何も知らないから、何もアドバイスできないなぁ……。無力だ。私はカイトの描いた設計図を眺める。書きなぐられた跡は力強く、きっと簡単には消せないのだろう。私はその跡にポップティアーズを近づけてみた。

「お、おい。鉛筆って水でも消せるのか?すごいな」

 普通驚くところだけど、なんか感心してくれているカイト。この書きなぐりは『焦り』から生じたもの。いけるかな。

「……消えた。……カイト、私はカイトみたく設計図のことは分からないし、何か手伝うこともできない。でも……この設計図はさ、何度だって描き直せると思う。だから……その……またもし描けなくて焦ったりとかしたら、私にぶつけてよ。この魔法の餡子の匂いがする水で、元気づけて見せるから……だから、またここで一緒に大福食べよっ」

 なんか自然体で言うことができた。カイトは少しポカンとしている様子だった。

「……ありがとアリス。大福は俺毎日買ってるから、多分大体いる。大福食ったら、描けるかなと思っていろんな大福試してるうちに、毎日通うようになったんだ俺」

 ……なんともカイトらしい理由だった。でも私にとっては、カイトに会える、まさに特別な理由だった。

 

こんにちはこんにちはっ♪カイトの真似をしながら登場!アリスです!ご覧いただきありがとうございます!

 ここの後書きの担当者が一巡したらしいから,今日からはランダムで交代するんだって!そして!作者からのキャラへの質問企画をここでやるんだとか。もーっ,作者さんおちゃめ~っじゃあ早速いってみよ~っ


 Q,アリスのポップティアーズって,何でもありじゃね?実際どうなんですか?


 A,確かにそう思うかもねっ!だって,感情で生じた怪我とか崩れた顔とか絵とかを治せるって聞いたらそりゃね~。作中でも何回か使ったもの。そう思うかもしれないねぇ。

 まずおさらいだけど,私のこのポップティアーズは例えば,『焦り』から生じた『絵の描き殴り』とかだったら,『感情』から生じた『綻び』だから,ポップティアーズで元に戻せる。例示で言えばこんな感じの能力だよ!でも,実は何でもありってわけでもなくて。もしポップティアーズでそういう治療とかをする場合,自分で定義をする必要があるんだ。さっき言った『焦り』のことも,自分で理解していないと使えないんだよっ。まぁ,使い方を理解していないものを使おうとしたって無理じゃない?意図をちゃんと理解してからじゃないと,うまく発動しないじゃん?これとおんなじ考え方なんだ~。


 長くなっちゃったね,ここまで読んでくれた君!ありがとうっ!!まったね~!

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