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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第三部 第94話 崩壊する秩序 七聖の撤退

レグノル王城。

玉座の間。

天井が崩れていた。

白い石の柱は折れ、床は砕け、王城は半壊している。

その中心で――

アルディアスが剣を構えていた。

炎の魔力が体から噴き上がりつづけている。

先ほどまで放たれていた光。

アオトの量子砲。

その余波が、まだ空気を震わせていた。

アルディアスが低く呟く。

「……化け物め」

その足元。

瓦礫の隙間から黒い何かが滲み出ていた。

黒い液体。

それはゆっくりと集まり、

膨れ上がり、

形を作り始める。

ジュリアが目を細めた。

「……盤面外」

ミハイマールが魔力を測る。

「反応不明」

「生命でも、魔物でもない」

エミリオが笑う。

「面白いじゃねぇか」

黒い塊が膨張する。

床を侵食しながら広がる。

その表面が波打った。

触れた瓦礫が、ゆっくり沈む。

――吸収。

アルディアスの目が鋭くなる。

「……全員、警戒」

黒い塊が跳ねた。

触手のように伸びる。

エミリオの魔導獣が飛び退く。

ミハイマールが魔法陣を展開した。

「魔導砲」

光の砲撃が落ちる。

爆発。

黒い塊が弾ける。

だが――

次の瞬間。

再び集まる。

ジュリアが呟く。

「……再生」

「厄介ね」

アルディアスが剣を振るう。

炎の斬撃。

黒い塊を真っ二つに裂く。

だが。

切断された部分が蠢く。

再び繋がる。

その時だった。

空から光が降りた。

白い光鳥。

アンリエットからの通信だった。

アルディアスの前に降り立つ。

鳥が光となり消える。

声が響く。

『六都市』

『赤警戒』

アルディアスの眉が動いた。

ミハイマールが顔を上げる。

「同時?」

ジュリアが言う。

「偶然とは思えないわね」

黒い塊が膨張する。

床を覆う。

触れた瓦礫が沈む。

アルディアスが剣を下げた。

短く言う。

「撤退する」

エミリオが笑う。

「は?」

アルディアスが振り返る。

「ここでの戦いに意味はない」

「六都市の異変を収めるのが先だ」

ジュリアが頷く。

「賢明」

ミハイマールが空を見る。

雲の上。

巨大な影。

二隻の戦艦。

アーク=テンレア。

そして――

オラクル。

エミリオが振り向く。

城門前、勇敢に散った老騎士を一瞥する。

その時だった。

黒い塊から触手が伸びた。

地面が隆起する。

倒れている男。

ヴォルコフ。

黒い液体がその体を包みこもうと近づく。

エミリオが舌打ちした。

「……武人が食われるのは気に入らねぇ」

魔導獣が突進する。

しかし吸収され、

そのまま自爆し黒い塊を弾き飛ばす。

エミリオがヴォルコフの体を担ぎ上げる。

血まみれ。

「……死んでるか」

だが。

指がわずかに動いた。

エミリオの眉が動く。

「……生きてやがる。しぶとい爺だ」

空を見上げる。

限界高度まで降りてくる二隻の船。

アーク=テンレア。

オラクル。

エミリオはヴォルコフを抱えたまま

アーク=テンレアに乗艦する。

「医療区画を開けろ」

「拾い物だ」

近くの兵士にヴォルコフを渡しながら命令する。

その時。

空が震えた。

ミハイマールが手を上げる姿が見えた。

「主砲」

オラクルとアーク=テンレアの魔導砲門が動く。

光が収束する。

アルディアスが言う。

「撃て」

轟音。

光の二柱が落ちる。

黒い塊を包む。

爆発。

王城が揺れる。

煙。

瓦礫。

そして――

反転後に二斉射。

そこには。

何も残っていなかった。

レグノル王城があった場所には

巨大なクレーターだけが残る。

王城周辺の都市部にも

被害が出ているのは明白だった。

ジュリアがその様子を観察しながら目を細める。

「……消えた?」

アルディアスは答えない。

ただ空を見る。

そして言った。

「テンレアへ戻る」

「六都市の異変を確認する」

七聖が動く。

それぞれの都市へ。

誰も知らなかった。

この時すでに。

もう一つの災厄が。

テスラ城塞都市で――

起きていたことを。

そしてそれが、

すでに手遅れだったことも。

作品が面白いと感じていただけたら、評価いただけたら励みになります。

スマホで、読みやすさを意識して書いてます。

よろしくお願いします。


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