表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

95/174

第三部 第91話 崩壊する秩序 崩落

テスラ城塞都市。

中心部。

黒い人型の形に姿をとりつつある黒い何かが、神殿を突き破り這い出ようとしていた。

黒い人影が動くたびに神殿が崩れる。

轟音。

石の柱が折れ、巨大な屋根が崩落する。

白い大理石の神殿は、基礎から粉砕されていた。

その中心に――巨大な穴。

黒い巨体が、ゆっくりと姿を現していた。

兵士が言葉を失う。

「な……」

それは人の形を形成しようとしていた。

だが、人ではない何かを感じさせる。

今は城の塔ほどの高さ。

漆黒の皮膚。

まだ完全ではない身体。

黒い液体が体を流れ、何かを吸収していくたびに肉が形成されていく。

そして――

周囲の生命が消えていく。

草が枯れる。

鳥が落ちる。

猫や犬が死ぬ。

空気が冷えた。

兵士が震える。

「な、なんだ……あれは……」

次の瞬間。

ズン――

巨人が神殿の外へ一歩踏み出した。

地面が揺れる。

神殿の残骸が砕けた。

兵士が叫ぶ。

「逃げろ!!」

「待て」

低い声。

レオンだった。

瓦礫の上に立っている。

背後には仲間たち。

Sランクパーティー。

白狼の牙。

イリーナが槍を回す。

「化け物だな」

セドリックが呟く。

「魔力が……異常だ」

カイルが苦笑した。

「俺達でも帰りたくなるぞ、これは」

リリアが小さく祈る。

「皆さん……気をつけて」

レオンが愛剣を抜く。

刃に魔力が走る。

「ここで止める」

都市の中央。

この先は――百万の住民。

イリーナが笑う。

「言うと思った」

槍を構える。

セドリックが魔力を集める。

カイルが矢を番える。

リリアが詠唱を始める。

レオンが言った。

「白狼の牙」

「戦闘開始だ」

その瞬間。

カイルが叫んだ。

「待て」

全員の動きが止まる。

巨人の足元。

瓦礫の間に――人影が見えた。

倒れている。

「生きてるのか?」

カイルが呟く。

セドリックが眉をひそめる。

「近づくな」

だが。

カイルは走った。

「おい! 大丈夫か!」

その瞬間。

黒い巨人の腕が動いた。

速い。

あまりにも速い。

カイルの体が宙に浮いた。

「――」

声も出ない。

巨人の手が閉じる。

ミシ。

骨が砕ける音。

そして。

黒い体が蠢いた。

カイルの体が、溶ける。

吸い込まれていく。

一瞬だった。

「カイル!!」

イリーナが叫ぶ。

だが、もう何も残っていない。

黒い巨人の体が膨らむ。

レオンの顔が歪む。

「……くそっ」

セドリックが叫ぶ。

「攻撃する!」

炎が放たれる。

爆発。

巨体を包む火炎。

しかし。

炎が消えたとき。

巨人は――動いていた。

まるで何事もなかったかのように。

イリーナが歯を食いしばる。

「効いてねぇ……」

レオンが低く言う。

「違う」

「これは」

「普通じゃない」

ゆっくりと巨人を見上げる。

「災害級だ」

その瞬間。

巨人が腕を振るった。

腕を払った方向に衝撃波が起こる。

建物が吹き飛ぶ。

石の家が崩壊する。

人々の悲鳴が広がる。

瞬く間に街は阿鼻叫喚へと変わった。

都市が崩壊していく。

まるで砂の城を崩すように。

白狼の牙は、防壁となるべく立っていた。

だが――

その戦いは。

すでに。

絶望だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ