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リブートオブアーク ―科学と魔法が交差する王国再建戦記―  作者: 和幸雄大


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第二部 第61話 次なる三拠点

 黒の魔女が退いた翌日。

 ロスヴァルの朝は、慌ただしかった。

 補給物資の搬入。

 捕虜の移送。

 城壁の再補強。

 レグノル奪還という目標は、終わりではない。

 まだ、これからだ。

 砦中央塔。

 円卓の上に地図が広げられている。

 セリナ、カイ、バルド、エリーナ。

「王都まで三拠点」

 カイが指で示す。

北街道封鎖砦グラナス

 補給中継地リーデル

 王都外縁防衛塔アルヴァ

「順番は?」

 セリナの問い。

「リーデルからだ」

 即答。

「補給を断たなければ王都は揺らがない」

 バルドが腕を組む。

「真正面から王都は無理か」

「今はな」

 カイは冷静だ。

 エリーナが空域図を広げる。

「上空監視が増えています。

 ジュリアの軍は撤退しましたが、観測は続いている」

 七聖は見ている。

 だが、まだ動かない。

「動かないのではない。動く理由がないだけだ」

 カイの言葉は現実的だった。

「我々はまだ“脅威”ではない」

 悔しさよりも、理解が勝つ。

 セリナは地図を見つめる。

「兵は?」

「八百を越えた。だが練度はばらばらだ」

「訓練に三日」

 バルドが言う。

「士気は高い。だが実戦は別だ」

「三日で整える」

 セリナは決める。

「焦らない」

 ジュリアの圧を思い出す。

 あれは本気ではなかった。

 次は違う。

 軍議が終わる。

 カイが残った。

「王女」

「ええ」

「昨日、あの圧に耐えられた兵は半数だ」

 現実。

「それでも進むのか」

 セリナは迷わない。

「進むわ」

「恐れている?」

「ええ」

 一拍。

「でも、止まる方が怖い」

 カイは小さく頷いた。

 アオトがいなくても、戦えると証明する。

 いや――

 彼の背を追うのではなく、隣に立つために。

 夜。

 砦の石壁。

 黒い痕跡が、ほんのわずかに広がる。

 誰にも気づかれない。

 微細な侵食。

 魔力の流れに紛れ、

 ゆっくりと、それは根を張っていく。

 旗艦《アーク=テンレア》。

 情報層。

「ロスヴァル、軍再編中」

 報告。

 ジュリアは目を閉じる。

「……学んでいるわね」

 アルディアスは沈黙。

「脅威ではない」

 一言。

「まだ」

 その“まだ”が、重い。

 ロスヴァル。

 セリナは城壁から王都を望む。

「三拠点」

 小さく呟く。

 奪還は、一歩ずつ。

 だが。

 足元で、何かが動いている。

 まだ、誰も知らない。

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