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シュトヤヌ日和  作者: 京町ミヤ
30/47

デート(1)

迎えた当日。

両親を説得し、無事にシュトラントと出掛ける事になったヤヌアール。フリューリングから見立ててもらった服装に身を包み、準備も万端だ。フリューリングはなんと今朝も家に来て、ヘアーセットとメイクもしてくれた。


「それじゃあヤヌア。もしシュウ君の体調が悪くなったら、まずは横にさせるのよ。呼吸をゆっくりさせて、人を呼ぶなりしなさいね」


「分かった」


「それと、気休め程度になるけれど────」


母から万が一の時の対処法を聞き、ヤヌアールはシュトラントを迎えに家を後にしたのだった。





※※※※※※※※※※





今日は待ちに待ったデート(仮)の日。シュトラントは外出用のかっちりした服装に身を包んで、両頬を叩いて気持ちを引き締めた。


「よしっ、心身共に元気だ」


「とうとうこの日が来るのかと思うと泣けてきちゃうねぇ」


母はそう言っているが、その表情はぴくりとも動いていない。いつも通り、無表情で煙草をふかしていた。


「振り位してくれたっていいじゃん……」


「まぁなんだ、楽しんできな」


しかし、その言葉を言った時には、どこか柔らかい表情をしていた。

反して、母の隣にいる父の表情は明るいものとは言えなかった。恐る恐る、父はシュトラントに問い掛ける。


「告白は……するのかい?」


「…………さぁ。分からん」


シュトラントはその時による、といったふうに。そして同時に、答えを濁した。


そうこうしている内に待ち合わせ時間になったらしく、インターホンの音が鳴り響く。


「ほら、行っといで」


「行ってきます」


ポケットに財布がある事を確認してから、シュトラントは玄関へと赴いた。

ヤヌアールを玄関で出迎える事も、過去に何度もあった。しかし今回は、何故か緊張感を覚えていて。


一度だけ深呼吸してから、シュトラントは扉を開けた。


「よぉ、おはよーさ…………ん……」


瞬間、シュトラントは固まった。


「お、おはよう。シュウ、体調は大丈夫か?」


「待っっっ、すこぶる元気だが忘れ物をしたちょっと待っててくれ」


「ちょっ、おい!?」


バタンッ、と勢いよく扉を閉めて、シュトラントは顔を覆った。様子が可笑しいと見に来た両親が、慌ててシュトラントの手で隠された顔を覗き込んだ。


「どうしたのシュウ……まさか体調が──」


「生足は聞いてないって!!」


「いやめっちゃ元気だった」


「え、え、何あの髪型、見た事無いんだけど? あと薄ら化粧してんの何どうしたんだあと脚!! いつもの分厚いタイツはどうしたんだよ!?」


その場に膝を着いて、初めて見るヤヌアールの新たな一面を興奮を隠す事無く語り始めるシュトラント。扉の向こうにいるヤヌアールに聞かれていないといいのだが……、そんな心配をしつつも、感極まって涙が込み上げてきそうだった。


「ヤヌアールちゃんの生足で寿命延びてそうだな、コイツ」


シュトラントの頭上では、呆れた様子の母の声がした。


「とはいえ、このシュウは久し振りに見たなぁ」


「あぁ……こんなにも安心するとはな……」


父と母は、情報を処理しきれていないシュトラントに視線を向けて、そう困ったように微笑んだのだった。

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