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シュトヤヌ日和  作者: 京町ミヤ
17/47

異変

訓練の見学をしてから数日後。


「おはよーさん!」


シャッターを開け、中に仕舞っていた花達を表に出していると、そんな挨拶が聞こえてきた。聞き慣れた声に、ヤヌアールは顔を明るくさせて振り向く。


「おはよう、シュウ」


朝の時間帯に会う事は珍しいので、ヤヌアールは疑問を抱いた。


「今日は休みなのか?」


「いいや、これから訓練だ。何でも山ん中で泊まり込みで行うらしい」


シュトラントは今日から二週間。更に厳しい訓練の為に泊まり込みで山の方へと赴くそう。二週間も彼と会えないのは至極退屈だろうが、仕方の無い事だ。


「それは大変だな」


「て事で、お前の顔を目に焼き付けてから行こうと思ってな」


ニッ、と笑みを浮かべながらシュトラントはそう口にする。彼の言葉に一瞬動揺しつつも、ヤヌアールは咳払いをして彼の腕を小突いてやった。


「意味の分からん事を言うな。早く行かないと、訓練に遅刻するぞ」


「おっと、そうだな。そんじゃ行ってくるわ。帰ってきたらちゃんと労ってくれよ?」


「真面目に頑張ったらな」


「おう! お前も頑張れよ」


手を振り、訓練場に向かって走り出すシュトラントを見送り、ヤヌアールは赤い空を見上げた。

魔界には天気という概念がない。毎日変わらない朝の空だが、その日は何故か、眩しく見えた。


ヤヌアールはぐいっ、と身体を伸ばして準備に取り掛かる。


そして慌てて声を張り上げて、シュトラントの遠い背中に声を掛けた。


「シュウ! 頑張れよ! いってらっしゃい!」


「! おう! 行ってきます!」


声が、届いたらしい。大きく手を振るシュトラントに手を振り返して、今度こそヤヌアールは準備に戻ったのだった。







※※※※※※※※※※







────様子が可笑しい。


そう悟るのに、時間は掛からなかった。

子供の頃から体力には自信があったし、日頃の訓練にも付いて行けている。


しかし最近は、よく息切れする事が多くなって。貧血でも起こしたかのように目眩がする事も増えた。

咳も出ていたので風邪かと思っていたが、にしては期間が長い。かれこれ一ヶ月近くはこの調子だ。












合宿三日目にして、とうとう、シュトラントは血を吐いて倒れた。

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