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運命の影  作者: AkiraNox


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不死者と大地の魔術師

第○章 不死者と大地の魔術師


――魔暦七二一一年。


帝国西部。


ゼフィリア王国の南に広がる深い森で、二人の男が向かい合っていた。


その足元には、戦いの跡が生々しく刻まれている。


倒れた木々。

砕け散った岩。

大地を引き裂く巨大な亀裂。


そして、その中心には――ササキの亡骸と、意識を失った第二王女アイシャが横たわっていた。


だが、二人の男にとって、それすらも今は関係なかった。


目の前にいる男。


カイレン。


かつては一人の少年にすぎなかった存在。


しかし今、その身体には人間の常識では測れない力が宿っている。


そして、その力を確かめるために現れた男がいた。


大地を操り、未知の魔法すら扱う男――リカード。


「不死身」という噂。


それが本当なのか。


それとも、ただの戯言なのか。


その答えを知るために、二人は拳を交える。


大地を揺るがす魔法と、死すらも拒絶する肉体。


――今、二人の死闘が始まる。


そして誰も知らない。


この戦いが、後に世界の運命を大きく変えることになるとは――。

7211年。


帝国西部の地。


ゼフィリア王国、その南側に広がる森の中で――。


地上には……


ササキの亡骸が倒れていた。


そして、その傍らには第二王女アイシャが横たわっている。


その前で、誰かがカイレンと対峙していた。


名:リカード

年齢:40歳

基本魔法:大地魔法、そしていくつかの発見された魔法。


リカードは静かに口を開いた。


「それと……聞いたぞ」


「お前は不死身だそうだな」


カイレンは眉をひそめた。


「どうして知っている……?」


「このクソ野郎……お前は何者だ?」


「そして、何が目的だ?」


リカードは嘲るような笑みを浮かべた。


「何が目的か?」


「別に、特別な理由なんてないさ」


「ただ……お前が不死身だと聞かされた」


「正直に言えば……そんなくだらない話、信じてはいなかった」


「この世界に不死身の人間など存在しない」


「だが……」


「こうして目の前で見ると分かる」


「三十五歳のはずのお前が、まるで若者の姿をしている」


カイレンの顔に、邪悪な笑みが浮かんだ。


「お前との戦い……」


「楽しめそうだな」


「さあ、カイレン。楽しませ――」


ドォン!!


言葉を言い終える前に、カイレンの姿が消えた。


次の瞬間。


彼はリカードの目の前に立っていた。


そして――


凄まじい威力の拳が、リカードの顔面に叩き込まれる。


衝撃によって空気が爆発し、リカードの身体は矢のように吹き飛んだ。


数キロメートル先まで飛ばされ、途中にあった木々や岩を次々と破壊していく。


カイレンは冷たく呟いた。


「……面倒な奴だ」


遠くで……


リカードはなんとか立ち上がり、口元の血を拭った。


「大地魔法……」


「谷!」


ドォォォン!!


大地が激しく揺れた。


地面には巨大な亀裂が走り、深い谷がいくつも形成される。


同時に、巨大な岩の塊が四方へと飛び散った。


足元の地面が崩れていくのを感じたカイレンは、空中へ跳び上がる。


その瞬間――


空中にいるカイレンへ向かって、一本の氷の槍が凄まじい速度で放たれた。


狙いは――目。


カイレンの瞳が大きく開く。


ギリギリのところで身体を傾け、槍を避ける。


しかし……


死角から、もう一本の槍が現れた。


ザシュッ!!


氷の槍はカイレンの頭部を完全に貫いた。


一瞬、身体が停止する。


そして……


地面へと落下した。


頭に突き刺さった槍だけを残して。


静寂が訪れる。


その時。


ゆっくりと近づいてくる足音が響いた。


コツ……


コツ……


コツ……


リカードはカイレンの前に立ち、息を整えながら言った。


「結局……」


「お前が不死身だという話は……」


「ただの嘘だったようだな」


その瞬間――


奇妙な音が響いた。


ピキ……


ズズズ……


カイレンの身体がゆっくりと動き始める。


左右に揺れながら……


そして――


頭部に刺さっていた槍が地面へ落ちた。


次の瞬間。


砕けた頭蓋骨。


潰れた肉。


裂けた皮膚。


それら全てが、リカードの目の前で恐ろしい速度で再生していく。


完全に元通りになった。


リカードは一歩後退した。


「な……」


「ありえない……!」


「本当に……本物なのか!?」


カイレンは頭を押さえながら、苦痛に顔を歪めた。


「くそ……」


「不死身とはいえ……」


「痛みは……痛みのままか」


そして、指をリカードへ向ける。


「お前……」


「殺す」


次の瞬間。


姿が消えた。


リカードの目が見開かれる。


「速い!」


ドォン!!


カイレンの拳が、目の前に迫る。


リカードは最後の瞬間、魔法による防御壁を展開した。


拳は障壁へ激突する。


凄まじい衝撃が走り、障壁は大きく揺れる。


しかし、その威力によってリカードの身体は数メートル後方へ吹き飛ばされた。


リカードはすぐさまカイレンへ向かって突進する。


そして――


激しい肉弾戦が始まった。


腹部への拳。


カイレンの反撃。


顔面への拳。


リカードの蹴り。


カイレンは足で受け止める。


腰への一撃。


防御。


頭部への攻撃。


防御。


腹部への攻撃。


防御。


カイレンは強烈な拳をリカードの腹へ叩き込んだ。


リカードは数歩後退する。


カイレンは一瞬で距離を詰め、跳躍。


右足を大きく振り上げ、強烈な蹴りを放つ。


しかし――


リカードは絶妙なタイミングで、その足を掴んだ。


そして全力で投げ飛ばす。


カイレンの身体が地面へ叩きつけられた。


だが、リカードは起き上がる隙を与えなかった。


走り込み――


顔面へ向けて拳を放つ。


さらに二発目。


しかし、カイレンはそれを防ぎ、リカードの腕を掴んだ。


そして、凄まじい力で引き寄せる。


バキッ!!


骨が砕ける音が響いた。


「ぐあああああ!!」


リカードが叫ぶ。


カイレンは連続攻撃を放つ。


だが、リカードは一つずつ防いでいく。


防御!


防御!


防御!


防御!


防御!


防御!


防御!


そして叫んだ。


「大地魔法!」


「岩石形成!」


地面から数十もの岩が浮かび上がる。


それらは一瞬で空中に形を作った。


リカードが手を振る。


すると岩の雨が、凄まじい速度でカイレンへ降り注ぐ。


カイレンは右方向へ走る。


しかし、岩は止まらない。


どこまでも彼を追い続ける。


その一つが肩へ直撃した。


体勢を崩し、カイレンは地面へ倒れる。


すぐに魔法障壁を展開する。


だが――


岩の猛攻は一瞬でそれを破壊した。


リカードは大声で笑いながら、両手を高速で動かし岩を操る。


「ハハハハハハ!!」


「どうした!?」


「さあ……」


「反撃してみろ!」


しかし――


突然、リカードの動きが止まる。


荒い呼吸。


そして心の中で呟く。


(魔力を使いすぎた……)


(逃げるしかない)


(消耗戦になれば勝ち目はない)


(奴は不死身だ……)


(時間さえあれば、何度でも再生する)


リカードは後ろを振り返る。


そして――


凍りついた。


そこには。


すぐ目の前に、カイレンが立っていた。


ドォン!!


カイレンの拳がリカードの顔面へ突き刺さる。


リカードの身体は宙へ舞った。


カイレンは一瞬で走り出す。


落下する前に背後へ回り込み――


さらに一撃。


リカードの身体は再び上空へ打ち上げられる。


カイレンもその後を追って跳び上がった。


黒いオーラが、荒々しく身体の周囲を渦巻いている。


リカードへ近づき……


そして――


渾身の一撃を放った。


リカードの身体は凄まじい速度で地面へ向かって落下していく。


その直後。


カイレンもまた、彼の後を追うように降下した。

第○章 不死者と大地の魔術師


――。


リカードは、遠く離れた地面へ叩き落とされた。


大地が大きく陥没し、土煙が周囲へと広がっていく。


その上空から、カイレンがゆっくりと降下してくる。


全身を包む黒いオーラ。


冷たい瞳。


そして――決して消えることのない殺意。


リカードは地面に手をつき、必死に身体を起こそうとした。


だが、視界の端に映ったカイレンの姿を見た瞬間、その身体が止まる。


(……化け物だ)


どれだけ傷つけても死なない。


どれだけ吹き飛ばしても立ち上がる。


魔力を消耗し、身体が限界へ近づいている自分とは違う。


奴には――終わりがない。


「……まさか」


リカードは震える声で呟いた。


「本当に……死なないというのか……」


カイレンは答えなかった。


ただ、ゆっくりと拳を握りしめる。


そして――


一歩、前へ踏み出した。


その瞬間。


森の中に、再び轟音が響き渡った。


――ドォォォン!!


戦いは、まだ終わっていない。


むしろ――


ここからが、本当の始まりだった。

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