死闘を繰り広げる
第四の試験
数時間後――。
生き残った子供たちは、再び兵士たちに連れられていた。
誰も口を開かなかった。
これまでの試験で、彼らはすでに多くのものを失っていた。
体力も。
仲間も。
そして――心さえも。
やがて、兵士たちは一行を見知らぬ場所へと連れていく。
そこに待っていたのは――
これまでとは違う、奇妙な場所だった。
子供たちは何も知らない。
ここで何が始まるのか。
そして――
自分たちに何が待ち受けているのか。
ただ一つだけ確かなことがあった。
この場所に来た瞬間から――
彼らの運命は、大きく変わり始めていた。
数時間後――
生き残った子供たちは、別の場所へ連れて行かれた。
そこにいたのは――
4、56、23、16、305、22、43、20、66、32、90、154、163、269、247、24、220、77、306、116。
彼らは兵士たちの後ろを歩いていた。
顔には疲労が色濃く浮かんでいる。
56:
「もう疲れた……」
「どこへ連れていくんだ?」
兵士:
「黙って、さっさと歩け」
子供たちは再び歩き始めた。
しばらくして――
兵士たちが足を止めた。
子供たちは顔を上げる。
目の前には、荒れ果てた場所が広がっていた。
しかし、その中央には――
巨大な闘技場があった。
円形の闘技場。
その周囲には、高い壁がそびえ立っている。
兵士:
「上がれ」
子供たちは一人ずつ闘技場へ入っていく。
4。
5。
6。
7。
8。
9。
10。
11。
12。
13。
14。
15。
16。
17。
18。
19。
20。
21。
22。
23。
全員が闘技場の中に立った。
23:
「これから何をする?」
「また試験なのか?」
4はナイを見る。
「試験は終わったんじゃなかったのか?」
43:
「まさか、もう一度試験を受けるなんて……」
ナイは顔を上げた。
「試験は確かに終わった」
「それは事実だ」
静寂が広がる。
22:
「じゃあ、ここは何なんだ?」
ナイは全員を見渡した。
「ここは試験じゃない」
「これは――」
一拍。
「殺し合いだ」
子供たちの目が大きく見開かれる。
「……何?」
ナイ:
「お前たちはまだ多すぎる」
「これほどの人数は必要ない」
「だから――」
「八人になるまで戦ってもらう」
一人の子供が震えながら尋ねた。
「俺たちに……殺し合えっていうのか?」
ナイ:
「その通りだ」
恐怖が子供たちの顔に浮かんだ。
ナイは闘技場を見渡す。
「この闘技場は広い」
「だが、誰か一人でも外へ落ちた場合、その時点で脱落だ」
一人の子供が眉をひそめた。
「脱落……?」
「それなら、簡単じゃないか」
ナイ:
「違う」
「私が言っているのは――」
「闘技場の外へ落ちた者は……」
「この世から脱落するということだ」
「つまり――」
「死ぬ」
全員が黙り込んだ。
「もしお前たちが殺し合いを始めないのなら――」
ナイは冷たい目で彼らを見た。
「私が全員殺す」
「だから――」
「始めろ」
誰も動かなかった。
子供たちは互いを見つめている。
震える手。
荒い呼吸。
怯えた目。
ミラはカイレンの隣に立っていた。
そして、小さな声で囁く。
「カイレン……」
「これ……まずいよ」
カイレンは彼女を見る。
「どういうこと?」
「ヴァレー・オブ・サバイバルの試験の時から、みんなあなたを殺そうとしていた」
「でも、できなかった」
ミラは他の子供たちへ視線を向ける。
「だから……」
「ここは、あなたを殺すには最高の場所なんだと思う」
カイレンは周囲を見渡した。
全員が自分を見ている。
そして――
ゆっくりと、子供たちの手が動き始めた。
56が唾を飲み込む。
4が目を見開く。
そして――
全員が一斉に走り出した。
標的は一つ。
カイレンだった。
305が全力で彼へ突っ込んでくる。
「悪い!」
「俺は死にたくないんだ!」
飛びかかってくる。
カイレンは目を閉じた。
しかし――
ミラが自らカイレンの前へ飛び出した。
305の攻撃を受け止める。
カイレンは目を開いた。
ミラ:
「逃げて!」
そして305を掴み、横へ投げ飛ばした。
そのまま走り出す。
カイレンも彼女の後を追った。
一歩。
また一歩。
さらに一歩。
だが、そこへ23が突っ込んできた。
カイレンはさらに速度を上げる。
そして前を見る。
22が立っていた。
その顔には――
大きな笑みが浮かんでいる。
それは、見る者の背筋を凍らせるような笑みだった。
22:
「捕まえた」
ドンッ!
拳がカイレンの顔面を捉えた。
カイレンは後ろへ吹き飛び、地面に倒れた。
顔を上げる。
すると、305が目の前に立っていた。
305はカイレンの首を掴んだ。
カイレンは必死にその手を引き剥がそうとする。
305:
「悪い……」
「本当に悪い!」
震えながら笑い始める。
「でも……」
「これ……楽しい……」
その瞬間――
ズブッ!
22の手が305の首を貫いた。
305の目が止まる。
その手は反対側まで突き抜けていた。
血が床へ落ちる。
22:
「こいつは渡さない」
22はゆっくりと手を引き抜いた。
そしてカイレンを見る。
その顔には、まだ笑みが浮かんでいた。
そして――
殴りかかる。
カイレンは間一髪で後ろへ飛び退いた。
攻撃をかわす。
立ち上がる。
そして走った。
全力で。
だが、その後ろから――
116。
117。
118。
119。
次々と子供たちが追いかけてくる。
カイレンは闘技場の端まで追い詰められた。
立ち止まる。
「まずい……」
「こいつらを外へ落とさないと……」
116が突っ込んでくる。
手を伸ばす。
そしてカイレンの腕を掴んだ。
強く握りしめる。
そして――
押し出す。
だが、落ちたのは116の方だった。
その身体が闘技場の外へ落下する。
続いて20が飛びかかってきた。
しかしカイレンは、寸前で横へ身をかわした。
20は勢いを止められない。
カイレンは空中にいる20を押した。
20の身体が闘技場の外へ落ちていく。
次に163と43が同時に迫ってきた。
右から163。
左から43。
逃げ道はなかった。
しかしカイレンは二人の間を一気に駆け抜けた。
二人は闘技場の端で止まる。
43:
「待て……」
「待ってくれ!」
「落ちる!」
163:
「今のは危な――」
ドンッ!
二人の身体が同時に押し出された。
そのまま、闘技場の外へ落下する。
カイレンは落ちていった四人を見つめた。
その瞬間――
ゴォォォォッ!
炎が燃え上がった。
誰かが魔法を放ったのだ。
落下した四人の身体が炎に包まれる。
彼らはカイレンへ手を伸ばした。
「助けてくれ!」
「頼む!」
しかし炎は彼らを飲み込んだ。
やがて――
四人の身体は灰へと変わった。
カイレン:
「うあああああ!」
その場に膝をついた。
手で口を覆う。
今にも吐きそうだった。
だが、何も聞こえなかった。
ただ――
キィィィン……
鋭い耳鳴りだけが、頭の中で響いていた。
カイレンはゆっくりと顔を上げる。
そして――
ミラを見つけた。
彼女は23と戦っていた。
二人の戦いは激しかった。
ミラ:
「うああああ!」
腕を振り下ろす。
ドンッ!
しかし23はそれを受け止めた。
そして彼女の手首を掴む。
そのまま地面へ叩きつけた。
ミラ:
「くっ……!」
痛みに顔を歪める。
23は彼女を地面に押さえつけた。
その一方で――
22、4、56は次々と他の子供たちを殺していた。
カイレン:
「何が起きてる……?」
「違う……」
「やめろおおお!」
その時――
22がカイレンへ向かって走り出した。
身体中が血で染まっている。
カイレンの前で立ち止まる。
彼を見つめる。
その顔には、まだあの笑みがあった。
だが、攻撃を仕掛けるより先に――
ナイの声が闘技場全体に響き渡った。
「もういい!」
全員が動きを止めた。
子供たちは一斉に顔を上げる。
彼らはまだ気づいていなかった。
必要な人数は、すでに揃っていた。
八人だけ。
1. 306- 2. 77- 3. 22 - 4. 23 5. 4 6. 56 7. 24 8. 32
23はミラから離れた。
カイレンはすぐに彼女のもとへ駆け寄った。
「ミラ!」
「大丈夫か!?」
ミラは顔を上げた。
激しく息を切らしている。
それでも――
小さく笑った。
「うん……」
「うん、私は大丈夫」
カイレンはしばらく彼女を見つめた。
そして、そのまま彼女の隣に立った。
残されたのは、たった八人。
しかしカイレンには、一つだけ分かっていた。
試験は終わった。
だが――
あの闘技場で起きたことは、
もっと恐ろしい何かの始まりにすぎなかった。
第四の試験・終
こうして――
第四の試験は終わった。
いや。
正確には、試験という名の殺し合いが終わっただけだった。
数百人いた子供たちは、わずか八人になった。
その中には、カイレンとミラもいる。
しかし、二人の胸に残ったのは、生き残れたという喜びではなかった。
目の前で消えていった命。
血に染まった闘技場。
そして、あの笑みを浮かべながら人を殺していた子供たち。
カイレンは何も言わず、静かに闘技場を見つめていた。
試験は終わった。
だが――
本当の地獄は、まだ始まったばかりだった。




